素晴らしき茜空の会

主に特撮番組の感想文。ブログタイトルは仮面ライダーキバに登場する「素晴らしき青空の会」より。

劇場版 仮面ライダー剣 MISSING ACE

2016-06-24 08:22:07 | 仮面ライダー剣
土砂降りの雨の中、対峙する剣崎くんと始さん。最終回のシーンを繰り返すようなセリフ。

剣崎くんの手で封印されるジョーカー。

力尽き倒れこむ剣崎くんの、赤い、血の色。

やばい。
始まって3分ですでに「この映画はリピ確実!」って震えてる。
始さんがカリスに変身し、そのまま駆け抜けてジョーカーになる演出とかマジしびれる!

剣崎くんが始さんを封印するエンド、これはこれでアリですね素晴らしい!

いや、劇場版って全然期待してなかったんですよ。
だってキバの劇場版が・・・いや、映画なんてお祭りだから、内容なんてね、そんな、ね。
「無料で見られるの?じゃせっかくだから」くらいの軽い気持ちで見たんだけど、
本当に良かった。ありがとうアマゾンプライム。

いや〜しかし井上脚本。さすが井上脚本。
序盤からテンポの良さが素晴らしい。場面がどんどん切り替わるのが気持ちいい。
天音ちゃんの万引きシーンも、犯罪なんだけど、
デパートという場所を活かした演出で、見ててすごく楽しい。

橘さんも、本来のエンジニアという設定を活かし、頼れる先輩ポジションに落ち着いてる。
すごい!なんか、並行世界の橘さんすごいかっこいい!

犯人探しやカードを使ったダイイングメッセージなど、定番を押さえた展開も良かったし、
広瀬さんの結婚相手のジョンソンって誰!?とか、
そもそも結婚自体どうなったの? みたいなツッコミどころをふんだんに用意してくれてるのも嬉しい。

前半部分、変身できない剣崎くんの生身の、走る、守る、戦う等の活躍も良かったです。
中の人のアクションシーンって、やっぱ良いな。

これ。展開からしてテレビ放映後の作品かと思ってたんですけど、本編やってる間に公開してたんですね。
「キングフォームはここで初めてお披露目」って、けっこう早い時期じゃない? 31話とかその辺り?
道理で。レンゲルのAのカードが闇色だったので「あれ?」と思ったんですよ。光になる前か。

冒頭の「俺とおまえは戦うことでしかわかりあえない」「残るはジョーカー、おまえだけだ!」
っていうのも、後発の本編の方が引用なんですね。意外。
真逆のエンディングなのに。脚本やることがかっこいいな!

でも、これは本編最後まで見てから劇場版見るのが熱いっすよ。カリス出てきただけで感動もんだよね。
剣崎くんがジョーカーのカードを投げて、「睦月!カリスを復活させるんだ!」かーらーの!
走るカリスの足元のズーム、カメラが持ち上がってアンデッドたちがバタバタと倒れ、
その向こうに、武器を構えたカリスの姿がどーん!っていう見せ方、震えるほど格好良かった!

ただね。映画自体は100点満点の出来だし、シナリオも演出も完璧いうことなし!
ついでにBGMも最高! ・・・なんだけど、そうなんだけど、
こんなに綺麗にまとまってると、ブレイドらしくないんだよ!
と思ってしまうのでした。本当に面倒な作品だなブレイドは!(褒めてる)

あと、まったく関係ないけど、ハカランダで始さんのテーマみたいなギター曲が流れてきて
誰が弾いてるのかと思ったら野村義男氏でびっくりしたぞ。



個人的にツボだったシーン。

アルビノジョーカーのパワーを封じるために生贄(天音ちゃん)を殺さないといけないけど、
それはできないので「剣崎、おまえが代わりに生贄になれ」とわりと軽いノリで頼む始さん。
え?それって「死ね」って意味だよね?

