セレンディピティ ダイアリー

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判決、ふたつの希望

2018年09月12日 | 映画

キリスト教徒がパレスチナ移民に浴びせたある一言がきっかけで、国家を巻き込む法廷劇にまで発展していく騒動を描いた、レバノン発のヒューマンドラマです。

判決、ふたつの希望 (L'insulte / The Insult)

レバノンの首都ベイルート。住宅街の補修工事を行っていたパレスチナ出身の現場監督ヤーセルは、勝手に配管工事をされたと怒るレバノン人のトニーと口論になります。やがてトニーが言い放ったある一言に激高したヤーセルがトニーを殴りつけ、ふたりの対立は法廷へと持ち込まれますが...。

レバノン映画を見るのは初めてです。パレスチナ・イスラエル問題についてはかつて映画「オマールの壁」など見て多少なりとも理解していましたが、レバノンとパレスチナの関係はどうなのか。本作は小さな諍いに端を発する法廷劇となっていますが、レバノンの歴史や現在の社会問題についても知るきっかけとなりました。

そもそもレバノンはどこにあるのか。地図を見るとイスラエルと国境を接していて、これまで多くのパレスチナ難民がレバノンに押し寄せたことが想像できます。そしてレバノンはかつてフランスに統治されていた歴史があるのですね。会話に時々フランス語が交り、国民の40%がキリスト教徒というのも納得しました。

レバノン(Wikipedia)

トニーはばりばりの極右政党支持者であり、もともとパレスチナ移民を快く思っていなかったようです。彼がいつもいらいらしていて攻撃的なのが気になりましたが、悪いことはすべて移民のせいという思い込みがあるのでしょう。一方、ヤーセルは確かな仕事で上司の信頼を得ていますが、不法滞在であり、国の中では弱い立場にあります。

ふだんは温厚なヤーセルがかっとしたのは、トニーの「シャロン(イスラエル元首相)に殺されたらよかったんだ!」ということば。シャロンはかつて最もパレスチナに強硬姿勢を貫いたイスラエルの政治家であり、「オマールの壁」に出てきたパレスチナの分離壁を作らせたのも彼なんですね。

アリエル・シャロン (Wikipedia)

そして法廷では、今回のトラブルの直接の原因ではありませんが、トニーのバックグラウンドである、レバノンの悲しい歴史も明らかになります。トニーは幼い頃に故郷の町ダムールが虐殺を受けた時の生き残りだったのでした。虐殺の真相はわかっていませんが、トニーの一族は今なお克服できない深い悲しみの中にいるのです。

言ってはならない一言を言ったトニーと、その彼を殴ったヤーセル。それぞれが背負った重い過去が起こしてしまった行動ですが、どちらも相手をそこまで責めてはいないのに、引くに引けない状況になってしまった。そんな2人が判決が出る前に、お互いを受け入れ、和解する姿に心を打たれました。

対立する2人の弁護人が父娘という設定もおもしろい。保守的で権威主義的な父親と、弱者を支えるために奮闘している娘。裁判官のひとりが女性であるのも心強く思いましたが、この映画では誰もが願う、異なる価値観を認め合う理想の社会が導かれていると感じました。

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国立新美術館 ロビーコンサート「弦楽四重奏の魅力」

2018年09月10日 | 舞台・音楽会

国立新美術館で開催された、ロビーコンサートに行ってきました。

暮れなずむ空と、ほんのり灯りが透けた建物のコンビネーションが美しい。この時間帯に美術館に来ることはめったにないのでなんだか新鮮でした。私が着いた時にはすでに立ち見が出ていましたが、幸い席を見つけることができてほっとしました。

国立新美術館のロビーで不定期に開催されているコンサート。今回は、音楽の楽しみ「弦楽四重奏の魅力」と題し、大山平一郎さんヴィオラを中心に、水谷晃さん(ヴァイオリン)、土岐祐奈さん(ヴァイオリン)、辻本玲さん(チェロ)による透明感あふれる伸びやかな演奏を楽しみました。曲目は

ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番ハ短調 作品110 (1960)
ボロディン:弦楽四重奏曲第2番ニ長調 (1881)

実はこの日、夏の疲れが出て体調が今ひとつだったので、内心「ショスタコーヴィチか...でもまあ、ボロディンもあるし」と思っていたのですが、結果としてはショスタコーヴィチ、とっても楽しめました。

