サンチョパンサの憂鬱

1985……尾崎豊が見ていた風景(2)

世の中は根拠のない希望に浮かれ……バブルがホップからステップへ移行しつつあった時代だったか?

『脱サラ』なんて言葉に乗っかって天国を一瞬味わい……アパレル開業で奈落の縁(ふち)から滑り落ち……まさに『カネか夢か?』分からなくなっていた時に聞いたのを鮮明に覚えている。

尾崎豊が二十歳の時に発表した曲。
その歌詞によって三十歳回った僕の心境が……全て歌われていたのだった。
以下、✳~✳尾崎豊『シェリー』の一節

✳ シェリー 俺は転がり続けてこんなとこにたどりついた
シェリー 俺はあせりすぎたのか むやみに何もかも捨てちまったけれど
シェリー あの頃は夢だった 夢のために生きてきた俺だけど
シェリー おまえの言うとおり 金か夢かわからない暮しさ

転がり続ける 俺の生きざまを
時には無様なかっこうでささえてる

シェリー 優しく俺をしかってくれ
そして強く抱きしめておくれ
おまえの愛が すべてを包むから……✳

不動産会社のボーナスの札束が紙袋に入れられ配られる?……それが机の上で立ったなんて話が飛び交ってた。

一方僕は……日々が差し迫る支払いのスケジュールで先々埋められていく。一向に終わりが見えない……日々。

✳……シェリー いつになれば 俺は這い上がれるだろう
シェリー どこに行けば 俺はたどりつけるだろう
シェリー 俺は歌う 愛すべきものすべてに…✳


頭の上っ面で出来てたプライドは何処かへ微塵も残さず消し飛んでた……。
卑屈さとその裏返しに沸き上がってくる怒り……。
計画を散々語った後に……相手が一言言う……『カネは払えるのか?』……と。

✳……シェリー 夢を求めるならば 孤独すら恐れやしないよね
シェリー ひとりで生きるなら 涙なんか見せちゃいけないよね

転がり続ける 俺の生きざまを
時には涙をこらえてささえてる……✳

そしてまた、ドサ周り……田舎の農協の店頭で衣料品を売り歩く日々……。
自分が……どんな顔をして笑顔を作っているのか?……出会う人の全てが僕の弱味を握ってる?……そんな悲惨な心境だった。要するに僕は……『これからの時間』に怯え切っていた……。

✳……シェリー 俺はうまく歌えているか
俺はうまく笑えているか
俺の笑顔は卑屈じゃないかい
俺は誤解されてはいないかい
俺はまだ馬鹿と呼ばれているか
俺はまだまだ恨まれているか
俺に愛される資格はあるか
俺は決してまちがっていないか
俺は真実へと歩いているかい

シェリー いつになれば 俺は這い上がれるだろう
シェリー どこに行けば 俺はたどりつけるだろう
シェリー 俺は歌う 愛すべきものすべてに……

尾崎豊……この若造は天才だな?……と思った。

僅かな社会人経験(二十歳)で世の中のエグい仕組みなんぞ全てを見抜いてしまったんだな?と思った。

僕は……遥かに多くの何倍もの時間を掛けて……やっと知った……生きていく為の汚さとか怒りとか恨みとか……。
立ち回り一つで平気で人に、自分の責任を押し付けて逃げる奴等が居るんだ!……とか。

それからおよそ七年後……『自分の何故だ?』を追及し続け……『自分を許さない』まま彼は……自殺的な破天荒な暮らしの日々の中、まるで死に助けを求めたかのように……旅立って行った……。

僕は……ソコソコ『経営者らしくなり』……二つのメーカーからアプローチを受け、相手の会社のカネによる狡い儲け方を覚えた頃だった。

一旦、『コイツはカネになる❗❗』と踏んだ企業はこんな僕にさえ、惜し気もなくカネを投げるのか?……と内心驚いたのを覚えている……。

気が付けばドップリと『カネ中心の暮らし』に浸かっていた……。僕の夢は……とっくの昔に『語るだけのモノ』となっていた……。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「日記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事