「夢ちゃん、確認したいことってなぁーに?」
六小は好奇心いっぱいのようで、体全体を、もうこれ以上ないというくらい
キラキラさせています。夢は、そんな六小の光をあびて、
「う・・ん、わたしたち(といっても、たぶん3組)が卒業記念に植えたっていう樹が
あるかなって。」
と、まぶしそうに眼を細めて答えました。
「ふ~ん、わかった。じゃあ、待ってる。でも、なるべく早くしてよ。前みたいに長いと、
やだからね。」
「うん、わかってる。今日は早くするよ。」
そう言いながら夢は、そこから何かをつかみ取ろうとでもするかのように、眼の前に
ある樹をしげしげと眺めていました。そのまま、二十分ぐらい眺めていたでしょうか。
が、結局、その樹が、記念樹の「タイサン木」なのかどうかはわかりませんでした。
花が咲けばわかるのですが、あいにく、夢が行った時は、花が咲く時期では
なかったのです。しかたないので、夢は、たぶんこれだろう、というめぼしだけ
つけて、花の咲く時期にまた来ることにしました。そして、六小の方をむくと、
「だいたい見当ついたから、今日はこれくらいにしとく。さ、六小さん、お待たせ。
もういいからいっぱいお話しよう。」
と、笑顔で言いました。
「え、もういいの、夢ちゃん。」
六小は、自分が思っていたよりも早く、夢が「いいよ。」と言ったので、ちょっと
びっくりして反対に夢に聞き返しました。夢は、
「うん、いいよ。」
ともう一度言い、にこっと微笑みました。六小はそれに対して、
「うん、それじゃあ。」
とうれしそうに、ひときわ大きく光って答えるのでした。