✳ 幼い微熱を下げられないまま
神様の影を恐れて……
隠したナイフが似合わない僕を
おどけた歌で慰めた……✳
この幼い微熱を苦もなく下げられる人達がとても羨ましく、妬ましく、置いてきぼりを食ってる様な感覚とずっと格闘して生きて来た様な気がする……。
今はもう居ない父親が事ある毎に僕に噛んで含める様に諭したものだった……。
ギャンブル依存症の男に限らず……ヒッッチャカメッチャカにしては放り出す人間の後始末……の日々。
父親は何故か説教するときは標準語だった。ソレがまたエラク厳しい響きで僕を突き刺した……。
『君は優しい!』、それは親としては誇るべき事なんだろう……。
そして『何時まで経ってもロンマンチスト』……『それも否定はしない。自分を維持出来るのならね』……と。
『しかし、君は経営者じゃない。如何に辛くてもピシッと線を引く冷酷さが必要なのだ……経営者にはね』……と。
ご説ご尤もです。もう少しだけ足掻かせて下さい!……そう言っている間に僕も父も歳を重ね……そして父は逝ってしまった。
✳色褪せながら ヒビ割れながら
輝く術を求めて……✳
そうやって未だに様にならない悪戦苦闘をしているけれど……。
相手を傷付け葬り去ってカネを取り返す?位なら傷付いて赤貧に喘ぐ方が楽?……そんな幼い微熱を下げられなかったんだと思うけど……。
もっと正直に言えば……カネに狂いコレがあの同じ人間か?……という位に変貌して豹変してしまう人の表情がおぞましくそして怖かった……。
ま、ソレが横着者の僕を働かせ……自分の思わぬ才能?らしきモノを引っ張り出してくれもした……。そんなこんながあればこそ今、働く事が……出来ている?
そんな理屈で自分を納得させる事が……出来たのだから『よし!とするしかない』のである……。
世間は分かった風によく言う。
『カネを絡ませたらアカン!』……友達を失う事になる……と。
おカネで壊れる関係ならソレだけのモノじゃないか!……ついついそう言いたくなる僕の幼い微熱は……未だに一向に下がる気配が見えないのである……。
カネで迷惑かけた取引先の人間が思わぬ厚情と便宜を計ってくれた事だって一杯あるのだから……と。何時も……屁理屈が頭に浮かんで消える……。
父は確かこう言った?と思う。
ま、幾ら言ったってお前は本当に倒れなきゃその生き方を止めないんだろうな?……と。
予言通り……です。父上様。流石です!