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シロガネの草子

「我が身をたどる姫宮」 其の17 



甲斐荘楠音 『虹の橋』
 一の姫宮様の父宮でいらっしゃる皇嗣殿下のお誕生日は、新しき御代でも、先の御代の東宮殿下と同じ規模で例年行われておりました。それ故に当日は、皇嗣邸は、大変な賑わいでした。皇嗣殿下は、宮殿下の時代から色々と交流関係が幅広くいらっしゃいましたので、お茶会等でお招きするお客人が、とても多いのです。


浅見松宝
 一の姫宮様は、姫宮様のご夫君と共に当然、当日は皇嗣邸へ行かれ、父宮様に、お祝いを申し上げ、お茶会等の祝宴も参加されるのです。ですので、お住まいの地方から前日には、上京されて当日に備えられるのです。


その年の3月、桜咲く頃に姫宮様は、とうとう・・・・・・・『意地と執念』を実らせてご結婚されました。


鏑木清方 『娘成寺・道行』
ご結婚当日は、丁度桜が咲き誇る美しい時でした・・・・・。



岸田夏子 『桜華』


桜が満開のなかでのご結婚式でしたが、しかし心ある国民の多くの正直な気持ちは・・・・・・



そのお相手は・・・・勿論、一の姫宮様が青春の全てを捧げ尽くした人です。


しかしご家族を始め、周囲の人達から見るとそれはまるで、

姫宮様のお耳に『悪魔』の囁き声が・・・・・・・そして、


高畠華宵 『吉三人形』
・・・・・・まるで『術』に嵌められたような・・・・・思いでした。


 国民に対しての『それ相応』の『誠意ある対応』も、まだまだ曖昧のままでしたので、国民は多くはどうにも釈然としないままでした。

また、姫宮様の行く末を不安に思う多くの心ある人々の・・・・・涙ながらの見つめられてのご結婚でした。


『女たちの大阪城』での浪花千栄子さん
 しかし多くの国民の釈然としないままでのご結婚でも姫宮様の視点からすれば正に「艱難辛苦」を乗り越えられてようやく婚約会見から数年の歳月が過ぎて・・・・・・やっと・・・・・心から愛する王子と・・・・・


高畠華宵 『情炎』
「千代に八千代」の永久の契りを結ぶことが出来たのでした。


姫宮様は将来の天皇の姉宮となられる方ですので、王子は上級国民の上の上をゆく最上級の『最強の勝ち組国民』となったのです。


「・・・・・・・」


 姫宮様は「内親王殿下」の称号をご結婚と共に「放棄」されましたが、「勲一等」の勲章はそのままお持ちでしたので、王子は日本で数少ない「勲一等」の勲章をお持ちの女性のご夫君と云うわけです。





稲垣仲静 『猫』



「!!!!!!!」

「化け物だーーーーー!!!」


「だーーーー!!!!」by善逸
・・・・・・あれから半年が過ぎても愛する王子とご一緒になられた姫宮様のお心は薔薇色と言ったお気持ちで、いらっしゃたのでした。


・・・・❤️❤️❤️❤️・・・・・


「マジ、どうしてこんなに・・・・・」




「世間に疎い女を、だまくらかすのは簡単なんだろう」dy『根なし草葛』氏

「・・・・・・・」


by竈門炭治朗


徳岡神泉 『蓮』


・・・・・・・兎に角ご結婚までが長くかかりましたので姫宮様としては、やっとゴールに辿り着いたお気持ちで、今はゆったりとしたお気持ちで、日々新妻として務めが本当に嬉しく喜びに満ちておりました。



 姫宮様は、日々お幸せな毎日を、過ごしていらしても、世界中を巻き込んだ流行り病」は、この国の経済を大きな打撃を与えたのは間違いなく、皇室も財政を縮小する事となりました。


北野恒富 『淀君』
(北野恒富は、画壇の悪魔と呼ばれました)


「あぁこれで御座いますか、ローブ・モタントに代わって履かれるという、そのお袴は・・・」
 
 父宮、皇嗣殿下のお誕生日の為、その前日に姫宮様は上京されました。皇嗣家は、姫宮様からこの日に上京するという連絡を受けていましたので、姫宮様から、ホテルに到着したと知らせを受けると直ぐに、侍女の涼風が、当日履かれる切袴や袴帯等の一式を届けに来てくれたのです。

 何時もなら、姫宮様と色々と話し込む涼風ですが、ご母堂も一緒の為早々と戻ってゆきました。涼風が帰った後、姫宮様は東京で仕立てた「濃き色」の切袴の確認をなさるのでした。


 皇嗣殿下にお祝いを申しあげる為、一緒に上京した姫宮様のご夫君のご母堂も、興味津々の様子で、ローブ・モタントに代わり、こらから皇室の行事やお祝いの行事等に女性皇族方が履かれる切袴をマジマジと見ておりました。


参考画像・こんな装いデス。


参考画像その2・「濃き色」の切袴です。

 本当は、来年からという事になっていましたが、今回はお試しにということで、その切袴を履かれる事となったのです。


菊地契月(きくちけいげつ)『朱唇』(一の姫宮様でお馴染みですね)

