サンチョパンサの憂鬱

夕刻のサンチョパンサ……俺はまだバカと呼ばれているか?……

スマートニュースで尾崎豊の兄、尾崎康さんが取り上げられていた。

彼は、弟の尾崎豊の死を切っ掛けに、諦めていた司法試験に再チャレンジし弁護士になった。
現在は埼玉県弁護士会の会長に就任。

もう尾崎豊については様々な事が報道され訳知り顔して今更書くこともない。

ん?……と思ったのは尾崎康氏が『尾崎豊らしい一曲を挙げるとしたら?』の質問に対して『シェリー』だと答えていたことだった。

豊の死が彼の存在を一般の幅広い層に広めた。連日彼の歌う『I LOVE YOU』がテレビから流れ続けていたのを覚えている。

これに対してマニアックでコアなファンは『僕が僕であるために』をナンバーワンとして支持する。

もう青臭い事ばかりで一日を誤魔化して過ごす事は出来ない。
あれだけ積み上げたモノがたった一人の人間が加わっただけで、あっという間に瓦解するんだ?……と思い知った遥か昔の話……。

自分のコンセプトが実現し、カネの問題はクリアしつつより大きな夢を描いてたのに……。
意に沿わない衣料品。何より未経験。日々『カネの為に』田舎の農協を巡り走り回ってた。

その道すがら聴いたのが『シェリー』だった。

♫カネか?夢か分からない暮らしさ 転がり続ける俺の生き様〜!♫
その歌詞は正に自分そのままを歌っていた。

安普請の自信は呆気なく崩れ去り……自分はこれで良いのか?コレで解決に向かえるのか?
その不安を打ち消すために無理からの強気を絞り出す?……一日一日がトーナメントの一発勝負の様な緊張続き……やっと深夜に帰り着き倒れ込んで眠りにつく。

♫ ……俺は上手く笑えているか? 俺の笑顔は卑屈じゃないかい? 俺は誤解されてはいないか? 俺はまだバカと呼ばれているか?……
俺は真実へと歩いていく……♫

結局、以来ずっと僕は上手く笑えてない。笑顔に卑屈が貼り付かない様に怖れ、何時も誤解され……そして今も尚、バカと呼ばれている。

♫ ……シェリー何処に行けば辿り着けるのだろう?  シェリー何時になれば俺は這い上がれるのだろう?……♫

何かの折りに触れ、『シェリー』は脳裏に浮かぶ。

長い時間の流れの中で僕の何が?…変わったか?
這い上がったら?辿り着いてしまったら?それは終わりの時だ!と思う様になったことだ。
『不可解こそ生きるエネルギー』なのだと『分かったこと』は人生最大の発見だった……。

納得と妥協は根本的に違うこと。
納得は自然に向こうからやって来る。
妥協は言葉を尽くして自分を騙し説得することなのだと知った。

必死に『ホントの自分を目指す』ならば答えを貰えない自問自答を続け生きていくしかないと『シェリー』が教えてくれた気がする。

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