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静かな不協和音からはじまる第1楽章から、間をおかずに演奏される激しい第2楽章へ。銀行から横領した大金をトランクに詰め込み、不安に怯えながらひたすら車を運転し続ける私...。ヒッチコックのサイコの主人公になりきりました。(注:サイコの音楽は、バーナード・ハーマンです)

ところがこの日いただいた解説を読むと、この曲はショスタコーヴィチが共産党に強制的に入党させられた直後に悲しみの中で作られ、表向きは「ファシズムと戦争の犠牲者の思い出に捧ぐ」となっていますが、実は自身へのレクイエムとして作られたそうです。第2楽章はサイコではなく^^; 共産党による粛清の嵐を表しているとのだとか。

そして後から知ったのですが、この曲にはショスタコーヴィチ(Dmitri Schostakovich) のイニシャル D-S(Es)-C-H、すなわち「レ・ミ♭・ド・シ」がテーマ音として織り込まれています。冒頭からこの音形が現れるので、思わずお~っとなりました。

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続いてのボロディンは、甘やかで美しい曲。この曲は、ボロディンが妻へのプロポーズから20周年を記念して作曲したそうです。なんともロマンティックな贈り物ですね。

どちらもロシアの作曲家ながら雰囲気はまったく違い、それぞれの個性が楽しめました。

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オーケストラ・クラス

2018年09月08日 | 映画

子どもたちに楽器を贈呈してプロの音楽家が音楽を教える、Demos(デモス) というフランスの音楽教育プロジェクトを題材にしたヒューマンドラマです。

オーケストラ・クラス (La Melodie / Orchestra Class)

パリ19区にある小学校に、音楽教育プロジェクトの講師として派遣されたバイオリニストのシモン。しかし子どもたちは片時もじっとできず、話は聞かず、けんかが始まり、まるで授業になりません。そんな中シモンは、アーノルドという少年にバイオリンの才能があることに気がつきます...。

音楽を題材にした作品が好きなので楽しみにしていました。ストーリーとしては、2年前に見たブラジル映画「ストリート・オーケストラ」(The Violin Teacher)によく似ています。つまり、仕事を失ったバイオリニストがやむなく学校の音楽指導の職についたものの、子どもたちが音楽によって成長していく姿を目にして、自らも変わっていくという物語。

ストリート~の舞台は、常に命の危険にさらされているサンパウロ最大のスラム街でしたが、本作のパリ19区はそこまで治安は悪くなさそう。移民の街ということですが、地図で確認するとパリ中心部からもそれほど遠くなく、生徒のアーノルドが住む集合住宅の屋上からはキラキラ輝くエッフェル塔が見えました。

バイオリンを教えるために教室にやってきたシモンは、初日から子どもたちの厳しい洗礼を受けることとなります。シモンが一言話すごとにまぜっかえし、すぐに犬猿の仲のサミールとアブとの言い争いがはじまります。

ある時あまりに態度が悪いサミールに、シモンがつい胸倉をつかんで教室から追い出してしまいます。感情的になり「彼はこの授業を受けるべきではない」と怒るシモンに対し、「これは彼のような生徒のためのプロジェクトです」という担任の先生のことばにはっとしました。

シモンは、息子が暴力を振るわれたと怒るサミールの父親を訪ね「サミールはこのオーケストラになくてはならない一人です」と謝罪しますが、その時のサミールの誇らしげな顔が心に残りました。子どもたちはやはりほめられ、認められることでやる気を起こし、伸びていくのだと再確認しました。

それから印象的だったのは「何か弾いて」という子どもたちのために、シモンがメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲を弾き始めるシーン。いつも騒がしい子どもたちがしんと静まり返り、真剣なまなざしでシモンの音楽に聴き入ったのです。音楽は時に、百のことば以上に人の心を動かすことができるのですね。

シモンは、クラスに途中から入ってきた少年アーノルドに、バイオリンの特別な才能があることに気がつきます。アーノルド自身もバイオリンが大好きで、家に帰ると屋上に上り、誰よりも熱心にバイオリンの練習をしているようです。シモンはアーノルドに、コンサートでソロを弾く大役に抜擢します。