「ハイ、この前あちらで染めてもらった、羽二重で仕立てたのでございます。結婚後は緋色という決まりなのですが、私はまだ一年も経っていませんので、未婚用の『濃き』の色の袴でも差しつかえないとの事で」


「まあ、そうですか。では来年からは『赤』となるのですわね。そちらの方が華やかで、いいですわ~~~この色はどうにも地味で、おばあさんが履くような色ですものねぇ」

 そう言いながら、羽二重で仕立てた濃色の切袴をご母堂は、手で撫でたり片腕で広げる様にもったり、また袴帯等を手に持ったりと、兎に角興味津々と自分が履く訳でもないのに姫宮様以上に、心の赴くまま行動している、ご夫君のご母堂・・・・・お義母様をさして気にもせず、姫宮様は、お住まいからお持ちになられた、訪問着を取り出していらっしゃるのでした。

 萌黄というよりも鶸色に近い地色に、裾は山取りボカシそして秋の草花等を配した加賀友禅の訪問着。その訪問着は、かつて母宮の皇嗣妃殿下がお若い時分にお召しになられていましたが、姫宮様のご結婚を期にお譲りになれたのでした。


 袴を履いてしまうと、せっかくの左前身頃を中心とした山取りボカシや美しい友禅の草花の大半が隠れてしまうのですが、致し方のないことなのです。訪問着と袴という組み合わせのお衣装は、ローブ・モタントの様な格式と同格の「新宮廷服」として考案されたのです。もちろん経済的な理由からです。

 ローブ・モンタントは、洋装ですので、どうしても新調しなければならないのですが、訪問着に切袴という和装なら相当前に誂えた訪問着でも袴さえ履けば、十分に現代でも着られますし、袴を取れば、普通の着物としてお召しになられるですから、お衣装代の節約が出来るという訳です。


「お義母様、袴とこちらの訪問着を合わせたいのですが、よろしいですか」

 姫宮様が身に付けられる袴帯やお履きになられる濃き色の袴等をいまだに触ったり、絹の質感を確かめているご母堂に向かい姫宮様は、そう言われました。母宮様からお譲りになられた鶸色の訪問着を田畳紙ごとお持ちになられた姫宮様は、袴との色合いを改めてご覧になられたのでした。

 袴は、「濃き色」という、その名の通り大変濃い紫の色ですので、その反対の鶸の薄い色の対で、丁度いいのは、姫宮様は、袴用の為に羽二重を染められた時、きちんと確かめていらっしゃいましたが、袴として仕立てられてからは、初めての事なでした。

 ベッドの上で訪問着と袴と組み合わせて、改めて確認される姫宮様と姫宮様が、お召しになられる、訪問着と袴を交互に見ていた、ご母堂は、


「このお着物は、妃殿下からの贈られたものでしょ。宮様の前ですけど、あの方は、本当に・・・・・宮様と王子の結婚は本当にお嫌だったのですね~~~~このお着物は、妃殿下のお若い時分、着られたものとか・・・・・・宮様の婚礼道具とお衣装のお披露目の際でも、分かっていましたけど、宮様に譲られた、お着物は全部あの方が、お輿入れの際にお持ちになられたものばかりと伺って、昔のものばかりで私は宮様が、心底おかわいそうで・・・・」

 ご母堂は、そう言って大袈裟に嘆くのです。もうそんな愚痴は、幾度も聞いている姫宮様ですが、その度に


「母から譲ってもらった着物や帯などは、母にとっても思い入れのあるものばかりで、私が幼い時から、欲しいと言ってねだったお着物ばかり下さったんです。妃殿下のお心遣いには、感謝申しあげているんですよ」

 そう言うのですが、ご母堂は、「譲るのならもっと高価な着物や帯でも良かったのでは」とそればかり言うのです。そしてご母堂は心の中で、姫宮が皇嗣家御用達という、最高級の着物ばかりの呉服店で誂えた高価な着物などを譲り受けたら自分がそれを譲り受けて、着たかったのにと、姫宮様の「お持ち越し」のお着物を見るたびに思うのです。

 姫宮様は、着物がお好きで、母宮様から譲って頂いたお着物の他にも何着か、ご夫君の所へご降嫁される際、「お持ち越し」になられました。

 しかしそれは、姫宮様自らが、お選びになられてまた姫宮様夫婦が住む地方は、偶然着物を生産していましたので、そちらで作られたお着物をお買い求めになられたのでした。

明治の初期に来日した『アメリカ人』!が描いた油絵です。


 降嫁の後は、例え『姫宮様』という形式的な敬称で呼ばれても、皇族でなくなるのは事実ですので、今までの呉服店では、余りに高級過ぎると思い、また父宮様の「身の丈の合った」というお言葉を実践なさったのです。


