こんばんわ。
ステイホームの充実を図るために断捨離にはまっている伊藤です。
2人暮らしのアパートにこんなにモノがあるのか!という驚愕の事実と次々と整理されていく喜びとで若干ハイになっちゃってます(笑)。
さて今日は捨てる喜びを見出す少し前の、自粛期間が解除されたときのお話です。
七月某日。
函館に帰省をするというのが例年のスケジュール、だった。
この事態下では見通しは立たず、たとえ強行したところで楽しめそうにもない。
国内の情勢が少し落ち着いたからといって、三重県内の感染者数が連日ゼロだからといって、一寸先は闇のような状況に変わりはなく、暗澹たる心持ちだった。
せめてもの気晴らしに、と矛先は県内に向く。
ちょうど伊勢新富座で「ミッドサマー」が公開される、古本屋ぽらんで気になる本が入荷している、という情報を得て一泊二日で計画を立てた。
赦されるうちに、遊べるうちに、じゃないと2020年は「なかったこと」になる。
どこか切実感を抱きながら伊勢行きを決めたのだった。
昼過ぎに到着。
梅雨空の今にも降りそうな雲とぬるい気温の中、伊勢市駅から歩く。
「いつも」の姿はよくわからないが、人通りは少ないようだ。
最初の目的地は河崎。
年に一回は食べたくなる伊勢うどんを求め、「つたや」へ。
店内はピークを過ぎても満席だ。
メインメニューは勿論伊勢うどんなのだが、おしながきを見ると昔ながらの中華そば・オムライス・カツカレー(店内の貼り紙には冷やし中華!)と街のごはんさんらしいメニューが並ぶ。
冷やし中華に心がぐらりしつつも、無意識下の切迫感に押され初志貫徹、焼豚伊勢うどんを頼む。
(その横で同行者はさらっと中華そばを、隣りのテーブルのお客さんはオムライスを食べていた)
たまり醤油にふあっふあのコシのない麺、トッピングの焼豚もほろんほろん。
「これだよ、これ」などとうんうん頷きながら、ぺろりと食べてしまった。
これはもううどんはコシが強いに限るという教義を撤回するべきである。
腹拵えもそこそこに(理由は後述)古本屋ぽらんへ。
市内にある大学を卒業した後にその存在を知ったのが悔やまれるが、暇を見つけてはちょいちょい来ているような気がする。
古今東西善悪清濁併せ呑むような懐の深い古本屋である。
(ちなみに人生で一番高い写真集を買ったのはここ、7000円オーバー)
引き戸をがらりと開けると、古紙特有の匂いが漂ってくる。
「こんにちわ」と挨拶をするも返事がない。
店の奥のカウンターにいるはずの店主がいない。
主が不在の店にいるのも悪いので外で待つ、なんていう殊勝な人格は存在せず、思い思いに物色し始める。
鼻先にぶら下がる人参は食べたいものだ。
正面から向かって右側の芸術・昔の漫画本を眺め(いつもここから見て回る)、料理本を手に取っていると店主が帰還。
コンビニ袋を片手にThe普段着の二代目店主・奥村さん。
彼とはここ数年十月に開催される一箱古本市の運営をされていて年に一回会うくらいの間柄である。
それを四、五年ほど続けている。
付き合いが浅いような深いような、本棚を見るとなんとなくの人柄がわかった気になるので不思議な気分になる。
挨拶もそこそこに物色再開。
最後の日本SFコーナーを見る頃には文庫本三冊と別役実の戯曲集を持っていた。
(別役実に関してはヅメさんの日記を参照していただきたい)
購入後、暫し雑談。
当たり前だがメインは本の話(何年か前のうちの近所のブック〇フのセレクトが良かったとか、図書館本の製本テープの剥がし方にコツがあるとか)。
最後に「一応今年も(一箱古本市を)やる予定です」とおっしゃってくださった。
例年ではちょうど三ヶ月後の予定。
先が不安だと嘆くよりも自分が良いと思う可能性を繋いでいきたい。
(見てるかわからないけど)奥村さん、連絡、待ってます。
来るときよりも少し重くなったリュック一旦下ろしたのは昼から夕方に差しかかる頃。
腹六分目にした最大の理由がそこにある。
手荷物は最小限に、さあ旅の醍醐味!昼酒!に繰り出す飲兵衛様御一行。
