「探偵チームKZ事件ノート」に登場する上杉和典:知的でクールな「数の上杉」が父と祖父の謎に迫る。
祖父の日記から切り取られたページ。
祖母のアルバムから抜き去られた写真。
そして父親の不審な行動――
全てが繋がったとき、第二次世界大戦が生んだ悲しき闇が明らかになる!
祖父が死んだ。たいして行き来もなかった上杉和典は葬儀にも出ず、いつも通り通学していたところ、
母親から父のクリーニングを取ってくるように言い渡される。
そこで店員から、父の服に広範囲にわたり血痕がついており、特に依頼はなかったが勝手に綺麗にしておいたと言われる。
さらに母親から、最近父親が不倫をしているに違いないという話を聞かされる。何度も長崎に行っていて怪しいという。
父親の度重なる不審な行動。いったい何が隠されているのか。
探ってみると、死んだ祖父にまつわる新たな謎が浮上してきた……。
厚生省に勤務されていた経歴のある藤本しのぶ氏の問題意識を感じる作品。
優生保護法の逆を突く、優秀児童調査と優生思想の実践が根底にあるような気がする。
その問題意識を祖父と地元の幼なじみとのつながりや、
太平洋戦争中、青少年の愛国心を利用した実験台(事実かどうか未確認)と祖父の過去が巧みに組み合わされ、
ミステリアスな展開に興味が尽きなかった。
探偵チームKZ事件ノート
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