そっかー始さんは人間じゃないから生贄になれないのかな。
素直にいうことを聞いて祭壇の前に立つ剣崎くんを、始さんはいきなり突き飛ばして自分が生贄に。

「さあ俺を殺せ、どうせ前にも封印してるんだし、一度も二度も同じだろ」と
鬼畜な提案をしてくる始さん。

それなら最初から素直に自分が身代わりに立てば良かっただろ?って話なんですが、
そうすると剣崎くんが「誰も犠牲にならない方法があるはずだ!」とか言い出しそうで
面倒だなと思ったんでしょうね。うん、多分そうなると思う。

でもさー、剣崎くんだって始さんを封印してからの4年間、きっと何度か後悔し、
他にも道があったんじゃないかと自問自答してきたと思うんですよ。知らんけど。
なのに、また同じことをさせるとか、鬼畜っすよ始さん。
でも、橘さんや睦月くんじゃなく、剣崎くんを指名したところが、愛ですよね。

始さんと同じアンデッドに身を堕とすか、始さんを二度までも自分の手にかけるのか、
どっちにころんでも「けっこう濃い付き合い」だなぁ。

仮面ライダー剣 視聴後感

2016-06-23 08:55:04 | 仮面ライダー剣
終わったー。
途中で幾度となくくじけそうになったけど、ブレイド見終わったー。

なんと言いますか、仮面ライダーなんかの特撮ものではよく
「登場人物が闇落ちする」という展開があるんですけどね。

ブレイドは「見てる人が闇落ちする」という、ある意味新しい作品でした。

31話のあたりね。私、完全に闇落ちしてた。
「面白いっていったやつ、まじ許さねぇ」って、本気で書いてたもん。

それがどうだい。いまの感想は「序盤はつらいけど、途中からすごく面白くなるから」
あのとき本気で怒りを感じた言葉と、いままったく同じ感想しか出てこない。なんという因果な。
「まじ許さねぇ」って言った相手に、いま土下座で謝罪するスタンスであります。どうしてこうなった。

あのね、見る前に「序盤つらいけど」っていう言葉を何度となく目にしてて、
「じゃあそのつらい序盤を短くまとめて動画で紹介してくれよ」と何度となく思いまして。
実際自分でも何度か「×話まで見なくてもいい」「希望者にはあらすじ教えてやるから」と書いてきました。

んで。さらに中盤あたりで「こういう設定だったらブレイド面白かったのに!」というノリで
まあ二次創作みたいなもんですけど、本筋は基本変えずにキャラ設定や展開をちょっとだけ変えたのを
わりと楽しく書いたりしてたんですね。41話感想でもちょっと触れたやつです。
伊坂さん死ぬ手前くらいまで書いた。

でもね、31話以降で話がぐっと面白くなってきて。
そうなると、私が面白半分で書いてるものなんか余裕で超える内容なんですよ、当然なんだけど。
登場人物にもすごく愛着が出てきて、
そしたら、キャラ設定変えてどうこうとか、すごく失礼だなと思ってしまって。

それで、何の話かっていうと。
序盤のたるい展開も含めて、剣崎くんは剣崎くんたり得るわけで。
「見なくていい、あらすじ教えるから」で済む話ではないんです。
例えば、橋から落ちた始さんを剣崎くんが拾って、小屋で介抱するシーンとかね。
このシーン、なんか印象に残ってたんだけど、最終回にも出てきてすごく嬉しかった。

なのでブレイドは大変だけど1話から見よう。闇落ちには気をつけてね☆

あと、私の拙い二次創作は下書きに残ってるので、
閲覧希望の方はコメント欄かツイッターまでお問い合わせください。
(後日追記)やっぱり消しました。無理だから!二次創作とか私には無理だから!



wikipedia読んでの感想いくつか。
まず天音ちゃんちのお店。「ジャカランダ」ではなく「ハカランダ」でした。
「天王寺さん」ではなく「天王路さん」でした。
ブログさかのぼって訂正するのが面倒なので、ここでまとめてお詫びし、訂正と代えさせていただきます。

ライダーたち4人は、カテゴリーAにちなんで「1」にまつわる名前にしてあるそうです。気づかなかった。
剣崎くんの「一真」はそのまま。橘さんの「朔也」朔はついたちの意味だとは知ってましたが、
もともとは「新月」を意味し、「月が見えない=闇」の意味もあるそうです。ちょっと笑った。
睦月くんは一月の別称。始さんの名前は単純に「1」にまつわるものとしてつけられてたんですね。

