素晴らしき茜空の会

主に特撮番組の感想文。ブログタイトルは仮面ライダーキバに登場する「素晴らしき青空の会」より。

仮面ライダー響鬼 視聴後感

2017-02-16 09:00:00 | 仮面ライダー響鬼
響鬼の特徴は、やはりその存在の「正しさ」だと思う。

響鬼の世界でいうところの仮面ライダー(鬼)とは、
望めば誰でも変身できる存在なのである。
ただそのためには、強い決意と信念をもって、鍛えて鍛えて、
ライダーになってもなお、鍛え続けてまっすぐあらねばならない。

だから、そこには
戦うことを厭いつつ戦わざるを得なかった、「クウガ」五代くんや
戦う力の代償に命を賭けたゲームに参加させられた、「龍騎」真司くんのような
歪みや迷いがないのだ。

鍛えて、鍛えて、鍛え上げて得られた「力」
47話でヒビキさんが鬼に変化せずその力を使うことができたように、
それは闇から借りるのではない、自分自身が努力の結果に得た、正当な「対価」なのだ。

響鬼は、自らを「鬼」と呼び、複眼を持たない異形の相をしていますが
仮面ライダーの中ではもっとも秩序(Low)に寄った存在なんですよね。

うん、歴代ライダーを秩序(Low)と混沌(Chaos)の軸で並べたら面白いと思うだけど、誰かやりませんか?
人それぞれの解釈もあるので難しそうですが。
私の中では、響鬼はLowのてっぺん、クウガがLow寄り、Chaosの端っこが剣ですね。
一人のアンデッドを救うために地球上の生命体全てを危機に晒すとか、無茶だぜ(だがそれが良い)

しかしそもそも。
「宇宙の平和のためによその惑星まで来て命張って戦うウルトラマン」はLowで
「闇から生まれ、同族殺しの宿命を背負って戦う仮面ライダー」はChaosという印象があり、
そういった意味で響鬼は、仮面ライダーとして異端と言えるかもしれない。

ただ、ライダーは作り手自体が「今まで作り上げたものをぶち壊す」っていうChaos発想なので
Chaos × Chaos = Low、みたいな?
マイナス同士を掛けたらプラスになったぜ!みたいな?

うーん、自分で言っててよくわからなくなってきましたが。

ともあれ。心の底から「鬼をやりたい」と思ってる人だけで戦うとことか、
「猛士」という組織のバックアップがあって、シフト制で、生活の保障がされてるとことか
能力的に問題が生じた時点で引退し、以降は支援サイドとして生きる道があるとことか、
一仕事終えた鬼たちが軽口叩きながら帰るところとか、
もうね、「ザ☆安定」って感じじゃないですか。それが良かった。うん。

しかし、そういう作りが子供達に受けないっていうのもわかるし、
一方。リアリティーを追求したクウガとか、謎解きに特化したアギトとか、善悪ごちゃ混ぜにした龍騎とか
敢えて子供向けに作らないことで、子供達からの支持を集めてきてた実績もあるわけで、
だから、響鬼の渋い作り方も間違ってた訳じゃないと思うし、
でもやっぱり地味だったかぁ、とも思うし。難しいもんですね。

で。「中盤からの路線変更」

Wikipediaを読んだので、後半は井上先生が好きなように書かれてると思ったんですけども、
意外と。意外と響鬼の世界をキープしてたのが驚きでした。
だって、響鬼の世界には井上先生が大好きな「悪党」が存在しないから(苦笑)

唯一、変わったなという印象が強かったのがヒビキさんのキャラ設定なんですが。
個人的な印象ですが、後半のヒビキさんは、井上先生ご自身に雰囲気が似てるんじゃない?
って、なんとなく思いました。井上先生のお人柄をよく知らないけど。

結局のところ、謎の男女はその正体も目的もさっぱり不明で、
魔化魍は相変わらず元気に徘徊してるわけですが。
この物語の主人公は少年であり、彼らが生き方を見つけるのが結末っていうのが、いいよね。
京介の投入により、鬼を選んだルート/選ばなかったルート、のマルチエンディングになってるのもうまい。

