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山口智子さんの選択
俳優・山口智子さんの発言が注目を集めています。今年2月発売の雑誌『FRaU』(講談社)3月号に掲載されたロングインタビューで、山口さんは次のように話しています。
「私はずっと、『親』というものになりたくないと思って育ちました。私は『子供のいる人生』とは違う人生を歩みたいなと。だからこそ、血の繋がりはなくとも、伴侶という人生のパートナーを強く求めていました。唐沢さんは、夫であり、家族であり、友であり、恋人であり……。唐沢さんと一緒に生きることは、ほんとうに楽しいです」
「私はずっと、子供を産んで育てる人生ではない、別の人生を望んでいました。今でも、一片の後悔もないです。人それぞれ、いろんな選択があっていいはず。もちろん、子供を持って初めてわかる感動もあると思います。実際に産んでみないとわからないことだと思うけれど。でも私は、自分の選択に微塵の後悔もないです。夫としっかり向き合って、二人の関係を築いていく人生は、本当に幸せです」
※(左)『FRaU』2016年3月号136ページ(抜粋)、(右)同138ページ(同)
こうした発言に対し、インターネット上では「潔い」「よく言ってくれた」という賛成の声が上がる一方、「無責任だ」「わがままだ」という反対の意見も出ています(※ぜひ検索してみて下さい)。反対の理由としては、「社会保障制度や国の存続のために産むべき」「自分の老後の面倒は誰に見てもらうつもりなのか」「子孫を残すのは生物として当然」等があるようです。また、大阪市のある中学校長が「女性にとって最も大切なことは子どもを2人以上産むことだ」と全校生徒の前で発言したことが先日報道されました。山口さんの「産まない選択」は本当に無責任なのでしょうか。
産まない自由があるから産む自由がある
私は以前から、子どもを産む選択をしようとも産まない選択をしようとも、あるいは、結婚する選択をしようともしない選択をしようとも、何れの選択も尊重され、それなりに安心して生活が出来る、多様性豊かな社会を築くべきと考えています。ですから、山口さんの産まない選択も尊重されて当然だと強く思います。
そこで、「子どもを産まない選択は無責任だ」という意見に対して、「産まない自由があるからこそ産む自由がある」ことを指摘したく思います。例えば、中国では、昨年末まで、人口増加を抑制するための「一人っ子政策」が取られていました。そのため、2014年には年間1千万人近い女性が子どもを中絶しており、その手術は流れ作業のようだそうです。高額の罰金を払って二人目を認めてもらうことも出来ましたが、罰金や中絶手術代が払えない夫婦は、密かに子どもを産み育てました。その結果、中国には約1300万人もの無戸籍児がいるそうです。戸籍上登録されていないということは、日本で言えば、健康保険や義務教育等の公的サービスが受けられなかったり、パスポートや免許証等を取得する資格がなかったりすることを意味します。そうした無戸籍児が人口の1%近く存在するのですから、大変深刻な問題です。
もしも日本で、戦後から今に至るまで、結婚して子どもを2人、3人あるいはそれ以上産むことがずっと当たり前だったとしたら、人口は増加し続け、その結果、いずれは「一人っ子政策」のような制限政策が必要になったことでしょう。実際、日本でも、終戦直後の食糧難の中、戦争で失った植民地から大勢の日本人が引き揚げてきたことに加え、ベビーブームが生じたことから、このままでは日本全体が飢餓状態に陥ることが危惧されました。そのため実施されたのが、経済的な理由での妊娠中絶を認めるという「産児制限」でした。その結果、戦後のベビーブームはわずか3年程で終わったのです。
今の日本では、親としての責任を果たすことが出来る限り、子どもを多く産むことはむしろ称賛されますし、テレビでもよく取り上げられます。そうした子どもを産む自由を享受できるのは、一方で、子どもを産まない選択をする人達もそれなりにいる結果として、人口が増え過ぎる、多過ぎるという問題の心配が日本ではないからです。産まない自由があるからこそ産む自由があることを決して忘れてはいけません。
※川勝知事を招いての私の県政報告会でも「産まない選択」を取り上げました。(平成28年2月21日)
企業子宝率ではなくワークライフバランスの推進を
国や自治体では出生率を上げることを目標に掲げたり、子育て支援に積極的で社員が沢山の子供を産んでいる企業の出生率「企業子宝率」を示して表彰したりしていますが、こうした取り組みは、子どもを産まない選択をした、あるいは、どうしても子供を産むことができない人達にとって、無用の圧力や肩身の狭い思いをさせるものにしかなりません。
結婚、出産、子育てがしやすい環境整備は当然必要ですし、その結果として出生率は上昇するでしょう。しかし、出生率はあくまでも状態指標の一つとして見るべきです。なぜなら、出生率上昇を目標として全面に掲げることは、国や自治体、経済や社会保障制度を維持するための手段として出生率上昇を目指すことを意味するからです。正に戦前の「産めよ増やせよ」と同様の発想です。そうではなく、何れの選択をしても尊重され安心して生活が出来る社会実現のための政策、例えば、仕事と家庭や余暇の時間をバランスよく持つことを可能にする「ワークライフバランス」の推進等の雇用環境の改善を更に進めるべきではないでしょうか。
お読み下さり、ありがとうございます。