もしかして相川始の「あい」はハートの「愛」だったのか?
橘、上城についてもダイヤ、クラブとの関連が疑われるところですが、
トランプネタは奥が深くて面倒っぽいので調べない。ご存知の方は教えてください。

あ。あと「睦月くんが『剣崎さんばかり強くなってく』と歯噛みするシーンは鎧武のミッチに似てる」
と書きましたが、虚淵さんはブレイド見てないそうです。単なる偶然の一致。

「アンデッドがアンデッドを封印できない」というバトルファイトのイレギュラーは、
天王路一派がゲームマスターを確保してたのが原因とのこと。クソゲーとか言ってごめんね。
アンデッド同士の戦いを制限して戦いのペースをコントロールし、ケルベロスの開発時間を稼ぐためでしょうか。
でも「勝者に臨むものすべてを与えるゲームマスター」が人に捕まるとか。マスターもうちょっと頑張れ。

そういや、ヒューマンアンデッドが前回の戦いで勝ち残ったときに
ゲームマスターに応えた「願い」は何だったんでしょうね。それに触れず仕舞いで終わったけど。
wikipedia読んだ感じだと「多くの種類の生命で満ち溢れた世界にする」かな。

あのときヒューマンアンデッドは剣崎くんに「君なら何を望みますか?」と問うたけど
その答えは!どうなった!?
そういうとこ甘いっていうか、本当だったらそれ、あとでちゃんと拾うべきボールですよ?

ヒューマンアンデッドはどうやって前回の戦いを勝ち残ったんでしょうね。謎すぎる。
想像した感じ、岩陰かどこかに隠れてじーっと戦いを眺めてて、
最後の一人が「俺が勝者だー!」と叫んだ瞬間に背後から刺した、みたいな、
十二支の物語に出てくるネズミみたいなイメージしか出てこないんです。あの顔で、背後からブスリと。

あと、ブレイドで特徴的だな〜と思ったのが、最強のキャラが常に手元にあったことですね。
文字通り「切り札(ジョーカー)はこちらの手の中に」
アンデッド、上級アンデッド、トライアルシリーズ、人造アンデッド、終盤のダークローチと、様々な敵が出てきましたが、
パワーでいったらさほどの脅威ではなく、ワイルドカリスとブレイドのキングフォームが苦戦することはなかった。

でも、ババ抜きや七並べのルールでもそうなんだけど、
「ジョーカーを持つものがゲームを制するが、最後まで持っていたものが敗者になる」んですよね。
この原則がある意味活かされてるのが、とっても興味深い。

バトル物っていうと、とかく強さのインフレが起こりがちで、
「もっと強さを!」と力を求める展開ばかりが目立つんだけど、
ブレイドに関して言えば、自軍に最強の存在があり戦闘ではわりと簡単に勝利するんだけど、
それでも苦境に立たされる場面が多かったし、始さんに至っては最後まで生き残ったのがマジ奇跡。

まあ「苦境に立たされる」っていうか、ライダー4人もいるのに頭脳派キャラが不在だったので、
状況に対して常に受け身で、戦闘で全て乗り越えてきた感じですからね。ひどい(笑)

とにかく。印象に残る戦闘シーンは、必ずしも最強フォームではないのですよ。
剣崎くんの34話、すべてのカードを失って、カードの力を借りずスペードのキングを倒したシーン。
橘さんの47話、マスクを壊されながらもゼロ距離射撃でダイヤのキングを倒したシーン。
睦月くんの42話、嶋さんの力を借りながらも、生身の姿でカテゴリーエースを倒したシーン。
いずれも初期フォーム(睦月くんに至っては生身ですよ)で、思いの強さで勝ち取った勝利です。

・・・って、42話の感想みたら睦月くんの戦闘にまったく触れてなかった。
しまった「愛され睦月くん」に夢中で肝心なシーンを忘れてたよ、すごく良いシーンだったんですよ!
とりあえずいま画像だけ足しといた。 