このプロジェクトの目的は、なかなかクラシック音楽に触れる機会のない子どもたちに、音楽の喜びを知ってもらうこと。そしてこのプロジェクトによって、アーノルドのような才能を見出し、支援していくことができるのです。社会全体で子どもたちを育て、文化を育てるフランスの取組みに感銘を受けました。

そしていよいよ迎えるコンサート。会場はパリ19区に新しくできたすばらしい音楽ホール 、フィルハーモニー・ド・パリ。曲目は、リムスキー・コルサコフの”シェヘラザード”(の最初の部分)。アーノルドのソロもばっちり決まり、子どもたちのがんばりに心の中で惜しみない拍手を送りました。

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金田中 草

2018年09月06日 | グルメ

関西を襲った台風21号に続いて、今朝は北海道で震度6強の地震と天変地異の災害が続いています。ことばを失っていますが、被災された方々のご無事をまずはお祈り申し上げます。

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未だお盆の話題で恐縮ですが、帰省中の息子を囲んで両親と食事会をしました。場所は渋谷のセルリアンタワー東急ホテルの日本食レストラン「金田中 草」(かねたなか そう)です。

明治通りから、再開発途中の渋谷をパチリ。左に見える2棟の高層ビル、手前は来週9月13日にオープンする”渋谷ストリーム”、その奥の建設中のビルは来年オープン予定の”渋谷スクランブルスクエア”の東棟です。渋谷警察所前の交差点には、ビルへとつながるドーナツ形の歩道橋ができつつありました。

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新橋の料亭”金田中”さんのお味を、カジュアルにいただけるレストラン。”草”という名まえは草書=くずし字からきているそうです。くつろいでくださいというメッセージでしょうか。白を基調としたシンプルモダンなインテリアで、夜は照明を抑えた中、キャンドルの柔らかい明かりに癒されました。お料理は7品のコースでした。

初皿です。右の杉板には、つらら白瓜、蒸し雲丹、順菜、生姜酢、夏野菜赤汁、鱧の子塩辛。左には、牛塩山椒焼、酢取妙賀、太刀魚西京焼、大徳麩。奥に、枝豆葛寄せ、柚香白味噌。夏野菜赤汁は、いわゆるガスパチョですが、和のお料理によく合いました。杉板に葛の葉が添えられています。

汁物です。吸とろろ、福久良鮑、順菜、青海苔、ふり柚子。

お造りです。まぐろ、とろ、赤身、鱧焼霜、穴子湯霜。鱧は奥の梅醤油につけていただきます。穴子に添えられているのは梶の葉です。

中皿です。活あわびバター焼き、青アスパラ。あわびは薄く削いであるので食べやすく、食感も楽しめました。

主皿です。右の青皿は穴子酒醤油焼、上に染卸し(大根おろし)がのっています。左の浅い銀板の鍋には牛柳川もどき。牛肉と笹がきごぼうがたまごでとじてあります。これはスキレットで作ってみたいですね。^^ 手前には青もみじの葉。

お食事の〆に、鮎茶漬けか、煮穴子素麺か、選びます。これまで穴子のお料理がいくつかあったので、ここでは鮎茶漬けをいただきました。小さな鮎がちょこんとのっています。お出汁がしみじみとおいしかったです。

和食レストランにはめずらしく、デザートワゴンが運ばれてきて、大いに盛り上がりました。6種類のスイーツと、2種類のデザートワインから2つ選びます。私はすでにおなかがいっぱいだったので、あんみつとデザートワインにしました。右はりんごのクレームブリュレ。目の前でバーナーで表面を焼いてくれます。

2階の吹き抜けから下のロビーを見下ろして。電子ピアノとヴァイオリンで”Misty"を演奏していました。帰りの車の中では、YouTubeで Ella Fitzgerald の Mistyを流し、余韻を楽しみながら帰りました。

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マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー

2018年09月04日 | 映画

ABBAのヒットナンバーで繰り広げられるミュージカル「マンマ・ミーア!」(2008)の続編。前作のキャストにリリー・ジェイムズが加わり、「マリーゴールド・ホテル」シリーズで脚本を手掛けたオル・パーカーが監督・脚本を務めています。

マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー (Mamma Mia! Here We Go Again)

