サンチョパンサの憂鬱

所感?・所信?……5

スマートニュースで昭和のテレビ番組『トゥナイト』のレポーターだった岡元あつこさんの記事があった。

今ではコンプライアンス的にとても流せないヤバいモノばかりでした。
でも?……そこには今の番組じゃ感じれない妙なリアリティがありました……と彼女は語っていた。

それでも……山本晋也監督のリポートなんて『創られたエッチコンテンツ』ってな風情は既に漂っていた。

あれから以降、平成・令和と時は流れ、コンプライアンスだのディスクロージャーだのハラスメントだの……『お行儀イイ振る舞いの為の作法』ばかりが声高に叫ばれる様になった。

しかし、実のところ『お行儀が良くなった振り』だけが独り歩きして……。
何時しか、テレビ局・新聞も政治も政府も官僚組織も教育委員会も警察もあらゆる組織・個人は『ひどい嘘をつく』様になってしまったことの不思議である。

考えられない様な失態が起こる度に
『信頼回復に誠心誠意、鋭意の限りを尽くして行く』所存であります!……という演劇の再演が行われ『嘘の上に嘘を塗り重ねる文化』こそがこの国の日常となった。

『嘘』は個人にも組織にも生き延びていく為に必携の技として認識され定着した。
ホントのお行儀なんて泡沫(うたかた)の夢。
個人も組織も息をするように嘘を付かなきゃサバイバル出来ない?かの様に強迫観念に支配される演劇性国家を築き上げてしまった。

今や『他者に見せる為の演劇』……『嘘』によってこの国の日常は埋め尽くされている。

リアル世界の子供の自死は、イジメなんかなかったけれど何故か?亡くなってしまったというシナリオの演劇に直ぐ様書き換えられる。

数十億の裏金キックバック問題は?政治倫理審査会なるものに出席するかしないか?公開するかしないか?そんな事が何やら大問題!なるシナリオに切り替わり、早くも私腹肥やしの政治家達の無罪放免の為の手続き演劇になった……。

本音とか本懐なんてのは自分の腹の底の深海に隠匿し、老いも若きもひたすら『無事にイイコ・イイ人演ってます』という表面演劇に忙殺されている。

『生きた心地』なんて夢のまた夢なのである。
だからこの国の人々は何時も疲弊し切り、寂しそうにしている。

自分に嘘をついてる人と人が……にこやかな表情を浮かべながら会話する。
嘘と嘘が出会ってそこにまた新たな嘘が立ち込める。

嘘で拾い集めるのは『楽』……。
そうやって、一日の終わりに持ち帰った『嘘で出来た楽』が楽の戦果の筈なのに何故か?重くのしかかるベッドで善人達はやっと浅い眠りを手に入れるのである……。

寓話の中で……軽く嘘を付いて愉しんだオオカミ少年は何度かの嘘で命を落としてしまったけれど……。
リアル世界を生きる僕達は何度嘘をつこうともオオカミ少年の様に簡単には死ねない。
日々リアリティを失っていく中で感じる人生は絶望的に長いのである……。

僕は、私はイヤだ!!……とホントの自分の言葉を発するしか無いのである。
さすれば?リアルな軋轢って奴がやって来るかも知れない。楽じゃなくなるかも……?

しかし酸欠見たいに嘘の空気に喘ぐことは無くなる。
リアル世界でリアルに昂揚する感情、血流はホントの自分の感覚となる。
そこから自分回帰は始まるんだと思う。

嘘はいつの間にか人からサバイバルの為のホントの緊張感を奪い去っていく。

政治家を官僚を教育界隈を見るがいい……。
大向うを唸らせている?かの様な的外れ演劇を大マジメに演ずる彼等の呆けてしまった生気のない顔を、顔を、顔を……。

彼等の悲劇は失態がバレちゃったことなんかじゃない。
日々、嘘を付き過ぎて自らの命・人生にリアリティを失ってしまった事である……。
その哀しさを本人だけが気付けなくなってしまった痴態こそが『ホンモノの悲劇』なのである。
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