(2003/ロブ・ライナー監督/ルーク・ウィルソン、ケイト・ハドソン、ソフィー・マルソー、デヴィッド・ペイマー、ジョーダン・ランド、ロブ・ライナー/95分)
処女小説がそこそこ売れたが2作目が手につかずにスランプ中のボストンの作家アレックス。しかし、今の彼を最も悩ませているのはキューバのサラ金から借りた5万ドルの借金のことだった。
ついに彼のアパートまでやってきた取り立て屋は二人共剛力の持ち主で、危うくアレックスは窓から真っ逆さまに落とされそうになった。新作小説を書いたら倍の10万ドルを耳を揃えて返すからと、なんとか30日の猶予をもらって事なきを得たが、商売道具のパソコンを壊された為にアレックスは速記タイピストを雇うことにした。
やってきたのはエマ。ところが募集をかけたはずの法律事務所には全然見えないアレックスの部屋を見てエマはてっきりスケベ目的のとんでも野郎だと勘違いする。口述の為の速記で報酬は後払いとなれば応募者が来ないだろうとみたアレックスの策略だったが、事情を正直に説明し、処女作の写真付きのハードカバーも見せて説得を試みるのだった。
エマは小説を読むかどうか決めるのにまず結末を読むタイプで、アレックスの処女作はその点では合格点だったようだ。
「新作のテーマは?」
「恋に魂を抜かれてもがき苦しむ哀れな男の話だ」
「またコメディ?」
「そうだ」
「結末を聞いたら怒るかしら?」
「それは僕にも分からない」
「それで小説が書けるの?」
「登場人物さえ決まれば話は勝手に流れていく。小説はそんなもんだ」
「・・面白そう」
かくして、エマはアレックスの執筆に一役買うことを決めるのだった・・・。
何十年も映画を観てきたので2000年以降の作品は僕にとっては新作なんだけど、前回が2012年のフランス映画でお薦め度が低かったので、今度は同じく新作のアメリカ映画を見ることにした。新作を楽しめないのが年のせいだと思われたくないからね。
原題は【ALEX AND EMMA】。
「恋人たちの予感」、「最高の人生の見つけ方」などでご贔屓のロブ・ライナーの作品で、少し前にブックオフで買っていた中古DVDだ。前回に続いて新しいロマンス映画をと選んだだけだったのに、偶然にもヒロインが先週見たのと同じタイピストだったのに驚き。そしてオープニングのクレジットロールも同じくレトロな雰囲気のカラフルなイラストがバックだったのにも驚いた。
アレックスに扮するのはルーク・ウィルソン。
映画サイトで彼のフィルモグラフィーを見たけれど、90年代からご活躍なのにどれも観てませんでした。顎が張ってて中途半端なハンサムぶりがラブコメにお似合いな感じ。中途半端なのでシリアスなドラマにも挑戦できそうです。
一方のエマには「あの頃ペニー・レインと (2000)」のケイト・ハドソン。僕には2作目だけど、今回はコメディだし、主役だし、印象は前作より強く残りました。口元がお母さんに似てるけれど、お母さんの愛嬌のある大き過ぎる瞳は引き継いでいないみたいで、その点シリアスな感情表現が上手そうですね。
そして、小説に出てくるセクシーなフランス女性ポリーナに扮するのがソフィー・マルソーでした。1966年生まれですからこの映画の時は30代後半。「ラ・ブーム」でアイドルとして騒がれた頃には、既にその手の作品には興味の無かった僕には馴染みの薄い女優でしたが、すっかり大人の女優として魅力的になっていましたな。
さて、この後映画はアレックスのアパートで執筆に勤しむ二人の掛け合いと共に、アレックスが話す物語が映像となって流れてくるパラレルワールドになっていきます。
アレックスの書きかけの小説が映像化されるわけですが、口を挟むエマに影響されて筋書きが変化していったり、またアレックスのヒラメキで人物像が変わったりと如何にもコメディらしい展開。ロブ・ライナーらしくユーモアにも軽い毒があって楽しいです。
小説の舞台は1920年代のアメリカ北東部の避暑地。主人公は若い作家で、次回に予定している大作をものにする間の小遣い稼ぎにと、避暑地にやって来たフランス貴族一家の子供達の英語の教師を請けおったのだ。雇い主である子供達の母親は離婚したばかりのシングルマザー、ポリーナ。美しい彼女と逢った作家はひと目で恋に落ちたが、ポリーナには既にパトロンがいた。家庭教師の費用もその男からの借金で、休暇が終わる頃には、男は彼女に結婚を申し込もうと考えていた。
てな具合に小説の人物設定はなっているのですが、再現映像の主人公の作家は当然アレックス。そしてエマは貴族一家の家政婦として登場します。この家政婦が、最初はスウェーデン人、その後ドイツ人に、最後はアメリカ人と設定が変わっていくので、ケイト・ハドソンの一人数役が見れるというお楽しみもあるわけです。
期限までに小説は完成を迎えるのですが、その間にアレックスとエマにも親密な感情が生まれてくる。小説が複雑な三角関係をどう処理していくかで揉めるも、何とかエマも納得の結末となる。ところが、小説がアレックスの実体験を反映していることに気づいたエマは・・・という展開です。
ラブコメらしく、終盤の二人のケンカと仲直りが観てる方がニヤニヤしてしまう程に二段、三段構えで語られていきます。
おっと、シドニー・ポラックばりに監督ロブ・ライナーが役者としても顔を出していたことを付け加えておきます。役は出版社の社長さんでした。