ギリシャ・カロカイリ島。ソフィ(アマンダ・サイフリッド)は、母ドナ(メリル・ストリープ)との夢だったリゾートホテルを完成させ、オープニングパーティの準備に追われていました。そんな折、ニューヨークにいる夫のスカイ(ドミニク・クーパー)から、いっしょにこちらで暮らさないかと誘われ、心が揺れ動きます..。

前作「マンマ・ミーア!」は映画もブロードウェイの舞台も見ている大好きなミュージカル。続編の本作は、シアターで何度も予告を見る機会があり、そのたびに音楽に合わせて体をゆらしながら楽しみにしていました。私はABBAを聴いた世代なので、ヒット曲はだいたい知っていますが、当時は健全すぎるサウンドがあまり好みではなかったのです。

でも今、ストーリーにのせながら聴くと、メロディにも歌詞にも自然と感情移入するのを感じます。時代を経ても色あせない魅力があるのはすごいことだと、ただただ感服します。思いっきりハッピーになれるすてきな作品でした。

 

映画は、ソフィがホテルの準備に奮闘する現在と、ドナの若き日の物語とが、リンクするような形で進行していきます。若き日のドナを演じるのがリリー・ジェイムズ。本作ではメリル・ストリープは陰にまわり、アマンダ・サイフリッドとリリー・ジェイムズのダブル主演となっています。

そして、ソフィにはどうして3人のパパがいるのか? ドナは3人とどうやって出会ったのか? その秘密が明らかになります。3人のパパと、ダイナモス(ドナが若い頃に結成したボーカルグループ)の3人は、現在と若い頃とそれぞれ2人の俳優が演じていますが、雰囲気をよく似せていてびっくり。

たとえばハリー(コリン・ファース)は、若い頃から理屈っぽくて生真面目だったし、ビル(ステラン・スカルスガルド)は気ままな遊び人風といった感じ。サム(ピアーズ・ブロスナン)の若い頃を演じていたのが「戦火の馬」(2011)のジェレミー・アーヴァインだったのもうれしいサプライズでした。

リリー・ジェイムズもすごくチャーミングでした。メリル・ストリープにそれほど似ているわけではないのに、陽気で人懐こくて生命力にあふれていて、きっとドナの若い頃はこんな感じだったんだなーと思わせる力がありました。アマンダ・サイフリッドの美声は「レ・ミゼラブル」で知っていましたが、どの俳優さんも歌と踊りがすばらしかったです。

冒頭からノンストップでノリノリの音楽が繰り広げられますが、一番盛り上がったのはやはりダンシング・クイーンの場面です。

ホテルのオープニングの準備がすっかり整った時に、嵐がやってきてすべてが台無しになってしまいます。船も欠航し、誰もパーティに来てくれない...とソフィが涙ぐんだところに、満艦飾の船。そして全員によるダンシング・クイーン! ここは予告で何度も見たシーンなのに、感動してほろりとしてしまいました。

そしてパーティが始まるころ、満を持してソフィの祖母が登場。演じるのは歌姫シェール! シェールのラスボス感が半端なく、彼女が歌い始めたとたん、これまでのストーリーが全部持っていかれるほどのすさまじい破壊力でした。^^;

やがてソフィに赤ちゃんが生まれ、洗礼式の場面も感動的でした。祖母から母、そして娘、孫へとつながっていく命のバトンに胸が熱くなりました。

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AS CLASSICS DINER

2018年09月03日 | グルメ

映画を見た六本木ヒルズでは、夏恒例の「六本木グルメバーガーグランプリ2018」が開催されていました。ちょうど帰省中の息子が一緒だったので、この日のお昼はハンバーガーをいただくことに。

5年目となる今年は、六本木ヒルズにある21のレストランが参加し、25種類のハンバーガーがエントリーしているということです。リストをじ~っと見ていた息子、イタリアンやステーキハウス、カフェといろいろありますが、王道の AS CLASSICS DINER(エーエス クラシックス ダイナー)に入ることにしました。

駒沢公園の近くに本店のあるこちらのハンバーガーショップは、古きよきアメリカンダイナーの雰囲気があり、お肉の旨味のぎゅっと詰まったおいしいハンバーガーがいただけます。お盆休みのお昼時で数組の列ができていましたが、メニューを見ながらあれこれ迷っている間に順番が来ました。

