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由理柵・駅家はどこに?(1)

2021-02-03 16:59:04 | 記録
はじめに
 ペルシャの王たちは、全中近東の広大な領土の統治システムとして王道と宿駅などの付属設備を整備したが、これはすでにメソポタミアのシュメールのウル王朝などが始めており、ペルシャ王朝はその伝統に立ちスーサからサルデイスまでという長大な距離に適用した。この王道と宿駅は、のちにローマ帝国の長距離道路網へと引き継がれた。(ブリアン、2000)
 中国では、有史以前から統治権力による道路建設がされていたが、中国統一を果たした秦の始皇帝による全国的な道路網(馳道)の整備を受けた漢や大規模な道路建設を行った隋、さらに唐も駅伝制や交通制度を整備した。
 中南米のインカ帝国が整備した道路網は、16世紀のスペインによる侵略の移動を容易にしたと考えられている。
 我が国の古代道路は、改新の詔で宿駅伝馬制が布かれたことによって飛鳥時代から平安時代前期に整備されたと思われる。
 道路や駅伝制の維持管理に必要な人員、場所、設備などの必須条件を考え、由利柵を探すための手がかりを見つけようと思う。駅家常備の馬を飼育する馬小屋の形態.家畜管理のための塩の供給体制やその他の条件についても踏み込んでみたい。

官道や駅伝制について
 道路維持には、経常費と人員並びに管理システムと経営者が必要となる。駅伝制の維持管理には、膨大な経費と駅馬・伝馬への細やかな配慮に対応のできる人員や牧に適した土地の選択という難題が待ち受けている。古代の駅路は、最短距離を移動できる直線道により中央と地方をつなぎ情報伝達などを担う。30里(約16km)ごとに置かれた駅家や伝家は、律令制によって設置された五畿七道の道沿いに置かれていた。伝路は中央から地方への使者の送迎目的で敷かれたが、地方拠点間の情報伝達も担っていて、伝家には規定によって伝馬5頭が置かれ、駅使は通行を知らせる伝鈴を鳴らして通った。
 また、伝馬の飼育を行う牧にはかなり広大な土地が必要で、山地の多い我が国で耕作適地以外の広い土地を求めるのは難しいと思われる。牧を営むための最適条件は、黒ぼく土壌の土地である。黒ぼく土には樹木が生育せず家畜化した動物が好むイネ科植物の生育に最適である。黒ぼく土を含む土地は、食糧生産の耕作地を侵害せず広大な牧を経営できる。馬の家畜化は、直良信夫が縄文貝塚から家犬.・家馬の骨格を発掘しているが分析による年代比定が難しかった時代だったこともあり、あまり評価されていないが、金沢大学のNews Release 「馬の歯・骨から古代日本の社会実態を探る 藤原京造営期における馬産体制を解明」によると人工飼育による馬が藤原京に移入され、それらの馬は、各個体毎に与えられた餌が違っており、最上級の馬は栗を与えられていたことが炭素同位体比によって判明すると共に、ストロンチウム同位体比と酸素同位体比によって初期律令体制前に馬の大部分が東日本や東日本内陸部から持ち込まれていたことが分かった。(覚張、2016)
 また、『福井県史 通史編 原始・古代 第四章第三節一官道の役割 駅馬の制』によると天智朝ころには畿内・山陽道では駅馬の制は機能していたのかもしれないとしている。 (真柄、1996) 

 縄文人の二大貴石コハクとヒスイが日本海側のルートのみならず、太平洋側原産コハク(銚子)と日本海側原産ヒスイ(糸魚川)が相互に流通し、威信財として用いられていた(阿部、2010)ことが分かってきたことや縄文人が一定の法則に基づき安全な交易ルートを経験から特定した地名が現在も用いられている(森下、2018)ことを考えると牧や駅路・駅馬の活用がかなり早い時期に行われていたと考えることには妥当性があると思われる。

