今回の映画デビューはアダム・ドライバー&マリオン・コティヤール主演、カンヌで監督賞を受賞のレオス・カラックスのロック・オペラ映画「アネット」です。
監督の過去作品は鑑賞してないのですが、アダム・ドライバーとマリオン・コティヤールの共演に2011年のカンヌ監督賞とミュージカル作品として高評価もあって鑑賞することに。冒頭にクレジットと監督の言葉「息すらも止めてご覧下さい」の呼びかけにドキリとさせるスタート、すべてのセリフが歌でド直球の構成ですが、物語はとてもダークな内容となっています。
アダム・ドライバー演じるスタンダップコメディアンのヘンリーとマリオン・コティヤール演じるオペラ歌手のアンは婚約発表に結婚とメディアの注目を浴び続けますが、アネットの誕生によりダークなおとぎ話が展開されるという内容です。
コメディアンとオペラ歌手と言う異色のカップルですが、ヘンリーはブラックユーモア、アンは死をテーマにしたオペラ歌手の共通点があり、アネットの誕生で二人の価値観が変化していきます。ストリーはいたってシンプルですが、アネットの存在がラストまで人形になっており、その存在自体が不気味でダークな世界をさらに強調しています。また、エンターテーメントの世界を舞台にしているので、華やかさの中にある虚無感がさらに増幅します。
ネタバレすると作品のダークなイメージが損なわれるので言いませんが、製作に参加しているアダム・ドライバーの存在感はすごいです。この作品のためにレッスンを重ねたコティヤールの声もすばらしいです。そして何より糸のないあやつり人形のようなアネットの存在がなければ、この作品は成立しないなと感じました。
ロックオペラとして十二分に楽しめる作品ですのでミュージカル好きな方には一種異様な世界をぜひ楽しんでほしいなと思います。