先日、ひらパーのショーで「12年後の響鬼」を見てきたわけですが、
鬼たちの生活は、あんな風に今も続いているんだろうなって思えるような。
いやぁ素晴らしい作品でした。美しい作品だったよね。

仮面ライダー響鬼 番外編(ひらパー2017.02.12)

2017-02-14 08:00:00 | 仮面ライダー響鬼
思えば不思議な巡り合わせだった。

仮面ライダー剣を見終わったのが2016年6月。
翌7月23日には剣のライダーたちがマテリアルクラウンに集うオフミーティングが開催された。

仮面ライダークウガを見終わったのが2016年8月。
その8月13日には「真夏の調布でクウガを見よう」の会が開催された。

仮面ライダーアギトを見終わったのが2016年10月。
その10月30日には、東映特撮ファン感謝祭2016の目玉として
アギト主演の賀集さんと脚本の井上さんのトークイベントが催された。

十数年前の番組を楽しむ私に、
ジャストタイムでリアルタイムに提供されるイベント。
夢のような状況。しかし舞台は東京。
行けるかよ!くそっ、地方民をないがしろにしやがって!!!

しかし、希望の光は残されていた。
2017年如月、関西の聖地ひらパーに、響鬼、降臨。満を持して。

これはもう行くしかないよね!だってちょうど前日、響鬼見終わったとこですよ!
いや、昨年末に「響鬼、ひらパー来るってよ」っていう情報を聞いて
いまから見始めたら間に合うな・・・という目算ではあったんですけれど。
正月早々、牡蠣にあたって寝込んだり、エグゼイドにはまって脱線感想記事書いたりしてたら
本当にギリギリ間に合った感じです。ギリセーフ!

これはもう、ガイアが俺に行けと囁いてるよね!
ガイアはそんなに暇じゃねーよ!

などと無理やり因縁をこじつけながら、ひらパー初参戦である。
ガイアやそんなに暇じゃあないが、俺はわりかし暇だったのだ。

というわけで。ここまで読んでくださった方がいらっしゃったら大変申し訳ないのだが、
ここまではひらパー行く前に書いた、内容がまったくない駄文である。
いやぁ無責任な文章書くのが楽しすぎて、ついつい調子に乗りすぎた。

ショーの粗筋は以下から開始です。なお、基本がうろ覚えなので、
あくまでも「粗筋」ということをご了承いただいた上で、続きをご覧ください。




季節の変わり目ということもあり、魔化魍被害が増大。
猛士は衛生省に協力を要請し、響鬼+轟鬼ペアのヘルプとしてエグゼイドが参加する。
「よろしくお願いします、お願いします。お願いします」と、最後に誰もいない空間に挨拶をする永夢。
誰かいる?と舞台袖を確認する、私を含めた観客たち(笑)

「あなた達3人と一緒に戦えるなんて」という永夢のセリフに
「3人?」「他に誰か来る予定あったっけ?」と首をかしげる響鬼達。

もう、この時点で「斬鬼さんがあそこにいるんだ・・・!」とテンション上がりまくりですよ!
そっか、登場予定に斬鬼さんがいるのが不自然だよなと思ってたんですが、
ひらパーの脚本はマジでガチなのだ。やっぱり斬鬼さんは死んでるのだ。

「轟鬼さんは良い師匠に恵まれてて羨ましいです。あの人、轟鬼さんの師匠なんですよね?
 優しい目で見守ってるっていう感じで、いいなって」
「?」
「あの、轟鬼さんによく似た、茶色い角の」
「君には斬鬼さ・・・その鬼の姿が見えるのか。でも彼は、12年前に死んでいるんだ」

おそらく、轟鬼さんが斬鬼さんから受け継いだ音撃弦・烈雷に
付喪神(古い道具に取り憑く神)みたいな形でついているのではないか?と説明する響鬼。

さて一方。サプライズで登場のゲンム。
何をやらかしたのかはわかりませんが(苦笑)魔化魍に取り憑かれ、プロトマイティLv.2の姿になっています。
永夢に「なぜその姿に!?」と言われたり、ゾンビな動きをしてたりして
ちゃんとリアルタイムの設定に寄せてきてます。すごい。