 奈良時代には、西海道・南海道・山陽道・山陰道・東海道・北陸道・東山道の全国七道駅路の開削に伴い、国府、城柵、駅家が設置されたとされ、『続日本紀』などに記述されていながら、その実態が発掘調査などによって明らかになっている例は少ない。
 駅家は、山陽道の布施と野摩のみであったが、平成30年宮城県岩沼市の原遺跡で玉前駅家跡と見られる発見があった。(岩沼市、2018)東山道は、玉前駅家から多賀城に至り、柴田駅家から秋田城に至ると考えられている。陸路より水路が経費節減と大量輸送に向いていたという論考もある。(中村、2020)
 『続日本紀』に記されている秋田県内の蚶方駅家、由理駅家の立地は未だ不明である。
 この論考では、秋田城跡で出土した漆紙文書の読み取りで鉄製鍔釜が貸し出されていた蚶方駅家と発掘調査を続行中の由理駅家並びに由理柵についての考察を試みる。

※様々な分野にわたる資料を提示し、考えるヒントが得られるようにしたい。





英国で流行の変異ウイルス「さらに」変異2/3日 11時12分TBSNews

2021-02-03 15:37:57 | 記録
イギリスで流行している新型コロナの変異ウイルスがさらに変異し、ワクチンの有効性に影響を与える可能性が懸念されています。

 イギリスで去年秋に発見され現在流行している変異ウイルスの中に、新たな変異をしたものが見つかりました。「E484K」と呼ばれる変異が認められ、これは、ワクチンの有効性が減少する可能性が指摘されている、南アフリカやブラジルでそれぞれ見つかった変異ウイルスと同様のものだということです。このため、専門家は、この新たな変異についてもワクチンの有効性に影響する可能性が懸念されるとしています。

 こうしたなか、オックスフォード大学は、アストラゼネカと共同開発したワクチンについて、他人への感染を67%減らす可能性があるとの暫定的な分析結果を公表しました。また、1回目の接種後、免疫反応が確立される22日目から少なくとも90日目までの間は76%の有効性が保たれることもわかったということです。

2021年1月24日5:00 読売新聞
【ロンドン=広瀬誠、ジュネーブ=杉野謙太郎】英国のジョンソン首相は22日の記者会見で、英国で流行している新型コロナウイルスの変異株について、従来型より死亡率が高い可能性があると発表した。英政府は感染力は従来型より強いと分析しており、懸念が強まりそうだ。

 会見に同席したパトリック・バランス首席科学顧問によると、60歳代男性の感染者1000人あたりの死者数は、従来型の約10人に対し、変異株は13~14人と推計されるという。別の年代でも変異株の死亡リスクが高まる傾向があったという。ただ、現時点でデータには不確かな点もあり、バランス氏は、さらなる分析が必要だとの見解を示した。

 英国では昨年12月頃から変異株が流行し、最近は1日あたりの死者数が1000人を超える。22日時点の入院患者は約3万8500人で春の流行ピーク時より8割多く、医療現場は逼迫している。英中部の病院では年末年始から患者が急増し、整形外科や眼科の医師や看護師が応援に入るなど総力戦の状態という。

 世界保健機関(WHO)の感染症専門家、マリア・ファンケルクホーフェ氏は22日の記者会見で、英政府の情報は確認中だとした上で、「医療機関が過大な負担を抱えている場合に対応しきれず、死者が増えることはあり得る」と指摘した。

詳しい調査が必要
 北里大の中山哲夫特任教授(臨床ウイルス学)は、「死者の多くは高齢者だが、高齢者はもともと持っている病気で死亡率が変わる。感染者1000人あたりの死者が10人から13~14人に増えた程度なら、病原性が強まったと判断するのは早い。変異株にもタイプの違いがあり、詳しい調査で死亡率などを分析する必要がある」と話している。

2021年1月23日10:05 読売新聞
英の変異株、従来型より死亡率高い可能性…1000人中13~14人に増加

【ロンドン=広瀬誠】英国のジョンソン首相は22日の記者会見で、英国で流行している新型コロナウイルスの変異種について、従来型より死亡率が高い可能性があると発表した。

 記者会見に出席したパトリック・バランス首席科学顧問によると、例えば60歳代男性の場合、従来型の感染者1000人中のうち約10人が死亡すると予測されたものが、変異株の場合、13~14人に増加すると推計される。別の年代でも変異株の死亡リスクが高まる傾向が出た。ただし、現時点でデータの証拠は強くないため、さらなる分析が必要だという。

※日本医師会は変異種を変異株に改めるよう進言したので、記事中の変異種を変異株に変換した。読売&日テレ共に未だに変異種を用いている。