帰り道。最寄り駅から家に向かって歩いていると、横断歩道の向こう側に
明らかに様子がおかしい老人がいた。両手に杖を持ち、上着は来ているが
下半身は紙パンツ1丁だ。そして、傍らには中学生か、高校生くらいの
若い男の子が立っていた。「どうかしたん?」と声をかけると
男の子とは「このおじいさんの様子が変だし、言ってる事が
コロコロ変わるんです」と言った。(きっと、徘徊だろうな)と思い
男の子に声をかけた。「幸いにも、あそこに交番がある。オレが
おじいさんを交番まで引っ張って行くから、先に言って保護してもらうよう
頼んで来てくれないか?」と言って、男の子を交番に向かわせた。
「交番いやや。恐い」と言って、体をこわばらせる、おじいさんに向かって
「大丈夫、家に連れて帰ってくれるから、一緒に行こうなー」となだめすかし
交番へと連れて行った。最近の交番ってお巡りさんがいなくって相談員と言う
人が居るんだね。交番には、おじいさんが居た。男の子が
話を付けてくれたみたいで、警察へは連絡したとの事だった。
しばらくすると、スクーターに乗って男女ペアに警察官が6人
パトカー2台がやって来た。(うわうわ、なんか大ごとになってる)と
思いながら、成り行きを見守った。婦人警官から「事情を聞きたいので
ちょっと待っていて下さい」と言われて、男の子と2人で交番の脇で
待っていた。まず男の子が事情を聞かれ、次に自分が聞かれた。と言っても
自分は、男の子が老人を捕まえていたので、交番まで連れて来ただけだと
言って、免許証と、会社の身分証明書を見せて、身元を明かしただけだった。
そうこうしている内に家族と連絡がついたみたいで、自分達2人は
お役御免となった。「お疲れ様。ありがとうねー」と男の子に声をかけて
自分も家路に着いた。いい事をしたのだが、後味が悪かった。
もし自分の親が、あんな風になったら。もし自分が、あんな風になったら
どうしよう…。なんともやりきれない気持ちになった。
あー。なんか辛い。ちょっとネットで遊んで気分を変えよう。