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山口智子さんの選択
俳優・山口智子さんの発言が注目を集めています。今年2月発売の雑誌『FRaU』(講談社)3月号に掲載されたロングインタビューで、山口さんは次のように話しています。
「私はずっと、『親』というものになりたくないと思って育ちました。私は『子供のいる人生』とは違う人生を歩みたいなと。だからこそ、血の繋がりはなくとも、伴侶という人生のパートナーを強く求めていました。唐沢さんは、夫であり、家族であり、友であり、恋人であり……。唐沢さんと一緒に生きることは、ほんとうに楽しいです」
「私はずっと、子供を産んで育てる人生ではない、別の人生を望んでいました。今でも、一片の後悔もないです。人それぞれ、いろんな選択があっていいはず。もちろん、子供を持って初めてわかる感動もあると思います。実際に産んでみないとわからないことだと思うけれど。でも私は、自分の選択に微塵の後悔もないです。夫としっかり向き合って、二人の関係を築いていく人生は、本当に幸せです」
※(左)『FRaU』2016年3月号136ページ(抜粋)、(右)同138ページ(同)
こうした発言に対し、インターネット上では「潔い」「よく言ってくれた」という賛成の声が上がる一方、「無責任だ」「わがままだ」という反対の意見も出ています(※ぜひ検索してみて下さい)。反対の理由としては、「社会保障制度や国の存続のために産むべき」「自分の老後の面倒は誰に見てもらうつもりなのか」「子孫を残すのは生物として当然」等があるようです。また、大阪市のある中学校長が「女性にとって最も大切なことは子どもを2人以上産むことだ」と全校生徒の前で発言したことが先日報道されました。山口さんの「産まない選択」は本当に無責任なのでしょうか。
産まない自由があるから産む自由がある
私は以前から、子どもを産む選択をしようとも産まない選択をしようとも、あるいは、結婚する選択をしようともしない選択をしようとも、何れの選択も尊重され、それなりに安心して生活が出来る、多様性豊かな社会を築くべきと考えています。ですから、山口さんの産まない選択も尊重されて当然だと強く思います。
そこで、「子どもを産まない選択は無責任だ」という意見に対して、「産まない自由があるからこそ産む自由がある」ことを指摘したく思います。例えば、中国では、昨年末まで、人口増加を抑制するための「一人っ子政策」が取られていました。そのため、2014年には年間1千万人近い女性が子どもを中絶しており、その手術は流れ作業のようだそうです。高額の罰金を払って二人目を認めてもらうことも出来ましたが、罰金や中絶手術代が払えない夫婦は、密かに子どもを産み育てました。その結果、中国には約1300万人もの無戸籍児がいるそうです。戸籍上登録されていないということは、日本で言えば、健康保険や義務教育等の公的サービスが受けられなかったり、パスポートや免許証等を取得する資格がなかったりすることを意味します。そうした無戸籍児が人口の1%近く存在するのですから、大変深刻な問題です。
もしも日本で、戦後から今に至るまで、結婚して子どもを2人、3人あるいはそれ以上産むことがずっと当たり前だったとしたら、人口は増加し続け、その結果、いずれは「一人っ子政策」のような制限政策が必要になったことでしょう。実際、日本でも、終戦直後の食糧難の中、戦争で失った植民地から大勢の日本人が引き揚げてきたことに加え、ベビーブームが生じたことから、このままでは日本全体が飢餓状態に陥ることが危惧されました。そのため実施されたのが、経済的な理由での妊娠中絶を認めるという「産児制限」でした。その結果、戦後のベビーブームはわずか3年程で終わったのです。
今の日本では、親としての責任を果たすことが出来る限り、子どもを多く産むことはむしろ称賛されますし、テレビでもよく取り上げられます。そうした子どもを産む自由を享受できるのは、一方で、子どもを産まない選択をする人達もそれなりにいる結果として、人口が増え過ぎる、多過ぎるという問題の心配が日本ではないからです。産まない自由があるからこそ産む自由があることを決して忘れてはいけません。
※川勝知事を招いての私の県政報告会でも「産まない選択」を取り上げました。(平成28年2月21日)
企業子宝率ではなくワークライフバランスの推進を
国や自治体では出生率を上げることを目標に掲げたり、子育て支援に積極的で社員が沢山の子供を産んでいる企業の出生率「企業子宝率」を示して表彰したりしていますが、こうした取り組みは、子どもを産まない選択をした、あるいは、どうしても子供を産むことができない人達にとって、無用の圧力や肩身の狭い思いをさせるものにしかなりません。
結婚、出産、子育てがしやすい環境整備は当然必要ですし、その結果として出生率は上昇するでしょう。しかし、出生率はあくまでも状態指標の一つとして見るべきです。なぜなら、出生率上昇を目標として全面に掲げることは、国や自治体、経済や社会保障制度を維持するための手段として出生率上昇を目指すことを意味するからです。正に戦前の「産めよ増やせよ」と同様の発想です。そうではなく、何れの選択をしても尊重され安心して生活が出来る社会実現のための政策、例えば、仕事と家庭や余暇の時間をバランスよく持つことを可能にする「ワークライフバランス」の推進等の雇用環境の改善を更に進めるべきではないでしょうか。
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