夫がオーダーしたニューイングランドクラムチャウダー。私は暑いのでアイスティだけにしましたが、とろりとクリーミィでほっとするお味です。

私はハンバーガーではなく、ローストビーフサンドウィッチにしました。パンはホワイトとグラハムの2種類から選べます。柔らかくてジューシィなお肉が、パリッとしたレタスに合っておいしい。サクッ、ほくっとしたフレンチフライも絶品です。

グルメバーガーグランプリにエントリーしている、”ロー&スロー テキサスBBQバーガー”です。ジューシィなビーフパティの上に、薪火で17時間燻し焼きにした牛肩ばら肉をのせたボリュームたっぷりのバーガー。サワークリームソースとオリジナルケチャップがアクセントになっています。

こちらは、オニオンマッシュルームバーガー。

グリルしたオニオンとマッシュルームにチーズがからまっています。オニオンの焼き目がたまりません。

グランプリの結果は9月上旬に発表だそうです。

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オーシャンズ8

2018年09月02日 | 映画

2000年代に大ヒットした「オーシャンズ」3部作のスピンオフで、8人の女性たちが新たに犯罪チームを結成します。サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェットらオールスターキャストが出演。「ハンガー・ゲーム」のゲイリー・ロスが監督を務めています。

オーシャンズ8 (Ocean's Eight)

オーシャンズのカリスマ的リーダー ダニーの妹デビー(サンドラ・ブロック)が仮出所します。もう2度と犯罪はしないと誓ったデビーですが、実は服役中の5年8か月の間に綿密な計画を立てていました。デビーは旧知の仲のルー(ケイト・ブランシェット)に計画を持ち掛け、最強のチームを結成すべく、次々とその道のプロをスカウトしていきますが...。

かっこいい女性たちの活躍を楽しみに見に行ってきました。今回はメンバーたちが、ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催される世界最大のファッションイベント、メットガラをジャック。そしてパーティの主役、女優ダフネ(アン・ハサウェイ)が身に着けるカルティエの1億5000万ドルのジュエリーを盗み出します。

出所したばかりのデビーが、まずは鮮やかな盗みの手口で高級ホテルの部屋を手に入れ、毛皮のコート、化粧品と次々調達するのにびっくり。すっかり彼女のペースに乗せられてしまいました。リターン天国のアメリカ。映画を見た人がマネをしないといいですが...。^^;

デビーはルーを計画に引き込み、落ち目のファッションデザイナー(ヘレナ・ボナム=カーター)、天才ハッカー(リアーナ)、盗品ディーラー(サラ・ポールソン)、ジュエリー加工職人(ミンディ・カリング)、スリ師(オークワフィナ)を次々スカウトしていきます。

計画は、ダフネのためにカルティエの伝説のネックレス”トゥーサン”を借り、パーティの途中でジルコニアで作った偽物とすり替えるというもの。メンバーひとりひとりの才能がうまく生かされていて、際どいタイミングでつながっていくバトンをハラハラしながら見守りました。

盗んだトゥーサンを躊躇なくあっという間にバラバラにしたのにはびっくりしましたが、これぞアメリカ人の合理性でしょうか。ダフネのネックレスを外した時に、どうしてすぐに偽物と取り替えなかったんだろう?と思ったら、なるほど... 一度ゲストたちを会場の外に出す必要があったわけですね。

メトロポリタン美術館をはじめ、VOGUEの編集室や、カルティエのメゾンも登場。そして本物のメットガラさながら、数々のセレブリティがカメオ出演しています。すぐにわかったのはVOGUE編集長のアナ・ウィンターと、モデルのハイディ・クルムですが、エンドロールを見たらジジ・ハディドとかカイリー・ジェンナーとかとにかくたくさん出ていたようです。

サンドラ・ブロックとケイト・ブランシェットはもちろんかっこよかったのですが、一番気に入ったのはリアーナ。ハッカー役が様になっていました。役柄では縁の下の力持ちですが、フィナーレではさすがにメットガラの常連らしく、まっ赤なドレス姿に貫禄を感じました。

アン・ハサウェイ演じるダフネのキャラクターも好きです。”お馬鹿な女優”をカリカチュアに演じるも、ほんとうは賢いという設定です。裾が長く続くピンクのドレスも、ゴージャスなカルティエのジュエリーも、さすがによく似あう。後日譚で監督にチャレンジしていたのにも、なんだかぐっときました。

六本木ヒルズにて。リアーナの赤いドレスが飾ってありました♪

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