受動喫煙被害、国の対策で大丈夫ですか?
厚生労働省の元担当官に聞く紆余曲折の内幕
7/24(水) 17:03配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190724-00010005-bfj-soci
環境省大臣官房審議官の正林督章(とくあき)さんに今だから話せることを伺いました。
正林さんは医師免許を持つ「医系技官」で、受動喫煙対策を定めた健康増進法を2002年に成立させるのにも関わった人です。
2018年7月に成立した改正健康増進法は、100平方メートル以下の飲食店は喫煙可能とする経過措置を取り、小中高校など教育施設でも屋外に喫煙所を設けられるようにし、加熱式たばこの規制を緩くするなど当初の案よりもかなり骨抜きにされた印象です。
これで本当に国民の健康は守れるのか、じっくり聞きました。
【BuzzFeed Japan Medical / 岩永直子】
なぜ当初の案よりも後退したのですか?
ーーそもそも正林さんは2002年の「健康増進法」の成立にも関わられていますから、かなり思い入れのある法律だと思います。今回、改正するにあたって、当初案は30平方メートル以下の飲食店のみ喫煙可能とする例外措置を認めますが、厳しい案でした。しかしその後、30平方メートル以下から100平方メートル以下と緩く変更されました。なぜ、自民党案に屈する形になったのですか?
国会なので国会議員が了承しないと法案は通りません。通らない法案に固執して、何も得られないのが果たしていいことなのか、考えなくてはなりません。
ーー誰が一番頑迷に反対したんですか?
誰かということではなく、集団ですから。葉たばこ生産やたばこの小売販売など、たばこに関わる産業や事業は全国にあるので多くの議員が関与しています。葉タバコ農家やたばこ小売店、飲食店の生活にも配慮してのご意見だったのだと思います。
ーー飲食店に面積での例外規定を設けずに原則屋内禁煙としていた元々の「塩崎案」(塩崎恭久元厚労大臣の案)も長く維持していたと思います。変わる潮目は何だったのでしょうか?
自民党の厚労部会であの案をベースにして3、4回議論してもらったのですが、ほとんどの意見が反対でした。毎回議論する度に、発言する人の9割が「この法案じゃだめだ」「こんなものは通さない」というご意見でしたから、前に進まないと感じました。