風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

風の向こうに(第三部)六小編 其の弐拾

2010-05-03 15:35:25 | 大人の童話

夢が、長年の疑問が解けて一人感激に浸っていると、またまた六小の大きな声が

響きました。

「ちょっと、夢ちゃん!今行くって言ったくせに、どうしちゃったのよ。もう夕方だよ。

わたしと話す時間、なくなっちゃったじゃないのよ。ん、もう!」

六小は、資料室に入ってから全然自分を相手にしてくれない夢に、とうとう完全に

怒ってしまったようです。夢は、

「ごめん、ごめん。」

と謝りながら資料室から出てくると六小に言いました。

「懐かしくて、つい夢中になっちゃった。でも、おかげでいいものを見つけたよ。」

「何?いいものって。」

六小は、夢の「いいもの」と言う言葉に強く興味を持ったようで、体全体に光を

あふれさせ、キラキラしながら訊いてきました。

「うん、あのね、六小さんのチャイムの疑問が解けたの。」

「えっ、チャイムの疑問って、あの時、夢ちゃんがいいって言ってくれたわたしの

チャイムの。」

夢の言葉を聞いて、六小は驚いたようですが、とてもうれしそうでした。光をさらに

大きくして体全体を包み込み、キラキラとまぶしいほどに光っています。夢もそんな

六小の姿を見てうれしくなりました。

「うん、あの時は何のメロディーかわからなくて、今までずっと気になってたんだけど、

わかってよかったわ。今日、六小さんに会いに来てよかった。」

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。