ブレイドのテーマは「運命」というのが公式、ですよね?
でも私にとっては「想い」というのが、とかく印象に残る作品でした。
それ自体は珍しくもないテーマなので、織り込まれていても不思議ないんだけど。
「想い」というのがメインテーマじゃなく、派生的に生まれた副産物であっても、
強化フォームに頼らず気合と根性で倒すシーンの多さがなんかすごく特徴的だったなと、
そんな風に思いました。気合と根性。まあ言い換えたら「力技で解決」なんですけど(笑)

ああ、40話でぬかるみの中で泥まみれで戦うシーンがあったけど、
なんかブレイドって全体的にそんなイメージです。
泥まみれになってあがき、もがき苦しみ、必死で戦い続ける、みたいな。
とにかくみんな不器用だったよね。でも、それが格好良かった。

まあ。途中は辛かったけど、最後は「見てよかったな」と思える熱い作品でありましたよ。
同時に、「これ最初から登場人物たちを大事に作ってくれたら、どんなに面白かっただろう」って
すごく残念な作品でもあります。本当に終盤のキャラたちは魅力的だった。

けっきょくブレイドは、一行でまとめると「仮面ライダーが世界を救った」ではなく
「剣崎くんが始さんを救ったお話」だったな。

仮面ライダー剣(第49話:最終話)

2016-06-22 09:27:48 | 仮面ライダー剣
いよいよ最終話。
最終話だというのに、子供達が遊びまわる休日昼間に再生したので
「これなに!?」「ブレイドだよ、これからジョーカーと戦うんだよ」
「ジョーカーってボス?」「ボスじゃなくて仲間なんだけど、話せば長いことながら」
「わーわーきゃーきゃー!」「騒ぐなら向こうの部屋行って!こっちは真剣なの!」
と。視聴環境って大事よね?という状況でした。ひどい。

さておき。
最後の展開は断片的ですがあちこちで見かけていたので、なんとなく知ってて、
「主人公ひとりを犠牲にしたうえで成立する平和で、それで本当にいいのか?」
と、ずっとモヤモヤしてたんですが。
映像で見たらすごく良くて、これがブレイドの世界なんだな、と納得できる最終回でした。
いままで「神回!」と叫んだのが2話あったけど(37話47話
最終回が文句なくベスト回です。

しかし展開を知ってたとは言え、
アンデッドサーチャー上の表示でジョーカーが2体になったときは
悲鳴が出たよね。ショックだよやっぱり。

剣崎くんひとりだけが犠牲になって、
これからもずっと運命と戦い続けて、そのうえで世界の平和が成り立っていく。
でも一握りの人間を除いて、誰も剣崎くんが戦い続けていることに気づきもしない。
なんかな、なんかそういう自己犠牲の精神?
仮面ライダーの原点っていうか、昭和ライダーもそんな雰囲気だったんじゃないかなって思いました。
見たことないけど。

あと。前回「橘さんの死が無駄死にに!」って叫んだけど、生きてました。
ごめん勝手に無駄死に扱いしてた。
烏丸所長もしれっと帰ってきてたな。悪人サイドじゃなかったのか意外。
しかし「天王寺に命を狙われていたから」チベットに隠れていたそうで、
物語の核心に近いところに居ながら、最初から最後までとんだチキン野郎である。

ラストの始さん。すっごくやわらかな表情になってて、びっくりしました。

始さんは天音ちゃんと結婚するんだろな〜とずっと思ってたんだけど、
違うな。たぶん、お父さんみたいに見守って、天音ちゃんをお嫁に出して、
子供、孫、子々孫々を半永久的に、ずーっとそばで見守っていくんだろうなと、思った。
始さんの不老不死の姿も、彼らはきっと受け入れてくれるんじゃないかな。
だってそれは始さんの「家族」だから。きっと。



これからも、内なる本性の衝動に苦しめられるときが幾度となくあるだろう。
でも、その苦しみはひとりだけのものじゃないから。
これから半永久的に続く試練を知ってなお、覚悟をもってこの運命を分かち合ってくれた「仲間」がいるから。

この先けっして会うことはないけれど、
自分が「相川始」でいられる限り、「剣崎一真」でいられる限り
互いの存在を確認することができる、「仲間」
ひとりじゃないから、だから絶対に大丈夫。そう信じられる。



