札幌出身で日本近代洋画史を彗星のごとく駆けぬけわずか31才で夭逝した画家「三岸好太郎(みぎしこうたろう)」の作品を収蔵し画業を紹介する「北海道立三岸好太郎美術館」。「知事公館庭園」北側の木立が茂る中に佇むアトリエのような美術館です。現在は4月18日(火)までの予定で所蔵品展【デコボコンポジション】及び【《立てる道化》が絵本になった!」を開催中です。
本日は「北海道立三岸好太郎美術館」で所蔵品展【デコボコンポジション】及び【《立てる道化》が絵本になった!】》の鑑賞です。通称「ミニ大通」沿いのフレンチ・イタリアン2人のシェフのコラボ店「双葉DINING(ふたばダイニング)」でのランチの後にやってきました。
「北海道立三岸好太郎美術館」の外観。
展示会場入口。
所蔵品展【デコボコンポジション】のチラシ。
画家・三岸好太郎(1903-1934)の造形は、多様に変転しつつ、繊細な詩情と斬新な着想で魅力を放ちます。
幾重にも塗り重ねた色彩の深み、厚塗りの画面の盛り上がりや凹凸、なめらかな部分とザラザラする質感の対比、さらに絵の具を引っかいて線を刻む手法、紙や印刷物を貼り付けたコラージュ等々、前衛的な実験にも挑みつづけました。
そして31年という夭折の生涯も、高揚、前進、熱中、陶酔の一方で、苦悩や不安、混迷なども含んだ、高低・明暗、山あり谷ありの連続であったともいえるでしょう。
本展では、三岸の画業と造形にそうした起伏や凸凹(デコボコ)を見ながら、さまざまな作品・作風の展開のなかで、新しい表現を求め続けた彼の実験精神に注目します。
本展では所蔵品を何か新しい切り口で整理して展示しているのかと思ったのですが画伯の作風の変化と人生の展開を時系列に展示しており特に目新しさはあまり感じません。
それでも三岸作品の代表作が並ぶと壮観で見ていて安心感があります。
代表作をいくつか掲載します。三岸好太郎《猫》1931(昭和6)。正体不明の謎キャラだそうですが所蔵品の中でも人気の高い作品だとか。
三岸好太郎《道化役者》1932(昭和7)。お馴染みの作品で現存する三岸作品で最大のものだそうです。
三岸好太郎《大通公園》1932(昭和7)。画伯が愛した札幌の街の風景で西3丁目辺りから東方向を眺めた図柄だとか。
2階の展示会場へ。
ひっかき技法による代表作の一つ三岸好太郎《オーケストラ》1933(昭和
8)。
三岸好太郎《コンポジション》1933(昭和8)。
三岸好太郎《コンポジション》1933(昭和8)。
三岸好太郎《飛ぶ蝶》1934年(昭和9年)。
【スポット展示《立てる道化》が絵本になった!】
【《立てる道化》が絵本になった!】の展示会場。
【《立てる道化》が絵本になった!】のチラシ。
絵本と展示を通して所蔵品を紹介する企画の第3回目。
今回は「プップクプードル」などで人気の札幌在住の絵本作家・やまだなおとさんが、三岸好太郎の《立てる道化》を題材に新作絵本『道化とランプ』を書き下ろしました。《立てる道化》は、三岸好太郎の道化シリーズの中でも、もっとも憂愁に満ちた雰囲気の秀作です。
今回は「プップクプードル」などで人気の札幌在住の絵本作家・やまだなおとさんが、三岸好太郎の《立てる道化》を題材に新作絵本『道化とランプ』を書き下ろしました。《立てる道化》は、三岸好太郎の道化シリーズの中でも、もっとも憂愁に満ちた雰囲気の秀作です。
本展では、絵本の原画イメージと関連作品などにより、子どもから大人まで楽しめる絵画と物語の世界へご案内します。
【《立てる道化》が絵本になった!】の展示会場。
三岸好太郎《立てる道化》1932年頃。道化シリーズの中でもっとも憂愁に満ちた雰囲気の秀作だそうです。
やまだなおと氏作の『道化とランプ』の原画。上の三岸作品がこんな風に絵本になります。
やまだなおと氏作の『道化とランプ』の絵本。
同じく絵本の原画。大作の道化はじめ三岸作品のキャラクターが大勢登場しています。
特にこちら(昨年8月の鑑賞時の写真です)。三岸好太郎《悪魔》1932(昭和7)です。ひっかき技法による《オーケストラ》の裏に書かれた作品とか。《オーケストラ》が有名になったため本作《悪魔》が展示されるのは珍しいそうです。こんな作品も含め三岸キャラクターが大勢登場している絵本は見ていても楽しいです。
こんな絵本になります。
次のページでも《飛ぶ蝶》や《のんびり貝》など三岸作品です。
その原画。
おしまい。以前【《赤い服の少女》が絵本になった!】との企画を見ました。今回は「絵本と展示を通して所蔵品を紹介する企画」の第3回目ということですが三岸作品がこれほど登場するのは観ていて楽しかったです。ありがとうございました。
カフェ「きねずみ」から見た「知事公館庭園」。現在冬季閉鎖中ですが外から見ていて《キバナノアマナ》がたくさん咲いていました。
「北海道立三岸好太郎美術館」
札幌市中央区北2条西15丁目 011-644-8901
営業時間 9時30分~17時 ※入館は16時30分まで
定休日 月曜(祝日の場合は翌火曜)、年末年始、その他展示替え期間など臨時休館あり。
札幌市中央区北2条西15丁目 011-644-8901
営業時間 9時30分~17時 ※入館は16時30分まで
定休日 月曜(祝日の場合は翌火曜)、年末年始、その他展示替え期間など臨時休館あり。
【デコボコンポジション/《立てる道化》が絵本になった!】
主催:北海道立三岸好太郎美術館
会期: 2022.12.17(土) - 2023.04.18(火)
開館時間:午前9時30分~午後5時(入場は午後4時30分まで)
休館日:月曜日、12/29~1/3、1/10、3/31~4/6 *1/9の月曜は開館
観覧料:一般510(420)円、高大生250(170)円
*( )内は10名以上の団体料金
*中学生以下、65歳以上無料
*身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方(ミライロID利用可)およびその介護者(1名)などは無料
*高校生は毎週土曜日および学校の活動で利用する場合は無料
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/mkb/
会期: 2022.12.17(土) - 2023.04.18(火)
開館時間:午前9時30分~午後5時(入場は午後4時30分まで)
休館日:月曜日、12/29~1/3、1/10、3/31~4/6 *1/9の月曜は開館
観覧料:一般510(420)円、高大生250(170)円
*( )内は10名以上の団体料金
*中学生以下、65歳以上無料
*身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方(ミライロID利用可)およびその介護者(1名)などは無料
*高校生は毎週土曜日および学校の活動で利用する場合は無料
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/mkb/
(2023.4.13)