一軒目は「一月家」。
創業大正三年(1912年)と歴史ある居酒屋。
実は「一月家」以外にも伊勢で昼から飲める店は複数あり、迷ったところこちらにした。
ぽらんの奥村さん曰く「友達と行って一人2000円で飲んできた」というから、相当にリーズナブル。
ぬるい街を歩いた所為か、取り敢えずのビールが染み渡る。
ふくだめの煮付け、穴子のフライ、ポテサラ、鰯の酢漬け、どて煮……写真を撮り忘れるくらいどれも美味しい。
常連客とおぼしき方々も実にええ感じで賑わっている。
近くにあれば危険なタイプだ。
着信履歴に知らない電話番号が残ってるようなやらかしをする系のやつ。
若しくはスマホごと落としてくる系のやつ。
もう少し一月家について知りたい方はこちらのサイトを見てもらうと良い。
(そんな文章が書きたい!という素敵な記事だ)
二軒目は「美鈴」という餃子専門店。
去年発行された『ミシュランガイド東海版』にも掲載された名店である。
皮を広げる人、餡を包む人、焼く人に分かれ、澱みなく流れる調理場。
雑談に応じながらも目を走らせる女将。
案内されたカウンター席はそのすべてを見ることができて良い。
直ぐに出てくる熱々の餃子と瓶ビール。
既に心は千客万来、胃袋は満員御礼だが、するすると入っていく。
カニクリームコロッケと水餃子は流石に駄目押しか、それもまた良し。
そうしてはちきれんばかりの腹をさすりながら、雨の匂いのする伊勢の夜を楽しんだ。
仮に明日世界が滅ぶとかだったら、相当みっともなく振る舞うか何もせず寝てるかだと思う。
幸いにしてそんな状況に至ってないのなら焦燥感とか切迫感とか持ってなくていいんじゃないか。
日々小さな約束を作り、積み重ねていく。
今回の伊勢の旅で鷹揚な気持ちを、ゆとりを少し取り戻したように思う。
まだまだ油断できないし、予断を許さないこの頃だけどこの日々を「なかったこと」にしないように生活していこう。
次回は勝田さんです。
お楽しみにっ!
ステイホームの充実を図るために断捨離にはまっている伊藤です。
2人暮らしのアパートにこんなにモノがあるのか!という驚愕の事実と次々と整理されていく喜びとで若干ハイになっちゃってます(笑)。
さて今日は捨てる喜びを見出す少し前の、自粛期間が解除されたときのお話です。
七月某日。
函館に帰省をするというのが例年のスケジュール、だった。
この事態下では見通しは立たず、たとえ強行したところで楽しめそうにもない。
国内の情勢が少し落ち着いたからといって、三重県内の感染者数が連日ゼロだからといって、一寸先は闇のような状況に変わりはなく、暗澹たる心持ちだった。
せめてもの気晴らしに、と矛先は県内に向く。
ちょうど伊勢新富座で「ミッドサマー」が公開される、古本屋ぽらんで気になる本が入荷している、という情報を得て一泊二日で計画を立てた。
赦されるうちに、遊べるうちに、じゃないと2020年は「なかったこと」になる。
どこか切実感を抱きながら伊勢行きを決めたのだった。
昼過ぎに到着。
梅雨空の今にも降りそうな雲とぬるい気温の中、伊勢市駅から歩く。
「いつも」の姿はよくわからないが、人通りは少ないようだ。
最初の目的地は河崎。
年に一回は食べたくなる伊勢うどんを求め、「つたや」へ。
店内はピークを過ぎても満席だ。
メインメニューは勿論伊勢うどんなのだが、おしながきを見ると昔ながらの中華そば・オムライス・カツカレー(店内の貼り紙には冷やし中華!)と街のごはんさんらしいメニューが並ぶ。
冷やし中華に心がぐらりしつつも、無意識下の切迫感に押され初志貫徹、焼豚伊勢うどんを頼む。
(その横で同行者はさらっと中華そばを、隣りのテーブルのお客さんはオムライスを食べていた)
たまり醤油にふあっふあのコシのない麺、トッピングの焼豚もほろんほろん。
「これだよ、これ」などとうんうん頷きながら、ぺろりと食べてしまった。
これはもううどんはコシが強いに限るという教義を撤回するべきである。
腹拵えもそこそこに(理由は後述)古本屋ぽらんへ。
