孫が今年から中学生になった。
一人っ子と言うこともあってか比較的おとなしく自我意識の形成もゆっくり目だ。
何をするにも臆病で危ないと思われる橋は渡らない。
乳幼児期でも他人から「可愛い」などと声をかけられると固まってしまうようなところがあった。
こんな彼も早くから保育園に通い、入学後も放課後スクールに在籍し、
集団生活には慣れているし友達と一緒に過ごすことは全く苦にならないタイプではあった。
つまりは、集団生活の習慣は身についているが、自己主張はあまりしない子である。
だから、今までに友人との間でトラブルらしきものは発生していないように思われる。
まあ、俗にいう所の「お坊ちゃん育ち」のまま小学校生活が終わったわけだ。
この彼、物心がついた頃からスポーツ的な事より昆虫や恐竜といったものに関心が強く、ボール投げやボール蹴りにはあまり興味がなかった。
入学した頃、満足にソフトボールも投げられなかったので、私が付き合って遊んであげたが、これが容易ではなかった。
何しろ、彼の親(とりわけ父親)は全くそのようなことに関心はなく、お出かけはいつもクルマであった。
一緒に歩いたり走ったりはしないので、スポーツなどとは縁がなくなるわけだ。
ところが、一転して彼がスポーツに興味を持つようになったのは、隣に越してきた一歳下の男の子が野球をしていたことがきっかけだった。
その子は2年生だったが、都内の少年野球チームに入って活動していたことを誇らしげに語っていた。
そして、引越しを機に地元の野球チームに入ったというのだ。
この子に刺激されてか、それまで私がキャッチボールの相手を務めてやっとのことでボールの投げ方と受け方ができる程度だったにも関わらず、
自分も野球チームに入ると言い出した。
おそらく初めてのことだったかもしれない。
自分からやりたいことを主張したのは・・・。
ちょうど小学校3年生になった歳だった。
親も今までとは打って変わって、今度は野球チームに参加せることに熱を入れだす始末・・・。
私も娘(彼の母親)には何だかんだと言えるが、彼の父親にはものを言うのを憚っていた。
おそらく自分の息子なら、何度も罵声を浴びせていたに違いない。
と言うか、こんなタイプの父親にはなっていないだろう。
話が横にそれたが、孫のその後の成長は一歩一歩と確実に伸びていった。
これも性格的なものなのか、言い付けをしっかり守り、テレビを見てはプロ野球の選手の真似をよく行っていた。
今までは恐竜の動きを映像で見て上手に真似ていたが、
今度は主にピッチャーの投げる様子をそっくり真似して格好良いフォームでシャドーピッチングする毎日だった。
外遊びで走り回ったりする経験が乏しく体力のない彼は、チームに入った頃は動きについていくのがやっとの感があったが、
みんなの動きを見て走るのもだんだん苦ではなくなっていったようだ。
一年経つと見違えるほど上達し、私とのキャッチボールでも十分対応できるまでになってきた。
子どもというのは自信が相乗効果を発揮してみるみる技術も上達するものだと実感した。
5年生になった頃には私の眼と肩の弱りも重なり、キャッチボールをしても彼のスピードボールにやっとのことで対応するほどだった。
こうして彼は、6年生の時にはチームのエース級のピッチャーにまでなっていた。
スピードはイマイチだが、コントロールが抜群なのは彼の持ち味であることは誰の目からも分かった。
因みに彼の父親も初めて野球に触れて、一からルールを勉強したりコーチの補佐役を務めるようになり、日ごとに野球にのめりこんでいった。
息子と同じではまり込むとトコトンやるようなタイプなのかもしれない。
まあ、言ってみれば、親子ともどもこの4年間で野球にはまり浸かっていったのである。
(つづく)
一人っ子と言うこともあってか比較的おとなしく自我意識の形成もゆっくり目だ。
何をするにも臆病で危ないと思われる橋は渡らない。
乳幼児期でも他人から「可愛い」などと声をかけられると固まってしまうようなところがあった。
こんな彼も早くから保育園に通い、入学後も放課後スクールに在籍し、
集団生活には慣れているし友達と一緒に過ごすことは全く苦にならないタイプではあった。
つまりは、集団生活の習慣は身についているが、自己主張はあまりしない子である。
だから、今までに友人との間でトラブルらしきものは発生していないように思われる。
まあ、俗にいう所の「お坊ちゃん育ち」のまま小学校生活が終わったわけだ。
この彼、物心がついた頃からスポーツ的な事より昆虫や恐竜といったものに関心が強く、ボール投げやボール蹴りにはあまり興味がなかった。
入学した頃、満足にソフトボールも投げられなかったので、私が付き合って遊んであげたが、これが容易ではなかった。
何しろ、彼の親(とりわけ父親)は全くそのようなことに関心はなく、お出かけはいつもクルマであった。
一緒に歩いたり走ったりはしないので、スポーツなどとは縁がなくなるわけだ。
ところが、一転して彼がスポーツに興味を持つようになったのは、隣に越してきた一歳下の男の子が野球をしていたことがきっかけだった。
その子は2年生だったが、都内の少年野球チームに入って活動していたことを誇らしげに語っていた。
そして、引越しを機に地元の野球チームに入ったというのだ。
この子に刺激されてか、それまで私がキャッチボールの相手を務めてやっとのことでボールの投げ方と受け方ができる程度だったにも関わらず、
自分も野球チームに入ると言い出した。
おそらく初めてのことだったかもしれない。
自分からやりたいことを主張したのは・・・。
ちょうど小学校3年生になった歳だった。
親も今までとは打って変わって、今度は野球チームに参加せることに熱を入れだす始末・・・。
私も娘(彼の母親)には何だかんだと言えるが、彼の父親にはものを言うのを憚っていた。
おそらく自分の息子なら、何度も罵声を浴びせていたに違いない。
と言うか、こんなタイプの父親にはなっていないだろう。
話が横にそれたが、孫のその後の成長は一歩一歩と確実に伸びていった。
これも性格的なものなのか、言い付けをしっかり守り、テレビを見てはプロ野球の選手の真似をよく行っていた。
今までは恐竜の動きを映像で見て上手に真似ていたが、
今度は主にピッチャーの投げる様子をそっくり真似して格好良いフォームでシャドーピッチングする毎日だった。
外遊びで走り回ったりする経験が乏しく体力のない彼は、チームに入った頃は動きについていくのがやっとの感があったが、
みんなの動きを見て走るのもだんだん苦ではなくなっていったようだ。
一年経つと見違えるほど上達し、私とのキャッチボールでも十分対応できるまでになってきた。
子どもというのは自信が相乗効果を発揮してみるみる技術も上達するものだと実感した。
5年生になった頃には私の眼と肩の弱りも重なり、キャッチボールをしても彼のスピードボールにやっとのことで対応するほどだった。
こうして彼は、6年生の時にはチームのエース級のピッチャーにまでなっていた。
スピードはイマイチだが、コントロールが抜群なのは彼の持ち味であることは誰の目からも分かった。
因みに彼の父親も初めて野球に触れて、一からルールを勉強したりコーチの補佐役を務めるようになり、日ごとに野球にのめりこんでいった。
息子と同じではまり込むとトコトンやるようなタイプなのかもしれない。
まあ、言ってみれば、親子ともどもこの4年間で野球にはまり浸かっていったのである。
(つづく)