
阿修羅像!
ベットに、ほとんど意識のないおばあちゃんが、横たわっている。
植物人間のように無表情だ。
70才を過ぎた看護師のT女史が、威厳を持って
「あんた、新聞紙を持ってきて」
ボクは、
「ハイ」
と言った。
「いっぱい持って来てよ」
ボクは笑ってしまう。
T女史は手袋を着けながら、
「あなたも手袋着けて、側臥位にしてお尻を支えてて」
「ハイ」
T女史は、おばあちゃんの肛門に指を入れて、汚物を掻き出す。
「顔が赤いのよ。お腹を触ってみて、パンパンでしょ」
汚物を次々に掻き出す。
新聞紙の上に山盛り。
「凄いわね、こんなにお腹の中に」
赤い顔が普通になっていく。
新聞紙の上に汚物が山盛りになる。
「お腹が普通になって来たわ」
ボクとT女史は眼を合わせて笑う。
その時、おばあちゃんが眼を開けた。
そして、
「キャキャ」
と笑った。
T女史が、
「ねぇ、脳は分からないけど、体が喜んでくれてるのよ」
ボクは嬉しくなる。
山盛りの汚物を新聞紙にくるんで、宝物のように握った。
神が降りて来たんかな?
ボクは新聞紙を頭の上に挙げた。