(1970/ロバート・マリガン監督/ジェニファー・オニール、ゲイリー・グライムズ/105分)
よくお邪魔するブログ、anupamさんの“シネマトリックス”の「冒険者たち」の記事の中で、主演のジョアナ・シムカスと同じ“さわやか美しい系”の女優として名前が挙がっていたジェニファー・オニールが、今回の「おもいでの夏」の主演女優である。
同じマリガン監督の「アラバマ物語」の記事の中でも、いつかこの映画についても書きたいと言っていたが、レンタルビデオもないみたいだし、いつ再見できるかも分からないので、思い出の作品として書いてみようと思う。
ハーマン・ローチャーの原作で、脚本も彼が書いている。1942年、第二次世界大戦まっただ中のアメリカ東部の避暑地、ニューイングランドに住んでいる男子高校生ハーミーが主人公で、数十年後の彼がこの地を訪れて、当時を思い出すという形式で始まったと思う。【原題:SUMMER OF '42】
二人の友達がいて、一人はジャイアンのように体が大きい少年で確か名前はオジー。もう一人はハッキリ覚えていないが、理系の本好きの少年(ベンジーという名)だったと思う。今から思えばまるで、「どらえもん」の三人組のようである。
男の子たち、というかオジーとハーミーはその年頃の少年にありがちのように、頭の中の半分以上は女の子のことだらけ。
ある夜、二人の女の子と砂浜でダブルデートのような状況になるが、それは砂浜の倒木に腰を掛けて、マシュマロを焼きながらのデートであった。しばらくすると、オジーとそのお相手は少し離れた場所へ移動していく。ハーミーのカップルは高校生らしく普通におしゃべりをしているが、オジーとお相手は高校生にあるまじき交際を始めてしまう。それは、オジーの計画通りであった。
オジーは、時々ハーミーのところに戻ってきては状況説明のようなことをする。お相手はオジー以上にすすんでいて、オジーは持ち合わせのコンドームを使い切ってしまい、ハーミーにお前の分もよこせと言う。ハーミーが『一体どこまでいったんだ?』と聞く。『AもBもすんだ。C(?)、D(?)・・・もうどこだかわから~ん!』
そんな、オジーの初体験や、この直前にドラッグストアで二人がコンドームを買うエピソードなんかが、おかしく、また懐かしさを想起させながら語られていく。
しかし、それにしても名手ロバート・サーティースの映像はノスタルジックな美しい絵画を見てるようだし、ミシェル・ルグランのピアノの旋律は泣きたくなる程に切ない。
ジェニファー演じるドロシーも、旦那さんと二人で戦火を避けてこの地へ引っ越して来た女性で、船から降りてくる美しいドロシーを見たハーミーは、頭の中が彼女で一杯になってしまう。
軍人である旦那さんが出征した後、ドロシーと知り合いになったハーミーは、時々その海辺の高台にある彼女の家に寄っては家事を手伝ったりするようになる。
オジーはずっと年上の女性に惹かれているらしいハーミーの気持ちが分からなかったが、ハーミーは彼女といっしょにいるだけで幸せな気分でいられるのだった。
しかし、ある事件をきっかけに二人に別れが訪れる・・・。
▼(ネタバレ注意)
ある夜、何かの用事でドロシーの家へ行くと、彼女の姿が見えない。テーブルの上には開かれたまんまの手紙が置いてある。なんと、それはドロシーのご亭主の戦死の知らせだった。
外で泣きながらタバコを吸っていたドロシーは、黙ってレコードをかけ、音楽に合わせてハーミーと無言で踊る。ドロシーに声をかけることもできないハーミー。やがて二人はどちらが誘うともなくベッドの上に横たわる・・・。
次の日、前夜の事のあと一旦家に帰ったハーミーがドロシーの家に来てみると、そこには一枚の手紙がピンでドアに留めてあった。『ハーミーへ』。
何と書いてあったかは忘れてしまった。『(ハーミーに)後悔しないで欲しい・・・』というような文言ではなかったかと思う。