※ちなみにコンデジ撮影なので、画質はそれなりです。
 ツイッターで見るショーの写真は、どれも綺麗に撮れてて本当にすごいですねとあらためて。

頭の中で繰り返される「鬼を殺せ」の声に怯むことなく、ちょうど良いと共生関係を結ぶゲンム。
レジェンドライダーたる響鬼から直接データが取れて、かなりご機嫌です。
目的は仮面ライダークロニクルですね、設定の使い方がうまい。

んで。ゲンムの持つバグヴァイザーには彼に取り憑いた魔化魍のデータも取り込まれていて
「より凶悪に変異したこのバグスターウィルス、これを人に感染させたらどうなるか・・・。
 興味深いとは思わないかい? ここの人間たちで試してみようじゃないか」
などと言って、客席にバグヴァイザーを向けます。おおお、前の方の席にいなくて良かったぁ(ひどい)

観客たちを守るためにバグヴァイザーの前に身を晒す響鬼さん。
ゲーム病に感染し倒れる響鬼さんに駆け寄る永夢たち。勝ちほこるゲンム。
ところが、データ集めばかりを優先してまったく鬼を倒そうとしないゲンムの態度に、体内の魔化魍が猛反発。
ゲンムは苦しみながら戦線離脱。永夢たちは響鬼を病院へ移送し、飛彩さんが執刀するバグスター分離手術が行われる。

手術を終えた永夢は、轟鬼さんを呼び出し、斬鬼さんの話をします。
「僕にだけ姿が見えたのは、ゴーストガシャットを持ってたおかげだと思います」
劇場版の設定まで引用してくるとは!
「このガシャットで作ったゲームエリアの中でなら、みんなにも、斬鬼さんの姿が見えると思います」

そして現れる斬鬼さん。姿を見るや、土下座する轟鬼さん。



「すんません斬鬼さん! 俺が情けないばっかりに。
 あのときも、死んでまで見守ってもらってたのに、今もまだこうして心残りにさせてしまって・・・」
「何を悩んでるんだ、轟鬼。弟子を取れずにいることか」
「すんません。でも俺、まだ未熟者だから・・・」

私の内心の声(轟鬼さんてば、ヒビキさんには弟子とれってうるさく言ってたくせにw)

「未熟者って。おまえ、いくつになったんだ」
「37っす」

(さ、さんじゅうなな!?)

「現役だった頃の俺より年くってるじゃねぇか。
 いいか轟鬼。おまえは弟子をとれ。そして、轟鬼の名前を継がせてやれ」

(継がせるっても轟鬼さんが初代なんだけどな)

「そして、おまえが『斬鬼』を名乗るんだ」

(・・・!)

「お前が引退するときは、弟子に斬鬼の名前を継がせる。
 轟鬼と斬鬼、このふたつの名前を、次の世代に渡してやってくれ」

いやぁ、ひらパーのライダーショーは神脚本だという話は散々聞いておりましたが、
すごかった。俺はいま、すごいものを見ているって思った。

あとはまぁ、そんなこんなで魔化魍に乗っ取られ怨霊化したゲンムが襲い掛かってきて
エグゼイド、斬鬼、轟鬼で応戦。そこに、入院中だったはずの響鬼さんが装甲響鬼として登場!



怨霊化してるゲンムの動きがいつもと違うのも素敵です。

さらに。エグゼイドたちに襲いかかるバグスターたちが一瞬で凍りつく演出。
「こ、この攻撃は!?」と驚く永夢の視線をたどると、客席の後ろからブレイブ登場!!!

などと、うおぉぉぉ!っていう見せ場がてんこ盛りで、
最後は音撃にてゲンムの中の魔化魍が消滅して、めでたしめでたし・・・なのかな?