以下感想つれづれ。

「この場所から、おまえと俺は始まったのかもしれないな」

「俺とおまえは戦うことでしかわかりあえない!」

もはや話し合いでは解決できない。
残るはジョーカーが世界を食い尽くすか、ジョーカーを封印するかの二者択一、
「だからもう、俺を封印してくれ」という始さんの悲痛な「叫び」

でも剣崎くんが自分を思ってくれてる気持ちの強さも知ってる。
ジョーカーが本気を出して剣崎くんを倒してしまったら元も子もないけれど、
剣崎くんを本気にさせるには、こちらもある程度の「本気」を見せなければいけない。
そこで敢えてワイルドのカードを見せて剣崎くんを本気にさせようとするが、
目論見はあっさり見抜かれてしまう。

煮え切らない始さんに対し「アンデッドはすべて封印した。残るはおまえだけだ、ジョーカー!」
剣崎くんが始さんのことを「ジョーカー」と呼んだのは初めてで、見ててショックだったんですけど、
見返したらこれは、剣崎くんの挑発だったんですね。

自分がジョーカーになるためには始さんと本気で戦って、アンデッドとの融合を極限にまで高めないといけない。
でも、ジョーカーの攻撃に耐え切れないと、もう後がない。
ジョーカーの攻撃に耐えられるライダーは、もう残っていない。

互いの「本気」を引き出すための、極限状態での駆け引きですよ。熱い!

「おまえは、アンデッドになってしまったというのか、最初から、そのつもりで」
すでにちょっと涙目になってる始さん。

してやったり、な剣崎くんの笑顔。いい表情するよな。

「俺たちは二度と出会うことはない、触れ合うこともない、それでいいんだ」

触れ合うっていう艶かしい表現にドキッとしましたが、これは「二度と拳を交えることはない」の意味ですよね。
敢えて「触れ合う」っていう表現をチョイスしたのは、なんだろうな、しょっちゅう殴り合ってたのにね。
カリスの正体を知らない頃とか、親しげに近寄って攻撃されてたりしたよねふふふ・・・。
・・・いかんいかん、また「最初から見たいな」とか言いそうになった。茨の道だぞ!

ラスト。剣崎くんの幻を見た始さんの優しい顔。

44話の「だいたい俺たち、けっこう濃い付き合いしてるのに、寂しいこと言うじゃないか」
という冗談交じりのセリフ。冗談どころじゃないぞ。ハンパなく重いぞこれ!
井上さん脚本の回だけど、最後の展開まで把握したうえで言わせてるんじゃないのか? ぐぬぬ。

仮面ライダー剣(第48話)

2016-06-21 08:28:15 | 仮面ライダー剣
前回の47話が感動回だったので、
きれいなところだけすくって、「あぁきれいだね」と愛でていたら
そこに墨をぶちまけられたような48話です。これはひどい。

まぁ「ひどい」って言っても「やっぱりな」って感じですけども。それにしても。

そもそもブレイドって、もろい土台の上に建て増し建て増しして作った
無計画で無秩序な積み木作品みたいなもんじゃないですか。
例えば私にとってキバは、しっかりした軸を中心にきれいな螺旋を描いた作品で
その計算された螺旋の美しさを堪能した作品なんですが、
ブレイドの場合は「この土台の上にこんな大きな積み木を」っていう、
もう「形になってるだけですごいよね」みたいなところがあって。

だから前回の47話も「すごい!すごい形の積み木を乗っけてきたよ!」みたいな。
「これ、裏から見るとアラやほころびすごいけど、こっちから見るときれい!」みたいな。
いわゆる「こまけぇこたぁいいんだよ!」の精神で美味しくいただいていたわけです。

だって前回の感想見てみ?キラキラしてるだろ?
邪魔なところは全部そぎ落として、きれいなとこだけすくってまとめたからね。

こんなすごい積み木の上に、これ以上なにか乗るのかよ!?と思ってたら
47話を潰して48話を乗せてきたので「うわひどい」ってなってる。
具体的にいうと、橘さんの尊い犠牲(?)が、思いっきり無駄死にになってる。

