体験談で言うと……同窓会というのは結局同じ話ばかりとなり、面白くないなぁとなり出席を渋る様になった。
常々……僕に嫌悪的だった人間がそこから凄まじいストーリーテラーとなって『僕の無いこと無いこと』を見て来たかの様に詳述したというのを後から聞かされた。
郊外の店を閉じて中心部のモールに出店した際は……借金がかさみ夜逃げしたのだと……。
後にレストランを開き……気が進まないけれど田舎テレビがグルメナンチャラで取材に来た時は、店長の強い要望で出たがりパートさんと彼女がテレビに出た。
するとまた、アイツは逃げてるからテレビには出られないんだ!と演った。
その頃になると田舎の同級生が店を開くのに手伝ってくれとなり、店の企画や奥さんを店でかなりの期間料理を教えた。
そるにより、僕の『本当の歴史』はかなりの人間が知ることとなっていたが……ソレ知らなきゃ彼の話は疑う余地が無いくらい詳しく細部まで喋っていたと言うのである。
今回は出席して身の証を立てろという奴も何人かいたが……自分の性格上、奴と対面すれば無事には済まないこと明白故に……皆の楽しみを汚したくないと断った。
すると平和に生きてる僕の話より……ストーリーテラーの嘘の話が面白く、ソレを信じようとする奴も居たから呆れたと親友は言った……。
コレが『心的事実』って奴なのである。
更に詳しく調べれば……ニーチェは『事実というものは無い……あるのは解釈だけだ』と言っていた。
ソンでもって……頭はグルリと一周して結局以前に書いたばかりの『一つの事に対して正義は人の数だけある!』に帰結したのだった。
詰まり『色即是空』である。
心的事実ってのはその色即是空具合が極端にその人の心理で歪曲されてはいるが……しかし、その人に取ってはまごうことなき『事実となっている状態』なんだなぁ?……と。
厳密に言えば真実に近い事実もあるが……結局人は『真実を見ることは出来ない』って事なんである。
『真(まこと)』に出来るだけ近付いて風景を見なきゃね?と改めて思った。
『真実』、『真剣』、『真底』、『真心』、『真髄』……『真』に纏わる言葉が多いのは……ソレだけ真実に近い事実、真実に近い心というモノに出会える機会は少ないからなんだろうなぁ?……って思ったのでした……。