(1984/ミロス・フォアマン監督/F・マーレイ・エイブラハム、トム・ハルス、エリザベス・ベリッジ、ロイ・ドートリス、サイモン・キャロウ、ジェフリー・ジョーンズ、クリスティーン・エバーソール、チャールズ・ケイ、ケニー・ベイカー、ヴィンセント・スキャヴェリ、シンシア・ニクソン/160分)
80年代の傑作映画の中でも出色という印象があったこの作品。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)生誕250年に当たる昨年観るつもりで、12月4日のNHK-BS放送を録画したけれど、アッという間に年を越して、2007年最初の鑑賞作品となってしまいました。
35才という若さでこの世を去った天才作曲家モーツァルト。あれ程の名曲を残しながら、何故個別の墓標もない共同墓地に埋葬されねばならなかったのか? その謎の死を軸に、名脚本家ピーター・シェイファーがミステリー仕立てに作り上げた戯曲が元ネタの作品で、映画の脚本もシェイファーが書いている。
アカデミー主演男優賞を獲ったのは、モーツアルトを演じたトム・ハルスではなく、彼の才能に嫉妬し、貶めるために画策した同時代の宮廷音楽家アントニオ・サリエリを演じたF・マーレイ・エイブラハム。映画も年老いたサリエリの回想形式の作品となっている。
信仰心の厚かったサリエリは音楽に対する才能を与えてくれた神に感謝していたが、下品で女癖も悪いくせに自分以上の才能を持つモーツアルトに嫉妬した。それは自らに情熱以上の才能を与えてくれなかった神に対する失望でもあり、陰で自分を侮辱するモーツアルトを見るにつけ、ついには彼を貶めることによって神に復讐しようとした。
才能がありながら、浪費癖もあったと云われるモーツアルト。世界三大悪妻の一人と云われている妻、コンスタンツェ。遺作となったレクイエムが謎の人物からの依頼であったことなどを上手く取り入れて構成し、160分という長さながら再見しても真に面白い映画でありました。モーツァルトの楽曲に詳しければよく分かったのでしょうが、曲を知らなくとも映画としての使い方が素晴らしいのは良~く分かりました。
初見時の印象と違った点は、モーツアルトの死因は結局は酒とクスリに溺れ才能をすり減らしていった自業自得のようなものであり、サリエリの陰謀説は今回は弱く感じました。
最終的には、サリエリの望んだように自らの手で天才を葬る事は出来ず、モーツァルトは神によって召されてしまった。凡庸な音楽家サリエリは、やがて人々に忘れ去られ、子供の頃の夢だった「後世に名を残す」ことも出来ず生涯苦しむことになる。
84年のアカデミー賞では、作品賞、主演男優賞、監督賞、脚色賞他8部門で受賞。主演男優賞ではトム・ハルスもノミネートされたようです。
去年はTV番組でもモーツアルトを扱ったものが沢山あり、一人で演奏旅行をするようになったモーツァルトに父親は必ず金銭出納帳を付けるように言っていたなど、面白い話がありました。オペラ「フィガロの結婚」が大ヒットした縁でプラハにも度々訪れることがあったようで、現在もチェコではモーツァルトの人気は高いとのこと。チェコ出身のフォアマン監督がモーツァルト映画を作った理由の一端が予想出来ました。
クラシック音楽もオペラも門外漢ではありますが、モーツァルトのミュージック・テープ、CDは何本か有り、時々聞きたくなります。
『ウィキペディア(Wikipedia)』に、こんな記述がありました。
<モーツァルトの作品の多くは、手紙や各種の資料で確認できるように生計を立てるために注文を受けて書かれた。モーツァルトの時代は作曲家がのちの時代のように「自己表現の方法として作曲し、聴衆にもそれが理解される」という状態には至っておらず、モーツァルトも芸術家というよりあくまで「音楽の職人」だった。彼が子供の頃から各地を旅行して廻った理由のひとつが就職活動であり、ベートーヴェンのようにフリーランスとして生きていくことは非常に困難な時代だった。従って、モーツァルトの作品はその時代に要求された内容であり、たとえば長調の曲が多いのは、それだけ当時はその注文が多かった(したがって人気があった)事の証でもある。モーツァルトの作品はベートーヴェンの作品と比較してその差異を論じられることもあるが、決定的に異なっているのはふたりがおかれていた社会的状況の差であると言える。>
も少し後に生まれていたら、そしてもっと長く生きていたならば、モーツァルトはあとどのくらいの作品を残していたのでしょうか・・・。
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ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)生誕250年に当たる昨年観るつもりで、12月4日のNHK-BS放送を録画したけれど、アッという間に年を越して、2007年最初の鑑賞作品となってしまいました。
35才という若さでこの世を去った天才作曲家モーツァルト。あれ程の名曲を残しながら、何故個別の墓標もない共同墓地に埋葬されねばならなかったのか? その謎の死を軸に、名脚本家ピーター・シェイファーがミステリー仕立てに作り上げた戯曲が元ネタの作品で、映画の脚本もシェイファーが書いている。
アカデミー主演男優賞を獲ったのは、モーツアルトを演じたトム・ハルスではなく、彼の才能に嫉妬し、貶めるために画策した同時代の宮廷音楽家アントニオ・サリエリを演じたF・マーレイ・エイブラハム。映画も年老いたサリエリの回想形式の作品となっている。
