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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明

2000-09-05 12:29:00 | 映画-2000年

「噂のワイヤーアクションは、やっぱりスゴイ」

 ジェット・リーことリー・リンチェイ演ずるウォン・フェイフォンの「ワン・チャイ」シリーズの第1作目。
 恥ずかしながら、私はこれまでジャッキー・チェンの映画は観ていたが、リー・リンチェイの映画は『少林寺』以来、ほとんど観たことがなかった。
 ワイヤーアクションの存在も『マトリックス』を観るまで知らなかったという有様。

 で、今回、本家ワイヤーアクションの本作を観たわけであるが、「スゲー!」の一言であった。どんなにVFXで処理をしても、リーの肉体のポテンシャルとカンフーの腕前を越えることは不可能だと思える。

 また、アクションだけではなく「清朝末期」という時代背景が、絶妙にドラマを盛り上げている。
 最初はウォン・フェイフォンと武道家の個と個の対立だったのが、やがて私(人民)と公(清朝)の対立となり、最後には清と欧米の対立へと昇華して、事件が解決したときの観客の爽快感を高めてくれる。

 また、魯迅文学にみられるような清=中国が抱えていた「馬々虎々」の問題点もドラマに深みを与えている。そして、魯迅文学では解決し得なかったこの問題点が、映画の中では成り行き的にとはいえ解決されるのも見逃せない。

 この清朝末期という時代は、ちょうど日本の幕末と同じ頃である。
 幕末を舞台にすると、どうしても日本人同士の争いに焦点が絞られがちである(新撰組VS勤王浪士、官軍VS賊軍など)。そのため結末には苦い悲壮感が残ってしまう。
 それに引き換え、中国の場合は半植民地化されていたとはいえ、敵対するのは外国人=欧米である。欧米は憎き侵略者なので、ウォン・フェイフォンの活躍は胸がすくような爽快感が味わえるのだろう。

 昔のカンフー映画にはないワイヤーアクションと、物語に深みを与えるドラマ性とが見事に融和した傑作といえよう。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明』(ビデオ)
監督:ツイ・ハーク
出演:リー・リンチェイ(ジェット・リー)、ロザマンド・クワン、ユン・ピョウ、ジャッキー・チュン、他
評価:6点


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