「中国現代文学は生きている」
「ワン・チャイ」シリーズの第3弾。
一作目以上にワイヤーアクションが派手さを増している。特に「鬼脚」の脚技は人間離れをして度肝を抜く。映像の醍醐味をいかんなく発揮したアクションシーンである。
だが、ラストの獅子舞の大群衆による戦いは、迫力はあったがタイマンのカンフー対決が観られなかったという点で、前作より私の評価は低くなっている。
ドラマの方も、清末の歴史性・政治性をドラマに上手く絡めていて、一作目同様に深みを与えている。
李鴻章や遼東半島割譲など、誰もが日本史の授業で習った単語が登場している。もっとも、この意味を知らなくても映画そのものは楽しめるはず。
前回の感想では魯迅文学との関連性を少し指摘したが、今回も鬼脚が怪我をしたシーンは『孔乙己』を思い起こさせる(人力車夫と学者というのが対照的だが)。
だが考えてみれば、清末から日中戦争、あるいは文革までの中国の文化を描こうとしたら、こういった描写は避けては通れないものなのかもしれない。
だから、文学の影響を受けている(意識している)というより、中国人の作家が中国を描こうとしたら、避けられない描写なのかもしれない。
あるいは、こういった先人からの影響が無意識的に、作家たちの表現に染み渡っているのかもしれない。
なお、この作品を最後にツイ・ハークとリー・リンチェイの強力タッグによるワン・チャイシリーズは制作されていない。残念。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地争覇』(ビデオ)
監督:ツイ・ハーク
出演:リー・リンチェイ、ロザマンド・クワン、マク・シウチン、他
評価:5点
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