処女小説がそこそこ売れたが2作目が手につかずにスランプ中のボストンの作家アレックス。しかし、今の彼を最も悩ませているのはキューバのサラ金から借りた5万ドルの借金のことだった。
ついに彼のアパートまでやってきた取り立て屋は二人共剛力の持ち主で、危うくアレックスは窓から真っ逆さまに落とされそうになった。新作小説を書いたら倍の10万ドルを耳を揃えて返すからと、なんとか30日の猶予をもらって事なきを得たが、商売道具のパソコンを壊された為にアレックスは速記タイピストを雇うことにした。
やってきたのはエマ。ところが募集をかけたはずの法律事務所には全然見えないアレックスの部屋を見てエマはてっきりスケベ目的のとんでも野郎だと勘違いする。口述の為の速記で報酬は後払いとなれば応募者が来ないだろうとみたアレックスの策略だったが、事情を正直に説明し、処女作の写真付きのハードカバーも見せて説得を試みるのだった。
エマは小説を読むかどうか決めるのにまず結末を読むタイプで、アレックスの処女作はその点では合格点だったようだ。
「新作のテーマは?」
「恋に魂を抜かれてもがき苦しむ哀れな男の話だ」
「またコメディ?」
「そうだ」
「結末を聞いたら怒るかしら?」
「それは僕にも分からない」
「それで小説が書けるの?」
「登場人物さえ決まれば話は勝手に流れていく。小説はそんなもんだ」
「・・面白そう」
かくして、エマはアレックスの執筆に一役買うことを決めるのだった・・・。
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何十年も映画を観てきたので2000年以降の作品は僕にとっては新作なんだけど、前回が2012年のフランス映画でお薦め度が低かったので、今度は同じく新作のアメリカ映画を見ることにした。新作を楽しめないのが年のせいだと思われたくないからね。
原題は【ALEX AND EMMA】。
「恋人たちの予感」、「最高の人生の見つけ方」などでご贔屓のロブ・ライナーの作品で、少し前にブックオフで買っていた中古DVDだ。前回に続いて新しいロマンス映画をと選んだだけだったのに、偶然にもヒロインが先週見たのと同じタイピストだったのに驚き。そしてオープニングのクレジットロールも同じくレトロな雰囲気のカラフルなイラストがバックだったのにも驚いた。
アレックスに扮するのはルーク・ウィルソン。
映画サイトで彼のフィルモグラフィーを見たけれど、90年代からご活躍なのにどれも観てませんでした。顎が張ってて中途半端なハンサムぶりがラブコメにお似合いな感じ。中途半端なのでシリアスなドラマにも挑戦できそうです。
一方のエマには「あの頃ペニー・レインと (2000)」のケイト・ハドソン。僕には2作目だけど、今回はコメディだし、主役だし、印象は前作より強く残りました。口元がお母さんに似てるけれど、お母さんの愛嬌のある大き過ぎる瞳は引き継いでいないみたいで、その点シリアスな感情表現が上手そうですね。
そして、小説に出てくるセクシーなフランス女性ポリーナに扮するのがソフィー・マルソーでした。1966年生まれですからこの映画の時は30代後半。「ラ・ブーム」でアイドルとして騒がれた頃には、既にその手の作品には興味の無かった僕には馴染みの薄い女優でしたが、すっかり大人の女優として魅力的になっていましたな。
さて、この後映画はアレックスのアパートで執筆に勤しむ二人の掛け合いと共に、アレックスが話す物語が映像となって流れてくるパラレルワールドになっていきます。
アレックスの書きかけの小説が映像化されるわけですが、口を挟むエマに影響されて筋書きが変化していったり、またアレックスのヒラメキで人物像が変わったりと如何にもコメディらしい展開。ロブ・ライナーらしくユーモアにも軽い毒があって楽しいです。
小説の舞台は1920年代のアメリカ北東部の避暑地。主人公は若い作家で、次回に予定している大作をものにする間の小遣い稼ぎにと、避暑地にやって来たフランス貴族一家の子供達の英語の教師を請けおったのだ。雇い主である子供達の母親は離婚したばかりのシングルマザー、ポリーナ。美しい彼女と逢った作家はひと目で恋に落ちたが、ポリーナには既にパトロンがいた。家庭教師の費用もその男からの借金で、休暇が終わる頃には、男は彼女に結婚を申し込もうと考えていた。
てな具合に小説の人物設定はなっているのですが、再現映像の主人公の作家は当然アレックス。そしてエマは貴族一家の家政婦として登場します。この家政婦が、最初はスウェーデン人、その後ドイツ人に、最後はアメリカ人と設定が変わっていくので、ケイト・ハドソンの一人数役が見れるというお楽しみもあるわけです。
期限までに小説は完成を迎えるのですが、その間にアレックスとエマにも親密な感情が生まれてくる。小説が複雑な三角関係をどう処理していくかで揉めるも、何とかエマも納得の結末となる。ところが、小説がアレックスの実体験を反映していることに気づいたエマは・・・という展開です。
ラブコメらしく、終盤の二人のケンカと仲直りが観てる方がニヤニヤしてしまう程に二段、三段構えで語られていきます。
おっと、シドニー・ポラックばりに監督ロブ・ライナーが役者としても顔を出していたことを付け加えておきます。役は出版社の社長さんでした。
・お薦め度【★★★=ラブコメファンには、一見の価値あり】
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