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才能がありながら、浪費癖もあったと云われるモーツアルト。世界三大悪妻の一人と云われている妻、コンスタンツェ。遺作となったレクイエムが謎の人物からの依頼であったことなどを上手く取り入れて構成し、160分という長さながら再見しても真に面白い映画でありました。モーツァルトの楽曲に詳しければよく分かったのでしょうが、曲を知らなくとも映画としての使い方が素晴らしいのは良~く分かりました。
初見時の印象と違った点は、モーツアルトの死因は結局は酒とクスリに溺れ才能をすり減らしていった自業自得のようなものであり、サリエリの陰謀説は今回は弱く感じました。
最終的には、サリエリの望んだように自らの手で天才を葬る事は出来ず、モーツァルトは神によって召されてしまった。凡庸な音楽家サリエリは、やがて人々に忘れ去られ、子供の頃の夢だった「後世に名を残す」ことも出来ず生涯苦しむことになる。
84年のアカデミー賞では、作品賞、主演男優賞、監督賞、脚色賞他8部門で受賞。主演男優賞ではトム・ハルスもノミネートされたようです。
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クラシック音楽もオペラも門外漢ではありますが、モーツァルトのミュージック・テープ、CDは何本か有り、時々聞きたくなります。
『ウィキペディア(Wikipedia)』に、こんな記述がありました。
<モーツァルトの作品の多くは、手紙や各種の資料で確認できるように生計を立てるために注文を受けて書かれた。モーツァルトの時代は作曲家がのちの時代のように「自己表現の方法として作曲し、聴衆にもそれが理解される」という状態には至っておらず、モーツァルトも芸術家というよりあくまで「音楽の職人」だった。彼が子供の頃から各地を旅行して廻った理由のひとつが就職活動であり、ベートーヴェンのようにフリーランスとして生きていくことは非常に困難な時代だった。従って、モーツァルトの作品はその時代に要求された内容であり、たとえば長調の曲が多いのは、それだけ当時はその注文が多かった(したがって人気があった)事の証でもある。モーツァルトの作品はベートーヴェンの作品と比較してその差異を論じられることもあるが、決定的に異なっているのはふたりがおかれていた社会的状況の差であると言える。>
も少し後に生まれていたら、そしてもっと長く生きていたならば、モーツァルトはあとどのくらいの作品を残していたのでしょうか・・・。
・お薦め度【★★★★★=大いに見るべし!】 
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モーツァルトの楽譜ってほとんど書き直しがないんでしょ?頭の中にあるものを書き表しているので、楽譜上での推敲がほとんどないらしい・・
どう考えても天才だな~~。すごいな~~うっとり
私の2チャンネル・ステレオで再生しても音質抜群で、興奮が蘇ります。
BS2で放映されましたが、極力良い状態で保存したいのでハイビジョンに登場するのを待っているのですが、出ないかなあ。
80年代以降発表された作品では、ベルイマンの「ファニーとアレクサンデル」と並ぶマイ・ベスト。
エイブラハムと対照的にトム・ハルスは結局スターダムには乗れなかったですね。
そんな印象深いシーンが満載の傑作でした。
ラストシーンの楽曲もCDで何度も聞いているものでした。うっとり
初めて観た時からトム・ハルスも良いなぁと思っていたんですが、その後鳴かず飛ばずですねぇ。舞台で活躍してるんだろうと思ってましたが、映画サイトのデータでもそのように書いてありました。ピアノの名手だそうで、演奏シーンは自演だそうです。
50代に入りましたから、そろそろ映画でももう一度名演が観たい人ですね。
両親がアウシュヴィッツで亡くなったり、本人もプラハの春でソ連軍がチェコ侵攻の際に、祖国を捨て国外に渡ったりと、前半生は波乱の人生でしたが、ハリウッドにわたってからは恵まれかたが尋常じゃなくて、不思議な感じもします。
外国人監督が「カッコーの巣の上で」「ヘアー」「アマデウス」と誰もが手がけたいような話題作を獲得出来た秘訣はなんだったのか?
音楽がいいのは当然ですが、オペラ・シーンの演出も印象に残っています。
この年のアカデミー作曲賞を受賞したモーリス・ジャール(「インドへの道」)が、「モーツァルトがライヴァルじゃなくて良かった」とか言って、笑わせてましたよね。
>両親がアウシュヴィッツで亡くなったり・・・
一瞬誰のことだろうと思いましたが(笑)、フォアマン監督のことですね。
改めてプロフィールを覗いてみましたら、なんと誕生日が私と同じでした。(だから、何だ!ってね)
オペラ・シーンを観ながら、TAROさんはどんなシーンかすぐに分かるんだろうなぁ、なんて思ってましたよ。
ハハハ。確かに、使われたのは全てモーツァルトの曲・・・なんですよね?
完全に主語が抜けてましたね。(笑 失礼しました。
そうですね、オペラ・シーンは全部判ります。
使われた曲は全てモーツァルトですね。もしかすると効果音的に他の作曲家の作品もチラッとは出てきてるかもしれませんが。
クラシックのCDはモーツァルト以外にも(ほんの少しだけ)持っていますが、気分良くしたいときには彼の曲(多分長調系)を聴くようにしています。アレは癒し系ですね。
私はクラシック音楽も趣味の範疇ですのでよく聴きます。モーツァルトは勿論大好きです。
なお、今年に入ってからブログにupされた中で、私も観ている作品を一気にTBとコメントさせていただきました。もしご迷惑ではなかったかと?ちょっぴり後悔!
よろしければ、ほかの作品についてもTBとコメントを差し上げていってもいいでしょうか?
これは、特にクラシックファンでなくても興奮する名作でした。
迷惑だなんてとんでもありませんよ。拙い文章ですが、どうぞ読んでいって下さい。コメントもTB返しも時間がかかると思いますが、その点はご容赦下さい。