いや、47話の時点で「この上にきれいな積み木は乗らないよね」っていう感はあったけど
まさか積極的に潰して(無駄死に扱いにして)くるとは思わなくて。まじかー。

話はすでに47話から一ヶ月が経過。
ゴキブリもどきのアンデッドが昼夜を問わず無尽蔵に出現し、
剣崎くんも睦月くんも出口の見えない戦いにすっかり疲労し消耗しきってる状態。
精神的に極限状態な睦月くんですから、前回「始さんを救いたい」と理想を叫んでいたけど
そりゃ「相川始さえいなければ」と言うよね。おまえが言うなよ感はあるけど、言うよね。

気持ちはわかるけど、でも、ここで始さんを封印したら、橘さんは何のために命を懸けたのか!

と思ったら、当の始さん本人も自死にトライして「アンデッドだから死ねない」とか言ってて。
せっかく!橘さんが救ってくれた存在を!おまえら簡単に消そうとしてんじゃねーよ!

いや彼らを責めてはいけない、むしろ前回の橘さんの行動こそ考えなしだったんだそもそも。
責任あるリーダー的立場の人が、その場の思いつきで後先考えずにキングを封印するから
この大惨事を招いてるんじぇねーの!?っていう。

ほらね、前回47話の感動が台無し。すごい勢いで台無し(笑)

いや、「ひどいひどい」と連呼してるけれど、
ブレイドの中であんなに心震わす回を入れてきたのは素直にすごいと感動したし、
それを次の話でぶっ潰してくる展開も、まぁ、 当然の流れではありますし、
なんていうか、今回の「ひどい」は好意的な意味での「ひどい」です。フォローになってんのかな。

仮面ライダー剣(第47話)

2016-06-20 21:59:02 | 仮面ライダー剣
神回、再び。

「ジョーカーを封印する。そうすれば、人類は滅びない」

「誰でも、運命と戦うことは、できるはずです」

限られた選択肢の中から、もっとも安全で、犠牲の少ない方法を提示する橘さんと、
たとえわずかな可能性でも、みんなが幸せになれる方法を望む睦月くん。
どちらが正解とかじゃない。橘さんの「現実」と、睦月くんの「理想」。

そして、ジョーカーを封印しようと始さんに銃口を向ける橘さん。
二人の話を聞いていた始さんは抗おうともせず、
天音ちゃんからの電話をとり「必ず、みんなと帰るから」と穏やかな声で約束する。

とうとうブレイドで涙腺決壊です。
ダメだ、もうね。始さんの電話でとどめを刺された。まさかブレイドに泣かされる日が来るとはね!

人類が生き残る方法は、橘さんの提示した案がいちばん現実的なんです。
始さんもそれを理解したうえで、橘さんに封印されることを望み、
最後に天音ちゃんと、守れない約束を交わした。それが始さんの望んだ幸せな世界だったから。
最後に天音ちゃんの喜ぶ声を聞いて、終わりにしたかったから。
世界から「相川始」が消えてしまっても、仲間たちがきっと優しい嘘で天音ちゃんの笑顔を守ってくれるから。

まあ、そんなもの見せられたら、ジョーカー封印なんてできないよね!
っていうか橘さんだって、責任感や年長者としての立場上、苦渋の選択を提示しただけであって、
そんなしがらみさえなければ「俺だって始を救いたい、運命と戦いたい」と言いたいんですからね。
リーダーはなにかと損な役回りです。

というわけで橘さん。格上のキング相手に苦戦を強いられますが、
起死回生のゼロ距離射撃で、マスクを破られながらも根性で勝利をもぎ取ります。

もうね、力とか技とかじゃない、本当に根性勝負。
スクショみたら装甲のダメージすごいですね。気づかなかった。

そんなこんなで、結局橘さんはアンデッドと海に消えちゃうし
始さんのもとにはゲームマスターが現れ、始さんの意思にかまわずゲーム終了を宣言しちゃうし。
惨憺たる有様で次回へ続きます。

なんかさー、クワガタメガネさんも、あと50年くらい始さんのことを見守っててくれたら
天音ちゃんが天寿をまっとうする頃には始さんも喜んで封印されてくれただろうし
そのあとクワガタ天国になってたんじゃないの? それでよかったんじゃないの?
人類滅びちゃうけど。