何でこの話を買ったか忘れてたけど、中の画を担当しているのが、Marc Silvestriだったからだった。彼が描いたUncanny X-MENは本当に良かった。Web of SPIDER-MAN (WSM) に登場した敏腕記者Joy Mercadoなんて、Silvestriが描いたDazzlerって言っても通じるからね。
1987年に出版されたWSM 22号。筋書を当時編集もやっていたJim ShooterとLen Kaminsky、画をSilvestriとArt Nicholsがそれぞれ担当。表紙はMark BeechumとBob Sharen。なんとクレジットがなかったので、Comicbookshop.comとGocollect.comを参考にした。
背景として、これが描かれた1986年の北アイルランドでは結構テロの脅威に晒されていたことを記しておく。もう一つ、多国籍企業Roxxonは、少なくても1970年代からMarvelで使われていた悪業をものともしない架空の企業。現在のMarvelでは使われていないのかな。
粗筋をさらっと紹介。北アイルランドのベルファストで取材中のJoyとPeterはBlack Hood (”BH”)なるテロリストとイギリス軍の銃撃戦に遭遇する。BHの裏ではRoxxonが糸を引いているとの情報をJoyは得ていた。取材中にBHに誘拐された二人。SPIDER-MANtとなったPeterはRoxxonの悪巧みを防ぐことがきるか。
今回も気に入った台詞やシーンを書いていく。記者として人々の悲しみを撮影することにモヤモヤとしているPeterに対するJoyの台詞。”You want sweetness and light, go work for Steven Spielberg.” 口の割にはすぐ捕まっちゃうJoyだが、拘束されても抵抗を試みて結構タフな記者であることが伺える。このキャラ良いな。
武装したBHに包囲されたJoyの台詞とBHのリーダーの返答。”We’re not the enemy. We’re Americans.” “Ya’ll be dead Americans, if ya don’t do what yer told.” Deadを使った表現は結構よくドラマや映画で使われるので、きっとこの表現はありきたりなんだろうな。
ベルファストのRoxxonの責任者Ian Forbes。Silvestriが悪―い奴な顔を描いていて良いな。彼らの目的は英国に強力な兵器を売却すること。Jack Kirbyだったらこの兵器もっとごっつく描くだろうなと思いながら読んでいた。Silvestriの描く兵器はどちらかと言うと繊細だ。
SPIDER-MANやJoyは結局この責任者を捕まえることができなかったのだが、話はそれで終わらない。
一つは協力者Liamの兄がBHに加担していてLiamの撃った銃弾に倒れてしまったこと。そして、ForbesもRoxxonのお荷物と判断され抹殺されてしまったこと。よくあるスパイものとかハードボイルドものと言ってしまえばそれまでだが、この苦い終わり方は結構好きだな。WSMは看板雑誌Amazingや二番手のSpectacular に比較して大したことがないのだが、この話はよくできている。