 姫宮様が自ら見立て、お買い求めになられた、数々お着物は、その業界では、相当名の知れた着物会社で作られたお着物ばかりなのでした。


 降嫁のさい「お持ち越し」になられる、家具の他に、ご自身お選びになられたそのお着物も、婚礼の「荷飾り」という事で、お披露目されたのですが、大変評判が良かったのです。姫宮様はきちんとした良いお着物ばかり選ばれて、いらしゃたのです。

以下参考画像









 しかしご母堂は、『そんな一般人』が着るような着物ではなく、もっと高価な物を我が家に持って頂きたかったと忸怩たる思いでいるのでした。


 これもあの「裏表の激しく猫っかぶりのぶりっ子」皇嗣妃殿下の入知恵であろうと、思い込んでいて、その不満を知る人ごとに言いふらすのです。そのなかには、大手の週刊紙の関係者や、いかがわしい自称「皇室ジャーナリスト」等もご母堂の「お知り合い」に入っているのです。


「ゲット!」

「その程度」の着物を持たせて、私の大事な「王子」様へ嫁に出すなんて人をバカにするのもほどがあると、ご母堂は皇嗣妃殿下を、心底腹立しく思うのでした


そして姫宮様に、良く、


「あのお方は、多くの女性に昔から嫌われているのですよ。あの婚約会見の時のあのぶりっ子ぶりは、いまだに私の世代では語り種でしてね、あんな男に、媚びる様な女が良く皇室に入れたものだと・・・・殿下もすっかり騙されて・・・・全く男というのは、本当にあぁいう女にすぐ騙される、あの方はその『見本』のような女性でしたよ」

北野恒富 『淀君』


あの頃の・・・・お若い時分のご母堂 


あの頃も・・・・・今も・・・・お美しいままの皇嗣妃殿下 
高畠華宵 『はつあき』


「まぁ・・・・・・当時は可愛らしいとか、初々しいとか評判でしたけど、でもちょと頭のいい人は、あのお方の本性をちゃ~~んと見抜いていましたわ」


 そう言うと時々冗談なのか、かの女流作家がいつだったか、当時は宮妃殿下でいらした皇嗣妃殿下の事を称して・・・・・・・


石渡風古

参考画像 銀髪!!バージョンの木暮実千代さんの最怖((( ;゚Д゚)))の淀君


女流作家
「私の回り女性たちで、妃殿下に『好感』を持つ人は一人もいないわ」


参考画像・お若い時分の木暮実千代さん


・・・・・・と、かの女流作家の口調も真似て言う時もあるのです。それを聞くたびに姫宮様のご夫君は「お母様、上手い❗」と言って大笑しています。

「お母様・・・・・」



 ちなみにその女流作家の書いた本は、読書家の皇嗣妃殿下も姫宮様方も大変お好きで、皇室を主題にした本なども書いているのは、皇嗣殿下もご存知でお読みになられています。


「明治天皇秘話(女性関係)やおじじ様の事も書かれているからね」 by皇嗣殿下


妃殿下も


二の姫宮様も・・・・


「俺はまだ、読むのは早いんだって」 by若宮殿下
・・・・・・後々、かの女流作家と皇嗣妃殿下は、とある方の強い薦めで、対談されるですが、それは、後々のお話です。その時、着物好きでも知られる、女流作家がどんな着物を着て、そして皇嗣妃殿下も、素敵なお着物をお召しになられていらっしゃるのですが、今はご想像にお任せします。


高畠華宵 『暴風雨の薔薇』
某女流作家
「わたくし本心では昔から妃殿下をお慕いしておりましたの・・・・」
皇嗣妃殿下
「・・・・・・(スルーなさって)先生がお書きになられたご本、若いときから読んでおりましたのよ・・・・・・」


興味深いけど・・・・((((;゜Д゜)))
 ご母堂は、姫宮様と大切な「王子」とのご結婚が長くかかりその間、世間からはご母堂曰く「でたらめな」事ばかり言われて続けていたのです。その間じっと耐えつつ過ごしてきたそのストレスが、姫宮様とご夫君とのご結婚後、一気に吹き出したようで、姫宮様とご夫君と同居してからは、しょっちゅう皇嗣妃殿下の悪口を捲し立てているのでした。



参考画像
 それを聞く姫宮様は、世間一般に言われている母宮様の悪口ですから、その事も当然以前からご存知で、承知なさっていますので、心にさざ波が立つことがあっても「柳に風」と思い、いつも受け流していらっしゃるのでした。


島成園の画


「・・・・・・・」
 生活も取り敢えずの落ち着きを感じていらっしゃる、姫宮様は、いつも思うのですが、母宮様のそうした悪口は女性同士どうしてこうも繋がっているのかと・・・・・


「事実と違う事ばかりが世間に流されているわ・・・・・・」



世間からの批判の原因は、間違いなく自分にあるのも、姫宮様ご自身良く分かっていらっしゃいます。そしてその思いが矛盾しているのも分かっていていらっしゃるのです。


 しかしその様な心無い悪口を30年間言われ続けている、母宮の皇嗣妃殿下の身を・・・・・・やはり一人の娘としては、案じずにはいられないのでした。

其の18に続きます。


菊池華秋 『夕月』



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