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札幌・円山生活日記

新選組副長助勤役 永倉新八の自筆です!~北海道立博物館クローズアップ展示~

本日は「北海道博物館」です。同館の総合展示室で定期的に入替え展示する「クローズアップ展示」で『新選組の元幹部隊士 永倉新八』なる企画があると知り観にやってきました。アクセスは地下鉄東西線の東の終点「新さっぽろ駅」で北レーン10番乗り場よりJR北海道バス「新22「開拓の村」行(30分間隔)」に乗り約15分で「北海道博物館」です。
「北海道博物館」は『北東アジアのなかの北海道』と『自然と人とのかかわり』をコンセプトとして北海道の自然・歴史・文化を5つのテーマで紹介する博物館。レンガ壁でおおわれた建物から愛称は『森のちゃれんが』です。
総合展示室「プロローグ 北と南の出会い」に入ってすぐにナウマンゾウとマンモスゾウの全身骨格(レプリカ)がお出迎えです。
衛星写真上に標本が置かれ北からマンモスゾウ、南からはナウマンゾウがやってきていた様子が表現されています。北海道の地で共存していた時期もあったそうです。

今回の目的のクローズアップ展示は「第1テーマ 北海道120万年物語」の一角にあります。およそ120万年前から開拓が始まった19世紀の終わりごろまでの北海道の歴史と人々の歩みが紹介されています。
クローズアップ展示「新選組の元幹部隊士 永倉新八」のコーナー。定期的に入れ替えて展示するコーナーで新たに収集した資料や資料の劣化を防ぐために限られた期間しか展示できない貴重な資料が登場するとか。新選組ファンの身としてはもう少し規模のある展示かと期待していたのですが展示資料は5点。でもじっくりと観ると見どころ満載です。
新選組は、幕末の京都で江戸幕府に敵対する浪士たちを取り締まった、幕府お抱えの剣客集団です。その幹部隊士の一人、永倉新八(1839〜1915)は、江戸で働いていた松前藩家臣の次男として生まれ、明治維新後は松前藩の医者・杉村家の聟養子となって杉村義衛と名前を変えるなど、北海道にゆかりの深い人物です。多くの幹部隊士が幕末から明治維新期の動乱のなかで命を落としましたが、大正時代まで生きた永倉は、新選組の活動を後生に語り継いだ生き証人といえます。
永倉新八のチョッキと木刀。
内側には、永倉の自筆で、浪士組(新選組の前身)に参加するために江戸を出発する時に詠んだ和歌「武士(もののふ)の 節を尽くして 厭くまでも 貫く竹の 心ろ一筋」や、戊辰戦争で 会津に転戦した時に陣羽織を仕立て直したチョッキであることなどが記されています。また、よく見ると、ところどころに血痕が付いていることがわかります。
直筆の裏書を読んでいくと・・慶応年間の鳥羽伏見から甲州勝沼までの戦争の際に着用した陣羽織を会津に脱した折にチョッキの裏地にしたことが書かれています。最後には『旧松前志摩守藩ヲ脱ス 京都守護職松平肥後守御預り 新選組副長助勤役 永倉新八』の直筆署名!しかも血痕!DNAも採れるんじゃないと?
こちらは古い写真と永倉文書2通。
1913年(大正2年)に札幌で撮影された集合写真。

当時75歳の杉村義衛(永倉新八)。『ゴールデンカムイ』の雰囲気?

ちなみに北海道大学正門近くには 「新選組隊士 永倉新八来訪の地」案内版があります。当時小樽に住んでいた永倉新八(杉村義衛)が乞われて来札し剣の型を演じた道場があった場所だとか。老いても若い剣士たちを子供扱いだったとか(「北海道博物館」の展示ではありません)。
永倉文書の一つ。晩年の永倉新八が自身の先祖や親類、恩人、新選組関係者など97人の戒名や没年、死亡理由などをまとめたもの。
その中には板橋で『死刑』となった宮川勝五郎改め近藤勇昌宜(新選組局長)や『函館戦死』の土方歳三義豊(新選組副長)の名前が読み取れます。
さらに直筆文書の「七ヶ所手負場所」。孫へのメッセージとして書かれたとか。その中に池田屋事件の記述があり、近藤局長、一番隊長・沖田総司、二番隊組長・藤堂平助とともに永倉新八が切り込み、後刻に百人の隊士を連れた土方副長と合流したとあります。ドラマや小説に描かれている通り最初に4人で切り込んだと本人の筆で書かれており歴史を目の当たりにするような気分です。なんか感動します!
土方歳三が戦士した函館・五稜郭のコーナー(「第1テーマ 北海道120万年物語」展示)。

大正時代の長万部~小樽間の車内の様子(「第3テーマ 北海道らしさの秘密」展示)。剣の指導に小樽から札幌へ行く永倉新八もこんな車中にいたのかとも・・。何度も観てきた展示ですが一層の印象深さでした。

2階の特別展示室では第23回企画テーマ展「北海道のお葬式」が開催中。
近代以降のお葬式がアイヌと本州以南からの移住者それぞれによってどのように行われてきたか博物館に残された資料をもとに紹介されます。こちらはアイヌの方々の葬式用具。文化の伝承が難しくなり売却されたものが博物館に所蔵されるようになったそうです。
本州以南からの移住者(和人)の葬式用の輿。神社に残されていたもの。
玄関正面の内壮夫氏作《はばたき》。“この付近で手を打つと鶴が羽ばたくような音が聞えます”とのこと。来て良かったです。ありがとうございました。

「北海道博物館」
札幌市厚別区厚別町小野幌53-2 011-898-0466
開館時間 5月〜9月 9:30〜17:00 10月〜4月 9:30〜16:30
※入館は閉館の30分前まで
料金(総合展示室) 一般 600(500)円/大学生・高校生 300(200)円
*高校生は土曜日・こどもの日・文化の日は無料
※( )内は10名以上の団体料金です。
※中学生以下、65歳以上の方は無料。入館の際に年齢のわかるもの(生徒手帳、健康保険証、運転免許証、マイナンバーカードなど)をご提示ください。
※障がいのある方は無料。入館の際に障害者手帳・障害者手帳アプリをご提示ください。(その手帳をお持ちの方1名に対し引率者1名は無料)
※7/17(土)の「道みんの日」は無料。
休館日  毎週月曜日(祝日・振替休日の場合は直後の平日)、年末年始(12/29~1/3)、ほか臨時休館あり
http://www.hm.pref.hokkaido.lg.jp/
(2024.11.15)

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