市内にある大学を卒業した後にその存在を知ったのが悔やまれるが、暇を見つけてはちょいちょい来ているような気がする。
古今東西善悪清濁併せ呑むような懐の深い古本屋である。
(ちなみに人生で一番高い写真集を買ったのはここ、7000円オーバー)
引き戸をがらりと開けると、古紙特有の匂いが漂ってくる。
「こんにちわ」と挨拶をするも返事がない。
店の奥のカウンターにいるはずの店主がいない。
主が不在の店にいるのも悪いので外で待つ、なんていう殊勝な人格は存在せず、思い思いに物色し始める。
鼻先にぶら下がる人参は食べたいものだ。
正面から向かって右側の芸術・昔の漫画本を眺め(いつもここから見て回る)、料理本を手に取っていると店主が帰還。
コンビニ袋を片手にThe普段着の二代目店主・奥村さん。
彼とはここ数年十月に開催される一箱古本市の運営をされていて年に一回会うくらいの間柄である。
それを四、五年ほど続けている。
付き合いが浅いような深いような、本棚を見るとなんとなくの人柄がわかった気になるので不思議な気分になる。
挨拶もそこそこに物色再開。
最後の日本SFコーナーを見る頃には文庫本三冊と別役実の戯曲集を持っていた。
(別役実に関してはヅメさんの日記を参照していただきたい)
購入後、暫し雑談。
当たり前だがメインは本の話(何年か前のうちの近所のブック〇フのセレクトが良かったとか、図書館本の製本テープの剥がし方にコツがあるとか)。
最後に「一応今年も(一箱古本市を)やる予定です」とおっしゃってくださった。
例年ではちょうど三ヶ月後の予定。
先が不安だと嘆くよりも自分が良いと思う可能性を繋いでいきたい。
(見てるかわからないけど)奥村さん、連絡、待ってます。
来るときよりも少し重くなったリュック一旦下ろしたのは昼から夕方に差しかかる頃。
腹六分目にした最大の理由がそこにある。
手荷物は最小限に、さあ旅の醍醐味!昼酒!に繰り出す飲兵衛様御一行。
一軒目は「一月家」。
創業大正三年(1912年)と歴史ある居酒屋。
実は「一月家」以外にも伊勢で昼から飲める店は複数あり、迷ったところこちらにした。
ぽらんの奥村さん曰く「友達と行って一人2000円で飲んできた」というから、相当にリーズナブル。
ぬるい街を歩いた所為か、取り敢えずのビールが染み渡る。
ふくだめの煮付け、穴子のフライ、ポテサラ、鰯の酢漬け、どて煮……写真を撮り忘れるくらいどれも美味しい。
常連客とおぼしき方々も実にええ感じで賑わっている。
近くにあれば危険なタイプだ。
着信履歴に知らない電話番号が残ってるようなやらかしをする系のやつ。
若しくはスマホごと落としてくる系のやつ。
もう少し一月家について知りたい方はこちらのサイトを見てもらうと良い。
(そんな文章が書きたい!という素敵な記事だ)
二軒目は「美鈴」という餃子専門店。
去年発行された『ミシュランガイド東海版』にも掲載された名店である。
皮を広げる人、餡を包む人、焼く人に分かれ、澱みなく流れる調理場。
雑談に応じながらも目を走らせる女将。
案内されたカウンター席はそのすべてを見ることができて良い。
直ぐに出てくる熱々の餃子と瓶ビール。
既に心は千客万来、胃袋は満員御礼だが、するすると入っていく。
カニクリームコロッケと水餃子は流石に駄目押しか、それもまた良し。
そうしてはちきれんばかりの腹をさすりながら、雨の匂いのする伊勢の夜を楽しんだ。
仮に明日世界が滅ぶとかだったら、相当みっともなく振る舞うか何もせず寝てるかだと思う。
幸いにしてそんな状況に至ってないのなら焦燥感とか切迫感とか持ってなくていいんじゃないか。
日々小さな約束を作り、積み重ねていく。
今回の伊勢の旅で鷹揚な気持ちを、ゆとりを少し取り戻したように思う。
まだまだ油断できないし、予断を許さないこの頃だけどこの日々を「なかったこと」にしないように生活していこう。
次回は勝田さんです。
お楽しみにっ!
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