風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

風の向こうに(第三部)六小編 其の弐拾四

2010-05-06 23:16:10 | 大人の童話

「夢ちゃん、確認したいことってなぁーに?」

六小は好奇心いっぱいのようで、体全体を、もうこれ以上ないというくらい

キラキラさせています。夢は、そんな六小の光をあびて、

「う・・ん、わたしたち(といっても、たぶん3組)が卒業記念に植えたっていう樹が

あるかなって。」

と、まぶしそうに眼を細めて答えました。

「ふ~ん、わかった。じゃあ、待ってる。でも、なるべく早くしてよ。前みたいに長いと、

やだからね。」

「うん、わかってる。今日は早くするよ。」

そう言いながら夢は、そこから何かをつかみ取ろうとでもするかのように、眼の前に

ある樹をしげしげと眺めていました。そのまま、二十分ぐらい眺めていたでしょうか。

が、結局、その樹が、記念樹の「タイサン木」なのかどうかはわかりませんでした。

花が咲けばわかるのですが、あいにく、夢が行った時は、花が咲く時期では

なかったのです。しかたないので、夢は、たぶんこれだろう、というめぼしだけ

つけて、花の咲く時期にまた来ることにしました。そして、六小の方をむくと、

「だいたい見当ついたから、今日はこれくらいにしとく。さ、六小さん、お待たせ。

もういいからいっぱいお話しよう。」

と、笑顔で言いました。

「え、もういいの、夢ちゃん。」

六小は、自分が思っていたよりも早く、夢が「いいよ。」と言ったので、ちょっと

びっくりして反対に夢に聞き返しました。夢は、

「うん、いいよ。」

ともう一度言い、にこっと微笑みました。六小はそれに対して、

「うん、それじゃあ。」

とうれしそうに、ひときわ大きく光って答えるのでした。

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。