臨済宗南禅寺派圓通寺

Zazen 法話のページ

大乗仏教の「空」

2020-12-20 | 
私たちは日ごろ物事を判断するのに「もう一つの考えがある」と、なかなか思えないのです。ことに宗教や政治になるとこれが難しいのです。先にも紹介しましたように、ブッダは「妄執を捨てよ」と説いておられます。まことに私たちの悩みや困難はそこにあるといえます。
あるときブッダは在家信者に「他の教え(宗教)を学びなさい」と言われました。またあるときブッダは弟子たちに「正しい教えも捨てなさい」と言われました。このような教えは仏教のみです。しかし、私たちはなかなかそう思えません。
ブッダの教えを受け止める方法としては、修行という道だけではなく信仰という道があります。ブッダは「自分を信じなさい」と言われました。その自分とはブッダのような静かな姿です。サンスクリット語の「空」という言葉には「しずか」という意味があります。己の静かな姿を見つめる、ブッダの教えを全身で受け止める、それが「空」です。
NHKの人気番組で「チコちゃん」があります。コメンテーター方は5歳の女の子チコちゃんに毎回「ぼ~と生きてんじゃねえよ!」と叱られます。禅の道場で新入りの雲水(修行僧)は毎日、先輩からチコちゃんのように叱られます。坐禅や読経のときはもちろん、立ち居振る舞い、履物の脱ぎ方や食事の作法など、何もかもが一般の生活とは違います。先輩が自分より年下という場合は叱られるのが辛いのです。「空とは何か」などと考えている暇はありません。禅の修行は己の全身で取り組むのみです。




Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 南無阿弥陀仏 | TOP | 幸田露伴のことば 1 »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries |