風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

第六小学校の呟き

2010-06-06 18:34:27 | 校舎(精霊)の独り言

あ~っ、もう一つ忘れてた。って、これは夢ちゃんから、私から皆様に話して

おいてって頼まれたんだけど。あのね、例の開校記念の写真の件なんだけど、あの

写真ね、夢ちゃん、卒業までとうとう見れなかったんだって。んでね、三年前に私に

会いに来た時に、始めて見たんだって。先生たち、写真できてきた時、みんなに

見せてあげなかったのかしらねぇー。まあ、私は、そんなのどうでもいいけど。

夢ちゃんにとっては、大切なことなのよねえ。あっと、それでね、夢ちゃん、資料室で

その写真を見たとき、すごくうれしくて、当時を思い出して、感激して涙が出て

きちゃったんですってさ。そんなものなのかなぁ。う~ん、私にはわからないなあ。

でも、夢ちゃんには、あの航空写真も大切な思い出なのよね、きっと。だから、

泣いちゃったんだろうな。

夢ちゃん!見たかった思い出の写真、見れてよかった、ね!

 


風の向こうに(番外編) 其の壱

2010-06-04 15:36:44 | 大人の童話

六小が開校して四年めの昭和四十五年、夢は六年生になりました。来年の春は、

もう六小ともお別れです。

『小学校生活も、あと一年かぁ。そしたら、もう六小さんともお話できないな。まあ、

静かになっていいけど。』

夢がこんなことを思っていると、さっそく六小がやってきました。

「ゆーめちゃん、お・は・よ・う!今日も元気に、いってみよーう!」

「はーい、おはよう。あいかわらず、元気なキャピキャピぶりだね。今日は何の用?」

夢が笑いながら返事すると、六小は、

「何の用って別に何もないけど。あ、そうだ。ねえ、夢ちゃん、逆上がりできるように

なった?」

と、逆に夢に訊いてきました。

「う・ん、知ってるくせに。見てのとおり、まだ。卒業までには何とかって

思ったんだけど、このぶんじゃ、きっとだめね。あ~あ、四小さんと約束したのに

何て言おうかな。」

すると六小は、体全体をキラキラ光らせながら言いました。

「ふ~ん、ま、いいじゃない別に。夢ちゃん、一所懸命練習してるのに

できないんだもの。きっと、四小さんだってわかってくれるよ。」

「そうかなあ。」

「うん、大丈夫だって。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして・・・・翌年、桃の花咲く頃・・・・・・・・

夢は六小に言いました。

「うふ、やっぱりとうとうできなかったね。まあ、しかたない、か。」

六小が、笑って答えました。

「うふ、そうね。でも、ま、いいんじゃない?」

夢は、とうとう最後まで、逆上がりができませんでした。

そう、大人になっても・・・です。


第六小学校の呟き

2010-06-03 15:23:00 | 校舎(精霊)の独り言

あ、そうだ、一つ忘れてた。みんなに、私の校章のこと話しておかないと。

夢ちゃんにおこられちゃう。え?別に話さなくてもいいって?そんなこと言わないで

聞いて~。私の校章はね、見てそのまんま、戸久野の「久」と六小の「6」を

組み合わせたものなの。え?単純すぎるって?まっ、シンプルって言ってほしいわ。

ほんとは、その単純なデザインのなかに、ちゃんと深い意味があるのよ。でも、

それを言うと長くなるから、ここでは話さないけど。ま、形のことはこれぐらいにして

おいて、これからが本題、夢ちゃんの頃の校章話。今の子どもたちは、胸に私の

校章着けてないのよねえ。そのかわり、校章のついた帽子かぶって登下校して

いるけど。私の気持ちとしては、帽子より胸につけていてほしいんだけど。まっ、

しかたないか。これも時代の流れよねえ。それはそれとして、夢ちゃんがいた頃、

私の校章は、小さな四角いフェルト生地につけて、左胸のあたりにつけていました。

そして、それを一目見ただけで学年がわかるように、フェルトの色は学年によって

違っていました。今から、その色を言いま~す。

一年 赤 ・ ニ年 橙 ・ 三年 黄 ・ 四年 緑 ・ 五年 青 ・六年 エンジです。

いかがですか?これなら、フェルトの色を見ただけで何年かわかるでしょ。ウフッ!

 

夢ちゃんが絵を描いてくれたけど、何これ、へたくそ!

皆様、絵がへたですみません。これでも、本人は一所懸命描いていますから、

どうか許してあげて下さいませ。              


作者の独り言

2010-06-01 23:15:45 | 日記

『風の向こうに(第一部)』を書くことができたのは、四小のおかげです。夢にとって

四小との思い出は、かけがえのないものとなっています。私がこの物語を書くことに

なったきっかけというのは、四小が私にこの物語を書いてほしい、と語りかけてきた

ことにあります。こんなことを書いても信じてもらえないでしょうが、少なくとも、私には

四小がそう言っているように感じられました。四小の波動を感じたのです。だから、

私はこの物語を書いたのです。

「物には、すべて魂がやどる。」 これが、古来からの日本人の考え方の基本です。

私も、そう思っています。だからこそ、『風の向こうに』はできたのです。子どもの

頃から、学校にいる間感じていた四小の精霊さん(もちろん六小も)の気配、

四小(六小)さんとふれあうことができて、私は幸せです。

『風の向こうに(第二部)』、やはり六小に、書いてほしい、とせがませて書いた

ものです。私が、「第一部」を書いていると、六小が「私は、私のことも書いてよ。

ねえ。」と、しきりに言ってきたのです。ええ、それはもう、しつこいほどに。

四小さんと六小さん、二人の精霊さんは全然ちがいます。態度も話し方も。私は

二人のおかげで、精霊さんにもいろいろいるんだな、とわかりました。

ありがとう、四小さん・六小さん!

六小 「いいえ、どういたしまして。えへ、なんかちょっと照れちゃうな。」

四小 「いいえ、いいのよ、ありがとうなんて。お礼言うのは、むしろ、私たちの

    方ね。」

ほら、ね!同じことへの返事でも、二人はちがうでしょ。フフッ!