「音撃が魔化魍だけに集中してたので助かったが、
 あやうくこの私まで浄化されるところだった」

そういやゾンビだもんね、浄化されても良かったのに!(社長好きだけどな)
あの局面で、ゲンムの中の魔化魍だけを狙って攻撃するとか、
鬼のすごさハンパねぇな!って思いました。

「なーんか、あいつ自身もアヤカシみたいなヤツだったな」とゲンムの背中を見送る響鬼さんに、
「はい、ははは・・・」と力なく笑う永夢。

自分の執刀医である飛彩を見た響鬼さんが、永夢に対して
「あいつがおまえの師匠か。・・・いい師匠じゃないか」と言い、
飛彩が「こいつが弟子? こんな弟子、no thank youだ」とお約束のセリフで返す。

自分の身を呈して、ゲーム病になってまで観客を守った響鬼さんとか、
轟鬼さんと斬鬼さんの師弟関係とか、自分にとっての飛彩さんの存在だとか、
そういったもので永夢がひとまわり成長するという、そんな話でした。
ひらパーのショーが神脚本だというのは本当でした。すごかった。



以下小ネタ。

響鬼さんの
「鬼以外にも弟子がいるよ。医者になったやつもいる。
 今も現役を続けていられるのは、そいつがいつも診てくれているおかげかな」
という、明日夢くんを連想させるセリフ。
もう、このセリフだけで、現在のヒビキさんと明日夢くんの関係が想像できて素晴らしい。

ちなみにラストには、飛彩さんの
「安達という医者から連絡があって、彼の今後の経過はそちらで診てもらうことになった」
という補足もあり。嬉しい。

京介くんはどうなったのかな。
まぁ残念ながら、京介くんの鬼の名を知らないからなぁ。
きっと元気に活躍していると思う。

ゲンムやバグスターたちがディスクアニマルに襲われるシーン。
アカネタカの声が流れ、ゲンムたちが宙を薙ぎはらう様子に、
もう完全にディスクアニマルが襲い掛かってるのが「見える」んですよ。すごい。

見えない「何か」を振り払いつつ舞台陰に手を伸ばすゲンム。
次の瞬間にはその手に緑大猿のディスクが掴まれていて、
ゲンムは容赦なくそれを割り捨てる。すごいよこれ、響鬼の世界がそこにあるよ。

倒れたゲンムがゾンビの動きで起き上がってきたの、すごかった。
なんでリアルなショーにはリプレイ機能がないのだ!(無理です)

響鬼さんがバチをくるくる回すのとか、
轟鬼さんが音撃弦のネックを持って本体をくるっと回すとことか、熱いよな!

あと、戦闘後の斬鬼さん+轟鬼さんのセッション。
ありがとう!やってくれると信じてました!



戦闘中で最大の見せ場のシーン。
舞台中央に立つゲンムに、斬鬼さんと轟鬼さんが駆け寄り左右から音撃をくらわそうとするんですが、
この一番大事なシーンで、走ってきた轟鬼さんが滑って転んだ(笑)
滑るのはもうどうしようもない。ライブはアクシデントも楽しいですよね。
なお、轟鬼さんの中の人は攻撃受けたときもくるくる回転していて、運動神経がすごく良さそうな印象でした。

響鬼のスーツのマジョーラカラーを楽しみにしてたんですけど、実物は意外と普通に紫だった。
いや、考えてみたらアクションするスーツなんてそういうものですよね?



本編で使用されてた、あの甲虫のごとき光沢のあるスーツは、
どんだけ金と手間をかけて作ったんだろうってあらためて思いました。
そんな芸術品着て山の中でアクションするとか、いまさらですが、すごい。




なんかもう、「ひらパーの年パス買うか・・・」と心の中で何度つぶやいたことか。
ちなみにひらパー野外劇場は、座るところがコンクリートです。
冷え切ったコンクリートはお尻の熱を容赦なく奪うので、厚手の毛布が座布団代わりに大変重宝しました。
常連と思われる人は座布団持ってきてたし、中には雪遊び用のソリ持ってきてる人も。それに座ったのか!?

