ひどく汚れていたり、他のゴミと混じっている廃プラは規制対象になる。
「汚れ」の厳密な定義はせず、各国の判断に委ねることにした。
ニュースより
汚れた廃プラ輸出を規制、バーゼル条約締約国が合意
環境エネ・素材 ヨーロッパ
2019/5/11 5:24
【ジュネーブ=細川倫太郎】有害廃棄物の国境を越えた移動を制限する
「バーゼル条約」の締結国は10日、汚れた廃プラスチックを新たな対象に
加えることで合意した。海洋汚染など環境破壊が深刻になっているため、
海外輸出を規制する。2021年1月から運用を始める。今後は原則、
国内で処理する必要性が増し、自国でのリサイクルを促す可能性がある。
汚れた廃プラを追加対象にする条約改正案は、ノルウェーが初めに提案し、
共同提案国として日本やスイス、ザンビアなどが名を連ねた。
スイス・ジュネーブで4月29日から始まった締結国会議で議論し、
10日に採決、可決した
バーゼル条約は国連環境計画(UNEP)が1989年に採択した法的拘束力のある国際条約
有害廃棄物の国境を越えた移動を規制している。国内処理を原則とし、輸出する際は
相手国に事前通告して同意を得ることを義務付けている。現在は
医療廃棄物や廃油が対象となっているが、プラスチックは一部を除き対象外となっている。
今回の条約改正でひどく汚れていたり、他のゴミと混じっている廃プラは規制対象になる。
具体的には飲み残しが入ったままのペットボトルや、食べ物が付着したままの弁当容器などが
想定される。ただ、プラスチックに混ざっている不純物の量などの統一基準を作るのは難しい。
このため今回の会議では「汚れ」の厳密な定義はせず、各国の判断に委ねることにした。
会議では各国政府や企業、有識者などでつくる協議体の設立も決めた。新しいルールの
運用に向けたガイドラインを作成し、21年1月に円滑な発効を目指す。採択後、
日本は「問題のある廃プラを管理するツールを手に入れた」と歓迎
バーゼル条約には廃プラの排出大国である米国は加盟しておらず
、輸出削減にどこまで効果があるかは不透明だ。
これまで日米欧を中心に先進国から出た廃プラは「リサイクル資源」として
主に中国に輸出されてきた。ただ、その中にはリサイクルに適さない汚れた
廃プラも多く混じっていた。環境汚染を防ぐために、中国は17年末に輸入を中止。
代わりにベトナムやマレーシアに流れたが、すぐに各国の
処理能力は限界に達した。洗浄・選別が十分にできる能力も不足し、
処理されずに海などに捨てられる事態となっている。
今回の規制によって、国内で処理する必要性が高まるのは必至で、
リサイクル業者などが設備を拡充する可能性もある。
国内でのリサイクル費用は途上国に比べ高く、そのコストは企業や消費者に
跳ね返ってくる。
このため「紙や石灰石などプラスチック以外の素材の利用や開発が加速する」
(会議参加者)と期待する声も多い。
世界のプラスチック生産量は年々増加している。環境問題に詳しい
米カリフォルニア大学のガイエル教授らによると、
15年は約4億トン。UNEPは海には少なくとも年間800万トンが
流れていると推計し、生態系や漁業などに深刻な悪影響を及ぼしている。
「汚れ」の厳密な定義はせず、各国の判断に委ねることにした。
ニュースより
汚れた廃プラ輸出を規制、バーゼル条約締約国が合意
環境エネ・素材 ヨーロッパ
2019/5/11 5:24
【ジュネーブ=細川倫太郎】有害廃棄物の国境を越えた移動を制限する
「バーゼル条約」の締結国は10日、汚れた廃プラスチックを新たな対象に
加えることで合意した。海洋汚染など環境破壊が深刻になっているため、
海外輸出を規制する。2021年1月から運用を始める。今後は原則、
国内で処理する必要性が増し、自国でのリサイクルを促す可能性がある。
汚れた廃プラを追加対象にする条約改正案は、ノルウェーが初めに提案し、
共同提案国として日本やスイス、ザンビアなどが名を連ねた。
スイス・ジュネーブで4月29日から始まった締結国会議で議論し、
10日に採決、可決した
バーゼル条約は国連環境計画(UNEP)が1989年に採択した法的拘束力のある国際条約
有害廃棄物の国境を越えた移動を規制している。国内処理を原則とし、輸出する際は
相手国に事前通告して同意を得ることを義務付けている。現在は
医療廃棄物や廃油が対象となっているが、プラスチックは一部を除き対象外となっている。
今回の条約改正でひどく汚れていたり、他のゴミと混じっている廃プラは規制対象になる。
具体的には飲み残しが入ったままのペットボトルや、食べ物が付着したままの弁当容器などが
想定される。ただ、プラスチックに混ざっている不純物の量などの統一基準を作るのは難しい。
このため今回の会議では「汚れ」の厳密な定義はせず、各国の判断に委ねることにした。
会議では各国政府や企業、有識者などでつくる協議体の設立も決めた。新しいルールの
運用に向けたガイドラインを作成し、21年1月に円滑な発効を目指す。採択後、
日本は「問題のある廃プラを管理するツールを手に入れた」と歓迎
バーゼル条約には廃プラの排出大国である米国は加盟しておらず
、輸出削減にどこまで効果があるかは不透明だ。
これまで日米欧を中心に先進国から出た廃プラは「リサイクル資源」として
主に中国に輸出されてきた。ただ、その中にはリサイクルに適さない汚れた
廃プラも多く混じっていた。環境汚染を防ぐために、中国は17年末に輸入を中止。
代わりにベトナムやマレーシアに流れたが、すぐに各国の
処理能力は限界に達した。洗浄・選別が十分にできる能力も不足し、
処理されずに海などに捨てられる事態となっている。
今回の規制によって、国内で処理する必要性が高まるのは必至で、
リサイクル業者などが設備を拡充する可能性もある。
国内でのリサイクル費用は途上国に比べ高く、そのコストは企業や消費者に
跳ね返ってくる。
このため「紙や石灰石などプラスチック以外の素材の利用や開発が加速する」
(会議参加者)と期待する声も多い。
世界のプラスチック生産量は年々増加している。環境問題に詳しい
米カリフォルニア大学のガイエル教授らによると、
15年は約4億トン。UNEPは海には少なくとも年間800万トンが
流れていると推計し、生態系や漁業などに深刻な悪影響を及ぼしている。