江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

植物の凄さ 2 「彼岸花は九百を超える別名を持つ・・・」

2013-04-18 | 随想
今年は例年より春の到来が早かった。

私は山育ちのせいか植物が好きだ。
花も好きだがとりわけ、球根で咲く花が好きである。
毎年同じ時期に同じ場所に、必ず咲いてくれる。
特に手入れもいらない。

その最たるものがスイセンである。
種類も多いし、黄色が春を告げる風景である。
ただ、球根は増えていくので3年位たったら、分けて植え替えることも必要だがそれも楽しみである。

その中でも彼岸花の球根は、確実に一年で二倍に増えていく。
いろんな方に分けてあげようとするが、断られることが多い。
彼岸花はお墓の花とか、葉が出なくて茎と花芽が伸びて咲くのでイメージが良くないらしい。

でも、田んぼのあぜ道や土手に群生した赤の彼岸花はとても美しい。
白い花の咲く彼岸花も違った趣で、これもなかなか良い。
こちらは赤い彼岸花より球根が大きく葉も幅が広い。

彼岸花は中国から渡来したといわれており、古文献によると球根を茹でてつぶし、流水につけて毒抜きをして食べる作物だったらしい。
事実、飢饉の時の非常食に利用されていたが、食べて亡くなった例が数多く残っているという。

また、毒を利用して虫よけやネズミよけに使ったこともあり、田んぼのあぜ道や農耕地の周辺に多いのは、そういった使われ方の名残りといわれる。

そのほか墓の周辺に多かったり、真っ赤な花をいきなり咲かせたりするので、不吉な花として嫌われたようだ。
曼珠沙華とも呼ばれるのは、花だけが先に咲いて枯れたあとで、葉が出るので「先ず咲く」(マンズサク)からマンジュシャゲの名が出来たようだ。
また、曼珠沙華とは「赤い」という意味の梵語であるといわれている。

そのほか、「シビトバナ」「ハカバナ」「幽霊花」「イカリバナ」「アカバナ」「イットキバナ」「テクサレ」「オリバナ」「モメラ」など、全国で九百を超える別名を持っているという。一種類でこれほど別名をもつ花は他になく、それだけ生活に密着していたということが言える。

彼岸花は今、根を深く下ろし葉を茂らせて栄養を蓄えている。
四月の下旬になると、葉を枯らせ休眠期に入る。

さて今年は、どんな鮮やかな妖しいばかりの美しさを、見せてくれるだろうかとワクワクもしている。



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