アメコミとラーメン

一流作家が共演AVENGERS邦訳版


(AVENGERS その05) どちらかと言えば通好みのアメコミ邦訳が多いヴィレッジブックスからでたThe AVENGERS Hulk Waveを読み終えたので早速レビュー。

収録順ではなく、読んだ順番に紹介しよう。まずはAVENGERS 1号。筋書きをStan Lee、画をJack Kirbyの黄金コンビがそれぞれ担当。映画AVENGERSにHULKが登場しているってことで、HULKがらみの話が多いのかな。この1号もご多分に漏れずそんなHULKが登場する話。AVENGERSの創立時のメンバーTHORの義理の弟LokiがHULKを悪者に仕立て、大嫌いなTHORを誘い込み復讐を企てる。

Kirbyの画はこの1963年当時は、まだまだ全盛期のちょっと前。もしかしたら、インクが悪いのかKirbyの魅力が100%引き出されていない。それでも、ダイナミックに描く彼の画の魅力は十分伝わる。つまらない機械も大袈裟に描くところも良いね。それから、彼の描くHULKはいろいろな画家が描くHULKの中でも好きな方。モデルはフランケンシュタインの怪物ってのが一目瞭然。デトロイトでの自動車工場での大暴れのシーンなんかは面白いな。何故自動車工場って疑問は出るけど。

一方気に入らないのは、HULKの言葉。HULKにしては、知的すぎる。小野耕世さんの末ェいかにすばらしかったかを改めて認識した。

続いてAVENGERS 4号。表紙がかっちょ良い。そこで敢えて邦訳版の表紙ではなく、この4号の表紙を添付画像としてみた。筋書きと画は同じなのだが、インクもどうやらKirbyが入れたらしい。(クレジットにインカ―が入っていないのでそう判断した。)それでなのか、前述の1号に比べて格段に画が良くなっている。人物の表情なんかも良いな。Kirby節炸裂だ。表紙も十分凄いのだが、おいらは、特に好きなコマがあって、CAPTAIN AMERICA(“CAP”)が大勢の人間と殴り合いをするシーン。多勢に無勢を感じさせぬ凄い構図だ。

4号ではそのCAPTAIN AMERICAがMarvel Comicsに初登場ってな話。編集部からのお知らせに、この話はやがて凄い価値が出ますみたいな、随分大袈裟なコメントが書かれているのだが、本当にそうなる。2011年のComicMovie.comによれば、1964年に12セントだったものが、今や$91,500だ。仮に当時買って、2011年に売れば、投資収益は年率33%となる。

ところで、ちょっと前のこのBlogにNamorっていつからミュータントになったんだっけと書いた記憶があるが、なんだ、1963年からそんな設定だったんだとわかる解説あり。
続いて、AVENGERS Annual 10号。これ1981年に出版された時に原書を買っている。今でもどこかに保存されている。この作品を買って初めてMichael Goldenって凄い画家を知ることができた。そして30年後の夏、彼に画を描いてもらうことが出来た。嬉しい。それも当時は悪役のRogueを仮に彼女が良いものだったらって設定で描いてもらった。こころから嬉しい。影の使い方が独特。この技法は今も健在。

話の方はMS. MARVELをめぐって悪のミュータントBrotherhood of Evil MutantsとAVENGERSの戦い。前述のRogueがAVENGERSの面々を徹底的に痛めつけていく作品。しかもその前の話AVENGERS 200号から続いているMS. MARVELの出産に関わる随分とややこしい話。1981年当時はよく理解できなかった。当時はX-MENが出てれば何でも良かったんだけどね。

そして最後にAVENGERS Vol 3の38号から40号。(Vol 3っていうのは、何回かAVENGERSってのは1号から出版し直していて、そのやり直しの3回目ってこと。何かと1号はよく売れるので、性懲りもなくこういった試みは何度となく繰り返される。)筋書きをKurt Busiek、画をAlan Davisが担当している。

Alanの画は大好き。子供のころからの憧れのスーパースターの一人だな。残念ながら、Kirbyを飛ばして添付画像に出来なかった。やはり彼にはAVENGERSよりEXCALIBURを描いてほしいな。

話は大した話ではないのだが、ちょっと好きなところ。まず、登場するAVENGERSのメンバーGOLIATH(旧約聖書に出てくるゴリアテから名前を取っていることでもわかるように巨人。)が何と偽物。くだらないアイディアからAVENGERSを窮地に追い込む重要な役割。面白い。

それから最後のオチが好き。最後の最後まで、悪の総元締めは錬金術師Diabloだと思ってたけど(そうKurtは読者を思わせていた)、実はDiabloの偽物だったってところ。「なんか別にそんなオチ不要でしょ、複雑にして何が面白いの」的だ。

最後に全体を通してのコメント。この邦訳版は、よくこのBlogで書いている「王道」的作品群の邦訳だ。良いね。やはり基本を紹介せずに応用を紹介するのは良くない。例えば、末メの好きな作品だとしても、通好みの作品であったり、一般のアメコミファンが認識しているキャラクターとは異なった設定だったり、通常ではない部分に焦点が当てられいる作品であると、これからアメコミを読もうって人には重すぎる、わかり辛い。もう少し追加すると、今のアメコミの末o版には戦略がないように思える。ファンを増やすにはまず、そのキャラクターがどういう人で、どうやって今の性格付けができてきたかを順繰りに見せていく方が自然だ。どうやってこれからのファンを増やして、商売を長く続けていくかっていうことが大切だ。おいらみたいな人だけが買って次の世代が育たないよ。
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