出勤前にメイン通りを歩いているとけたたましいパトカーのサイレン音。
市電の乗り場から……ヘッドスキンにサングラス、下は甚平?かの様な季節外れの長さの派手な色調パンツにトップスはアロハ調の派手な大柄。
そのオジサンが車道に飛び出しパトカーの前に立ち塞がった。覚醒剤でもやってんの?ラリってるのか?と思って見ていた。
するとオジサンはパトカーに手招きして飛び出した警官と一緒に市電の乗り場に走って行く。
ソコには…赤いニットの二十代女性と同じく二十代と覚しき男が……。
地味な白シャツにスラックスに肩からオジサンがよく持つバッグ。見るからに公務員?(公務員の方、ゴメンナサイ)って感じ。
ヘッドスキンのオジサンが若い男の腕を取り警官の方へ突き出す。赤ニットの女性は俯いたまんまである。
公務員風の若い男は二人の警官に挟まれパトカーへと連れられていく。まさにドナドナの仔牛状態……。
コリャ?アリャリャ〜……もしかして破廉恥?演っちゃったぁ?……。
時間差でもう一台パトカーがやって来て辺りは騒然となった。
そこから歩いて店までの一分間位で頭の中は様々の思考が駆け巡った。あの若い男の母親の嘆きとか父親の悲嘆、職場にはもう行けないかも知れない?とか……。
絶対にそんな犯罪と縁が無さそうな雰囲気なのに?何やったか知らないけれど引き合わないだろうに……。
女性がどの程度ショックを受けているか?
怖かったぁ!!位なのか?…トラウマになる位なのか?
正義のヒーローとなったスキンヘッドのオジサンの『義憤さえ』なければ、丸ぁ〜るく収まった話だったかも知れない?とか?
そのオジサンの現場の『取り仕切り方』が妙に大袈裟で芝居染みていたせいもあって……そんな事を思ったりもした。
女性相手に『そんな犯罪』は許される話ではない!!百も承知です。
しかし、彼はペドフィリア(小児性愛者)じゃないし……単なる若い男の『性欲の為せる業』ならばかえすがえすも残念だなぁ?……と。
その若い男の目は虚ろとなって中空を泳ぐばかりだった……絶望とはコレを言うんだろう。
店に入ってからも彼のコレからの『人生』がしつこく頭の中を駆け巡り……メチャクチャ忙しいランチタイムは何処か?収まり悪く過ぎて行ったのでした。