後方の席は地面むき出しなので、レジャーシートはオールシーズン必要ですね。

ちなみに今回は普通のママさん(?)に擬態するべく、3歳次男を装備していきました。
まぁ場内でかかってる響鬼OPにテンション上がってたんで擬態意味なしだけどな。
下調べでひらパーのサイト見てたら、来月のウルトラマンイベントに6歳長男がえらい食いついてきたので
彼の情熱次第では来月も行くかも・・・です。いやどうかな、来月は映画行くからご予算的に無理かな。

仮面ライダー響鬼 最終之巻「明日なる夢」

2017-02-13 08:00:00 | 仮面ライダー響鬼
鬼たちの命運をかけた戦い「オロチ」から一年。たちばなではイブキとトドロキが手伝いをしている。そして城南高校では、ヒビキから突き放されるように別れた明日夢の姿が。一年前よりたくましく成長し、医者を目指して励む明日夢。そこにヒビキが現れて・・・。


「そうなんですよね、オロチを鎮めてから、もう一年なんですけど」
って予想外の展開! 一話まるまる後日談か。そういうの素敵です。

さて本編。

ヒビキさんに「自分の生きる道を決められないやつに、何の人助けができるんだ」と突き放された明日夢くんは、
この一年間、ヒビキさんに会わず、自分の生きる道を探し続けていました。一年!

食べる時間すら惜しんで必死に勉強して、
少しでも医者に近づけるようにと病院で雑務のアルバイトをしている明日夢くん。
うわ〜、どこぞの研修医に見せてやりたいですよねぇ永夢さん。
「ドクターになりたいけど、なれるかどうかわかんないから」ってゲームばっかりしてた永夢さん?

んで。急な土手を滑り落ちた少年を助ける明日夢くんですが、
その脳裏に、かつて自分を助けてくれたヒビキさんの姿が思い浮かびます(2話
懐かしいなぁ。確認がてら見直してみたら、明日夢くんが全然違うの。
「男子三日会わざれば刮目して見よ」と言いますが、少年の1年ってすごいな。

そして。この場に助けに来たのがまさかの京介くんですよ。
一瞬のこの表情、すごく格好いいよね!!!

しかし、この二人も一年前のパネルシアターで喧嘩別れしたまま。
いや、そんな状態なのに電話で助けを求めるとか、ダッシュで助けに来ちゃうとか、たまりません。

魔化魍に襲われたモッチーを助けるために、鬼へと変化する京介くん。

まさかの、白い鬼の姿。
彼らしい、潔癖で、無垢で、他人の色に染められるのを良しとしない、孤高の色。
すごい、すごいよな。京介くんは大人になったよね本当に。

「出会ったとき、屋久島の朝日、一緒にみたのを覚えてるか?」

「ヒビキさんに憧れていたんです。初めて会ったときから、ずっと。
 そして僕もいつか、ヒビキさんみたいになりたいって。
 ・・・でもそれじゃダメなんじゃないかって、気がついたんです。
 ヒビキさんになんでも頼って、ヒビキさんの真似をして、
 それじゃあ本当に、僕が目的をもって『よく生きてる』ってことに、ならないんじゃないかって」

「難しいよな、強く生きるって。
 俺は信じているんだ。人間は、いつだって変われるって。
 鬼になることだけが、俺の弟子になることじゃない。
 『鍛えた』な、明日夢。出会った頃から、明日夢は自慢の弟子だったよ」

Wikipediaによると、二人のラストをどうするか制作側でもかなり議論があったようですが、
「これからも俺について来い」というラストは、やっぱり響鬼らしくて良かったと思います。

良い作品でございました。ありがとうございました。

仮面ライダー響鬼 四十七之巻「語る背中」

2017-02-12 09:00:00 | 仮面ライダー響鬼
オロチを鎮めるという任務の重圧に揺らぐイブキ。ヒビキは鬼の姿にならず、傷つきながらも魔化魍と戦い続ける。一方、明日夢は直美のためにパネルシアターに挑戦。そして、オロチを鎮める清めの儀式の日が決定。鬼達は、それぞれの想いを胸に戦いへと立つ。


「鬼になるっていうのは、変身するっていうことじゃないんだよね。
 怖いと思う気持ちと戦う。そういうことだと、俺は思う」
「ヒビキさんでも、怖いと思うことあるんですか?」
「いつでも怖いよ。だから、一生懸命鍛えてる。また、生きるために」

