映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、君塚良一の脚本、監督で中井貴一主演の2016年公開のヒューマンコメディー「グッドモーニングショー」です。
今回の作品は、長年テレビの世界で活躍している君塚監督ならではの内容です。しかも、キャスティングがワイドショーのキャをスター役に中井貴一、ディレクターに時任三郎という、かつてのドラマ「ふぞろいの林檎たち」での二人ですから、あの時代を知る人には懐かしさも感じると思います。
ある出来事で、ニュースキャスターから朝のワイドショーのキャスターとなった澄田は、息子や女子アナの突然の告白や降板の危機を抱えて番組にのぞみます。そこに、カフェ立てこもり事件が起き、犯人から交渉役に澄田が指名されます。犯人の真意がつかめないまま澄田は、現場のリポーターといして犯人と対峙していきます。
筋書きとしては、緊張感のある現場を想像しますが、そこは君塚監督、踊る大捜査線のように、緊張感の中に随所に笑いを取り込みながら人間味あふれる演出で進んでいきます。
朝のワイドショーの中に組み込まれた事件。犯人との対話の中で、社会が抱える問題点が犯人を通じて浮き彫りになる部分は、不自然な空気の中にある不思議な素直さがあり合点がいきました。結末もいかにもワイドショー的でした。
こうした映画は、日本独自のテレビの在り様がなせる技で、ある種の日本文化の象徴を感じました。