それ以来、ハーミーはドロシーと会っていない。
▲(解除)
当時は映画は一回しか観てないが、原作の方を何回も読んだので、思い入れが映画の方なのか本の方なのか自分でも分からなくなっている。
ジェニファー・オニール演じるドロシーが、淡い色のカーディガンを着ているスチール写真が大好きで、しばらく部屋に飾ってました。48年生まれだから還暦が間近ですが、もう随分と彼女の噂は聞かんですなぁ。
ゲーリー・グライムズは、ちりちり頭の真面目な少年という雰囲気。この後の、ディック・リチャーズの「男の出発(たびだち)(1972)」でも好演を見せていた。
1971年のアカデミー賞では、脚本賞、撮影賞、作曲賞、編集賞にノミネートされ、ルグランが作曲賞に輝いた。このテーマ曲も、何度も何度も聞きましたな。
尚、1973年製作の「続・おもいでの夏」という作品があるが、これは高校を卒業したハーミーのその後のカレッジ・ライフを描いたものらしい。ローチャーの脚本で、ハーミーやオジー役は同じだが、監督はポール・ボガートに変わっていて、内容も前作とは違った雰囲気らしい。勿論、ドロシーは出てこない。こちらは未見です。
・ハーミーとドロシーの後日談について
・2007年、再見記事
・テーマ曲「♪Summer of '42」はコチラ
よくお邪魔するブログ、anupamさんの“シネマトリックス”の「冒険者たち」の記事の中で、主演のジョアナ・シムカスと同じ“さわやか美しい系”の女優として名前が挙がっていたジェニファー・オニールが、今回の「おもいでの夏」の主演女優である。
同じマリガン監督の「アラバマ物語」の記事の中でも、いつかこの映画についても書きたいと言っていたが、レンタルビデオもないみたいだし、いつ再見できるかも分からないので、思い出の作品として書いてみようと思う。
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二人の友達がいて、一人はジャイアンのように体が大きい少年で確か名前はオジー。もう一人はハッキリ覚えていないが、理系の本好きの少年(ベンジーという名)だったと思う。今から思えばまるで、「どらえもん」の三人組のようである。
男の子たち、というかオジーとハーミーはその年頃の少年にありがちのように、頭の中の半分以上は女の子のことだらけ。
ある夜、二人の女の子と砂浜でダブルデートのような状況になるが、それは砂浜の倒木に腰を掛けて、マシュマロを焼きながらのデートであった。しばらくすると、オジーとそのお相手は少し離れた場所へ移動していく。ハーミーのカップルは高校生らしく普通におしゃべりをしているが、オジーとお相手は高校生にあるまじき交際を始めてしまう。それは、オジーの計画通りであった。
オジーは、時々ハーミーのところに戻ってきては状況説明のようなことをする。お相手はオジー以上にすすんでいて、オジーは持ち合わせのコンドームを使い切ってしまい、ハーミーにお前の分もよこせと言う。ハーミーが『一体どこまでいったんだ?』と聞く。『AもBもすんだ。C(?)、D(?)・・・もうどこだかわから~ん!』
そんな、オジーの初体験や、この直前にドラッグストアで二人がコンドームを買うエピソードなんかが、おかしく、また懐かしさを想起させながら語られていく。
しかし、それにしても名手ロバート・サーティースの映像はノスタルジックな美しい絵画を見てるようだし、ミシェル・ルグランのピアノの旋律は泣きたくなる程に切ない。
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軍人である旦那さんが出征した後、ドロシーと知り合いになったハーミーは、時々その海辺の高台にある彼女の家に寄っては家事を手伝ったりするようになる。
オジーはずっと年上の女性に惹かれているらしいハーミーの気持ちが分からなかったが、ハーミーは彼女といっしょにいるだけで幸せな気分でいられるのだった。
