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アウトフィット / 終わらない週末 / 忘れられし愛

2024年02月12日 | 映画

Netflixで見た映画3作品です。

アウトフィット (The Outfit) 2022

1950年代のシカゴ。仕立店を拠点にマフィア組織内の争いが展開。店主のイギリス人裁断師は、はからずも危険な状況に巻き込まれていくことに...。(Netflix HPより)

ブリッジ・オブ・スパイ」のマーク・ライランスがシカゴでいわくありげな仕立屋を演じるなんて、おもしろくないわけがない!と楽しみにしていました。ある意味、マーク・ライランスという存在自体、壮大なネタバレのような気もしますが。^^;

それでもマーク演じる裁断師はどういう役割をはたしているのか?そしてその目的は? そして、同じくいわくありげなお店の受付嬢はいったい何者なのか?裁断師とはグルなのか? 疑問が次から次へと浮かんできて、画面から目が離せませんでした。

マフィアとの頭脳戦の緊迫感もすさまじく、この場面をどう切り抜けるのか?と手に汗握り、引き込まれました。物語が仕立屋の中だけで進行するワンシチュエーションムービーゆえに、ミスリードを引き起こしたり、想像力を刺激したりして、おもしろかったです。

終わらない週末 (Leave the World Behind) 2023

のんびり週末を過ごそうと、豪華な別荘を借りた一家。だが到着早々、サイバー攻撃により携帯やパソコンが使えないという不測の事態が起こる。そして、玄関口に見知らぬ男女2人が姿を現す。(Netflix HPより)

Neflixの予告を見て、おもしろそう!と鑑賞。オープニングはシャラマン監督の「オールド」を想起させ、ジュリア・ロバーツ、マハーシャラ・アリ、イーサン・ホークという豪華キャストにも期待がふくらみました。

サイバー攻撃、核の危機、奇怪な自然現象、第三国によるテロ、あるいは宇宙からの侵略等、地球の終末、人類の終末を予兆させるできごとが、次から次と起こるものの、それが何なのか、ここ以外の場所ではいったい何が起こっているのか、さっぱりわからない。

私たちは脆弱で、ネットやメディアから与えられる情報がなければ、まったく手も足も出せないのだと思い知らされました。このような状況下で、最先端の自動車であるはずのテスラがバグって、無人のまま追突事故を起こすのは強烈な皮肉でおもしろかった。

静かに忍び寄る恐怖は感じるものの、伏線回収はなく、最後までもやもやしたままで終わります。ラストの妹ちゃんの行動は、世界で何が起こっているかよりも、今の自分の欲望の方が大事、という現代の子どもそのもので、まったくもってシニカルでした。

忘れられし愛 (Znachor / Forgotten Love) 2023

かつては有能な外科医として尊敬を集めていた男は、家族に去られ、記憶まで失ってしまう。だが、過去とともに忘れ去った人との再会をきっかけに、人生を取り戻すチャンスを得る。(Netflix HPより)

原題の Znachor はポーランド語で偽医者という意味です。1937年、1982年と過去2回映画化されたのも納得の、時代を超えて共感できる父子愛、そしてロマンスの物語です。ベタなストーリー展開で結末も想像できますが、素直に心に響き、快く泣ける作品でした。

オープニングの手術^^ の場面、それに続く新聞売りの少年のエピソードから、主人公の誠実で温かい人格が伝わってきて、胸がいっぱいになりますが、多忙で家庭を顧みない彼は、妻にとっては決して理想の夫とはいえなかったのでしょう。

その後の運命の残酷さに打ちのめされつつも、映画を見ている私たちは、彼のすぐ近くに一番会いたい人がいることを知っているので、いつか訪れる再会を確信しつつ、もどかしい気持ちに翻弄されることになります。^^

娘役の女優さんも、凛とした清潔感があって魅力的でした。映画を見ながら、この誠実さは父親譲りなのだなーと納得しました。あまり悪い人が登場しないのも、この作品の魅力かもしれません。

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