
先月に引き続きALPHA FLIGHT(”AF”)について。今回は駆け足で7号から11号までをレビュー。作画共に大好きなJohn Byrneによるもの。この雑誌が発売された1983年当時のページ数を正確に覚えていないけど、AFの本編は15ページ、オマケの誕生秘話7ページの計22ページぐらいをByrneが全部担当している。(本編、オマケのページへの割り振りは各号によって違う。)選んだ表紙は7号のもの。前回も書いた二重人格AURORAが間抜けなひったくりをボコボコにしちゃった図。
粗筋をざっくりと紹介。AF 7, 8号ではAURORAと双子の兄だか弟だかのNORTH STARが、彼の友達を殺した悪人Deadly Earnestと戦う。AF 9、10号ではSASQUATCHが宇宙人Super Scrullと戦う。そして、AF 11号では、リーダーGUARDIANがニューヨークで新しい門出を迎えようというのに、Gerome Jaxonなる人物がGUARDIANの妻を誘拐し彼に復讐をしようとするもの。
いつものように、気に入ったシーン等を書いていこう。まずは、他のMarvel作品に出てきた名前が、随所に使われているところが懐かしい。悪人Deadly Earnestは、ニューヨークのマフィアMaggiaと商売の繋がりがある。このマフィアはSPIDER-MANに度々登場した。それから、Roxxon Oilなる会社も複数使われている。一流石油会社なのだが、悪事にも手を染める所謂ブラック企業だ。(この会社もSPIDER-MANで使われた。)例えば、リーダーGUARDIANの再就職先がこの会社だったり、SNOW BIRDの父親がこの会社に働いていたりする。
AF 10号では、CAPTAIN AMERICA(”Cap”)がカメオ出演。なんとGUARDIANの引っ越し先のアパートに住んでいる。AFより遡ること2年前にByrneはCap の画を担当していた。この当時Byrneは働きものだったな―。忘れちゃいけないのは、9号にはWOLVERINEも登場している。WOLVERINEはAFの創設に深く関わっているので、これはお約束か。
AF 7、8号に話を戻すと、この話は結構面白かった。最後に悪人がもう一人出てくる意外感がね。それから、ここに出て来たVigilante(なんて末キるんだろう、単純にヒーローじゃないし、自警団って訳するのも1人だから変だしね。)のNemesis、こいつは何ものかさっぱりわからないな。出版社は違うが、Spawnに外見が非常に似ている。もしくはDeadpoolにも。Wikipediaによれば、この後もAF度々登場するみたいだ。
9、10号にAURORA(Jeanne-Marie)の誕生秘話、Stranger in my mirorって話が載っているのだが、このStrangerは、2つの意味がかけてあるところがミソ。一つは二重人格の積極的なAURORAというペルソナ、もう一つは彼女の双子の兄だか弟のNORTH STARの顔が彼女と瓜二つのところ。面白い。
AF 11号のSASQUATCHの誕生秘話も面白いかな。ガンマ線を研究していて、HULKみたいになるつもりが、雪男になっちゃったってやつ。頭が良いのか悪いのかわからんな。AF 10号でのSuper Skrullとの戦いでは、結構知的な戦いぶりを見られる訳で、頭は悪くはないと思うけどね。
一方気に食わないのは、前述の通り短いページ数の中で物語を進めなきゃいけないのに、1ページを使って前回までの粗筋を語っちゃうところ。だめでしょう。
それから、2号から11号まで、グループ全体で敵と向き合うことが皆無な点。戦隊もので言えば緑と青だけが登場して、赤がでないまま、終りみたいなものが延々と続く。確かにByrneがこの作品を気に入ってなかったのがわかる展開だな。表題の通り12号ではリーダー死んじゃうんだよね。