しかし、ある事件をきっかけに二人に別れが訪れる・・・。
▼(ネタバレ注意)
ある夜、何かの用事でドロシーの家へ行くと、彼女の姿が見えない。テーブルの上には開かれたまんまの手紙が置いてある。なんと、それはドロシーのご亭主の戦死の知らせだった。
外で泣きながらタバコを吸っていたドロシーは、黙ってレコードをかけ、音楽に合わせてハーミーと無言で踊る。ドロシーに声をかけることもできないハーミー。やがて二人はどちらが誘うともなくベッドの上に横たわる・・・。
次の日、前夜の事のあと一旦家に帰ったハーミーがドロシーの家に来てみると、そこには一枚の手紙がピンでドアに留めてあった。『ハーミーへ』。
何と書いてあったかは忘れてしまった。『(ハーミーに)後悔しないで欲しい・・・』というような文言ではなかったかと思う。
それ以来、ハーミーはドロシーと会っていない。
▲(解除)
当時は映画は一回しか観てないが、原作の方を何回も読んだので、思い入れが映画の方なのか本の方なのか自分でも分からなくなっている。
ジェニファー・オニール演じるドロシーが、淡い色のカーディガンを着ているスチール写真が大好きで、しばらく部屋に飾ってました。48年生まれだから還暦が間近ですが、もう随分と彼女の噂は聞かんですなぁ。
ゲーリー・グライムズは、ちりちり頭の真面目な少年という雰囲気。この後の、ディック・リチャーズの「男の出発(たびだち)(1972)」でも好演を見せていた。
1971年のアカデミー賞では、脚本賞、撮影賞、作曲賞、編集賞にノミネートされ、ルグランが作曲賞に輝いた。このテーマ曲も、何度も何度も聞きましたな。
尚、1973年製作の「続・おもいでの夏」という作品があるが、これは高校を卒業したハーミーのその後のカレッジ・ライフを描いたものらしい。ローチャーの脚本で、ハーミーやオジー役は同じだが、監督はポール・ボガートに変わっていて、内容も前作とは違った雰囲気らしい。勿論、ドロシーは出てこない。こちらは未見です。
・ハーミーとドロシーの後日談について
・2007年、再見記事
・テーマ曲「♪Summer of '42」はコチラ
・お薦め度【★★★=あの夏が思い出したい人、一度は見ましょう】 
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「続」というのは見てないですが、なんかあまり見たくないような・・・
ジェニファー・オニールがヴィスコンティの「イノセント」に客演した時は驚きました。
ヴィスコンティの映画に出たというような話はかすかに記憶があります。ドロシーの雰囲気とヴィスコンティが結びつかなかったので、意外だなぁと・・・。
「イノセント」は未見です。
少しだけ、けだるいような美しい曲だったような・・
でも青春時代にこんな思い出のある男の人って、いいですよね。すごく切ないけど・・
ドロシーの選択は賢明なものだったような気はしますな。おかげで、小説が生まれ、映画もできた。
女性の立場からだと、また違う物語になるんでしょうなぁ・・・。
ここでご紹介されている「おもいでの夏」も、私にとって、そんな忘れられない作品のひとつです。
感動に打ち震えて観た時の事を思い出して、この映画の感想を述べてみたいと思います。
"名匠ロバート・マリガン監督が、少年の日の年上の女性への憧れを、情感豊かにノスタルジックに描いた「おもいでの夏」"
この映画「おもいでの夏」は、「アラバマ物語」の名匠ロバート・マリガン監督が、少年の日の年上の女性への憧れを、情感豊かに、ノスタルジックに、ときにユーモラスに描いた青春映画の秀作です。
原題は、「SUMMER of '42(42年の夏)」ですが、なぜ1942年の夏なのかというと、監督のロバート・マリガンもこの映画の少年たちと同じロー・ティーンだった、第二次世界大戦中の夏を懐かしみつつも、映画の背後に当時、悪化しつつあったヴェトナム戦争への怒りというものを、浮かびあがらせているのだと思います。