そういえばヒビキさんは、初詣で何をお願いしたのか聞かれ
「俺か?俺はねぇ、二人が早く一人前になれますようにって。
 それともうひとつ。今年一年、また生きることができますようにって」
と答えていたっけ。

「また、生きるために」

明日夢くん。
彼の良いところは常に周りを見て、立ち止まってじっくり考えて
足元を固めながらゆっくりだけど着実に進んでいく姿勢だと思うんですけれど。
そんな明日夢くんに対してヒビキさんは「鬼の道っていうのは、迷いながら歩く道じゃない」
「自分の生きる道を決められないやつに、何の人助けができるんだ」と突き放します。えぇぇ!?

しかし、たちばなに戻ってから、明日夢くんのことを穏やかな表情で話すヒビキさん。

「俺には師匠がいなかったからさぁ。それでも、自分ひとりで鬼になった。
 それがいつも、大きな自信だった。
 でも。何かを伝えたいヤツができて、わかったことがあるんだ。
 自分を必要としてくれている人間がいるって」

ヒビキさんが弟子を取らなかった理由は、「自分ひとりで鬼になった」ことだったんだなと。
意外とね、つながりが希薄だった。
むしろそんなヒビキさんに「つながること」を教えたのが明日夢くんだったのかもしれない。

「また生きる」という言葉を受けて
「それって死ぬとき後悔しないよう、一生懸命生きるってことだと思うんです」と応えた明日夢くんに
何かを伝えることができた喜びとか、もっともっと伝えたいという願いとか、
そんなのが生まれたんだろうなって。

「人を助けることに一生懸命になれるから、俺は鬼になったんだ。
 人助けをして、また一生懸命生きて。人助けをして、そしてまた一生懸命生きて。
 俺はこれからもずっと、そうして生きていきたいと思う」

2話で何をやってる人なのかと問われたヒビキさんが
「人助け、ってとこかな?」と答えるシーンがあるんですけれど。
つながってるんだよな。なんかこう、
大事なところはちゃんとつながって作られているから、すごく嬉しく思う。

鬼の修行を中断した明日夢のもとへやってきた京介。掴み合いの喧嘩になります。
すごいよな。あの二人が、こんなに自分をむき出しにして喧嘩をする日が来るなんて。
あのほんわかマシュマロみたいだった明日夢くんが、良い表情で睨みつけるんですよね。素晴らしい。

童子と姫。造り主に逆らった二人は、自分が何者かを問い続けたまま
最後は塵になって消える。切ない。いや本当に何者だったんだろう彼らは。

ラスト。オロチ封じの戦闘シーンと、パネルシアターで朗読する明日夢。
パネルシアターでは「金の斧銀の斧」をやっていて、何か関係があるんだろうなと思っていたら、

「お前はなんて嘘つきで、欲張りなんでしょう」

のセリフで画面が切り替わります。鳥肌たった。そこ?そのセリフなの!?

前回の「死にたくない」と涙を流したイブキさんの姿を受けたヒビキさんは、
おのれの恐怖心を克服するために、鬼の姿を借りぬまま魔化魍を倒したのち、
イブキさんをだまし討ちにする形で、オロチ封じの儀式を自らの手で始めています。

・・・だから、ヒビキさんは「嘘つきな木こり」なのか?
鉄の斧(鬼としての生き方)も、銀の斧(弟子)も得て、なおかつ金の斧(仲間達の命)も守ろうとする。
たとえ、騙すような形なったとしても。

であるならば。欲張りの木こりは最後にどうなった。
あれも欲しいこれも欲しいと全てを望んだ結果、もともと持っていた鉄の斧すら失ってしまった。

怖い。ちなみに我が家にある「金の斧銀の斧」の絵本は、くだんのシーンの女神が
まるで悪鬼のごとく恐ろしい形相で描かれています。不穏すぎる。いよいよ次回最終回。

仮面ライダー響鬼 四十六之巻「極める鬼道」

2017-02-11 08:00:00 | 仮面ライダー響鬼
たちばなではザンキの悲しみを乗り越えようと気持ちを新たに新年を迎える。弟子トドロキは完全復活。明日夢と再び弟子になった京介にヒビキは「死」について、そして「良く生きる」ことについて語る。そして“オロチ"を静めた鬼の伝説が明らかになり・・・。