ニューイングランドの小さな島。
1942年、第二次世界大戦のさなかの夏、この島に避暑にやって来た、15歳の少年ハーミー(ゲイリー・グライムス)が、小高い丘の上のコテージで、やはり、ひと夏を過ごす事になった人妻のドロシー(ジェニファー・オニール)に恋をします。
というより、ひたすら憧れるのです。
レンズに紗をかけたり、特殊なフィルターを使用しての名カメラマン、ロバート・サーティースによる、映画の中で、初めてハーミーがドロシーを見る時のスローモーション・カメラが捉えた、淡く美しい水彩画を思わせるような画面。
そして、それにかぶるミシェル・ルグランの哀愁を帯びたメロディが、心の琴線を震わせます。
それだけで、完成された年上の女性に憧れる、少年の潔癖な思いが観ている我々の胸に、狂おしいほどに伝わって来ます。
村の雑貨屋にコンドームを買いに行って冷や汗をかいたり、手に入れた医学書の中の女性の人体図に興奮してみたり、映画館の中で同じ年頃のガールフレンドに手を出そうとしてみたりと、多感でいたずらざかりの思春期の少年の日々のディテールを、ロバート・マリガン監督は真剣にときにユーモラスに、柔らかく優しいまなざしで、ていねいに描いていきます。
しかし、年上の憧れの女性ドロシーに、すっかり心を奪われてしまったハーミーは、もはやそんな子供っぽい遊びには夢中になれなくなっていたのです。
買い物袋を抱えたドロシーに、手を貸した事からハーミーは、ドロシーの家へ遊びに行くようになり、彼女の前で大人らしいところを見せようとコーヒーをブラックで飲もうとして、思わずむせてしまうなどの微笑ましいシーンがあり、「アイ・ラブ・ユー」と言いたいのに、「アイ・ライク・ユー」としか口に出せないハーミー。
そんな自分を慕う少年を、年上の人妻はいつも優しく微笑んで見守ってくれる。
まさに、少年時代のひと時の幸福な特権的な自分だけの時間-------。
そして、夏も終わりに近づき、ハーミーのヴァカンスも残り少なくなったある日、ハーミーが訪れた部屋に、ドロシーの姿が見当たりません。
レコードが空転し、灰皿にはタバコが煙り、テーブルの上に夫の戦死を知らせる電報が-------。
寝室から目を真っ赤に泣きはらして出て来るドロシー。
寂しくハーミーに微笑みかけて、どちらからともなく抱き合ったまま踊る二人。
影が壁に揺れ、手が組み合わされ、ベッドのカヴァーがはずされ、レースのカーテンが夜風にあおられて-------。
このハーミーが、ドロシーと初めて結ばれるシーンのロバート・マリガン監督の、人間のはかなさと哀しみを心優しく見つめる、繊細な演出に思わず目頭が熱くなって来ます。
次の日、ハーミーがドロシーのコテージへ行くと一枚の置手紙があり、「昨夜のことの意味は、あなたが大人になってからわかるでしょう。
あなたが不幸にならないように祈っています、ドロシー」と-------。
そして、この映画も夏の終わりと共に終わりを告げます。
「あの15歳の日のハーミーを永遠に失った」--------。
海辺を吹く風の音、カモメの鳴き声、そしてドロシーが去った後のコテージのドアの空しい音。
ミシェル・ルグランの哀愁を帯びたメインテーマも、いつまでも心に残りますが、それと共にこの映画は、自然の音を実にうまく使って余韻を持たせてくれていると思います。
私だけの小さな額縁の中に入れて、部屋に飾っておきたいような、静かな、そして心にいつまでも残り続ける、"青春映画の宝物"のような作品なのです。
真希(まき)さんなら女性でしょうけど、「おもいでの夏」がお好きなんてまさか男性?
記事にも書いてますが、原作の単行本を映画と同時に読んでいて、僕の青春のおもいでの作品です。
ジェニファーさんも素敵でした♪