鬼に変身しているトドロキさんが「あっ」とつぶやいた瞬間、吐き出された白い息が見えて
たぶんマスクの隙間から空気が漏れたんだろうと思うけど、
なんか「生きてる」って感じがしてすごくいいよね。

さて。さて本編。
いよいよ大詰めという感じです。

二人の弟子に左右を挟まれたヒビキさん。
服装が白と黒になっているんですけど、本当に対照的な二人だし、
やっぱり見事なキャラ設定だよなぁと改めて。

京介くん。がむしゃらにまっすぐで。
1日も早く鬼になりたいと、すべての時間を費やすために高校を辞める決意をしますが、
ヒビキさんに言われて翌日には退学を取り消します。
すっげぇ恥ずかしいと思う。ドヤ顔で自分語りして辞めてった翌日の復帰だしね。
プライドが異様に高い京介くんには、本当に、耐え難い屈辱だったと思う。

でも、ヒビキさんが戻れって言ったらから、素直に戻るんだよ。すごい。えらい。
体力作り一辺倒の修行にも、文句も言わずについていく。
明日夢に負けても、「京介!お前、体力がついてきたな」と言われれば笑顔で返事する。
成長したよなぁ。

まだいっぱいいっぱいで余裕がなくて、
周りのことなんか見えてなくて、でもそんな自分に気づいてすらいなくて、
まっすぐに前だけ向いて全力疾走してる京介くん。

それとは逆に、周りのあれこれが気になって、
立ち止まって、ひとつひとつ、じっくりと考えて進んでいく明日夢くん。
ゆっくりだけど、その成長する姿は
太く頑丈な根を張って、いずれ大きな枝を伸ばし天を目指す姿を想像させる。

パネルシアター、こどもが幼稚園に入る前の小さい頃に、
児童館で何度か見せてもらったことあります。懐かしい。

大人サイド。オロチ復活の予兆に身構える鬼たち。

「はるか昔、オロチを封印した鬼がいた」

これ、劇場版の話ですよね。
そういえば「はるか昔」のオロチは一体どうなったんだっけ?
古文書を読んでいた明日夢くんだけど、途中で記録が途切れていて、最後まで読めなかったんだっけ。
うろ覚えで申し訳ない。封印、したんですね、たぶん。

「太鼓の技を使う必要がある」ということで、これはヒビキさん一択ですね!と思ったら、
「それは宗家の鬼であるイブキ、というのが、総本部の決定だ」と。
え〜なんだよ、ここへ来て宗家とか新参者とか、そういう区分けしちゃうの? 心狭っ!

とか思ったんですが。違った。
命の危険がある役目だからこそ、まず宗家の人間が矢面に立たなければいけないっていう。
すごいよな。さすが鬼の総本部だよな。

「わかっています。いつでも命を捨てる覚悟はできています」というイブキさん。

しかし、人目を忍ぶように香須実さんを呼び出して
「死にたくない、僕はまだ、死にたくない」と。

それは・・・それはそうだよな。そうだよね。うん・・・。

そして。敵サイド。
洋館の男女は童子と姫に「これからは鬼を守るのがお前たちの仕事だ」と命じますが、
二人は返事をしない。ていうか洋館の男女は何なの? 人間の味方なの!?

んで。進化した結果、自分の存在そのものに疑問を持ち始めた童子と姫は
躊躇なく鬼を攻撃した挙句、その理由を問われ
「わからん、だが、やつらの命令に背きたくなった」「私も同じだ」と。

童子(村田充さん)の回転跳び蹴りがすっごく格好良かったです。
Wikipediaによると、もともとダンサーとして活動してた人なんですね。納得の運動神経。

しかし、彼ら二人はおそらく定期的にエサをもらわないと生きていけない生命なんだよね。
そんな彼らが、主人である洋館の男女の命令に背く。
命を賭けた、自立。

いよいよ、残り2話です。