<あなたへの手紙…!>

加齢と比例し記憶は薄れ身体能力は欠ける日々
模索しながら、頑張って登る八十路坂その生活を備忘録を
ここに綴ります!

60数年の歳月で一番哀しんだ日・・・!③

2007年07月02日 | 日記
60数年の歳月で一番哀しんだ日・・・!③

そんな繰り返しの日々紅葉も真っ盛りの午後、私の机の電話が鳴った。
「土曜日2時に見舞いにおいで」 と、それのみで電話は切れた。

課長にだけにその事を話し、病院までの地図を書いてもらい、二時に病室の
ドアを叩いた。
二人の部屋の 窓側に新聞を読む格好で顔を隠し、ベットに寝ていた。
私は持参した、ブーケの花籠を枕辺に置き、「如何ですか?」と問ふた?

「ウン!君が来るので、今朝女房が来てひげをソリ、 洗髪をし 
 パジャマを替えて帰ったよ。」
 「そう!だからいつもの爽やかなオーデコロンが薫ります」

沈黙の後・・・・
照れくさいのか新聞はそのままで、顔を隠したまま・・・・・
「冷蔵庫に入っているものをご馳走してね・・・」と、
            女房がそう言って帰ったという。

私はそのオレンジジュースを、ご馳走になりながら
間を空けない様に、何かしゃべり続けていたようだ。そこの記憶がない!

始めから30分と決めてお見舞いしたので、時計を見て「それでは早く元気になって
出て来て下さい」と挨拶をした。
所長はかぼそい手を差し伸べて「今日はどうもありがとう」と潤んだ目で微笑んだ。

〔細き手の温もりに触れ暇乞い余韻の後のさらに寂しゑ〕

帰り道・・・
私の何十通ものお見舞いの葉書の事は何にも言わなかった。果たして
手元に届いているのかしら?と不安にもなった。


もう晩秋と言えるだろう!11月終わりの雨の日曜日、 電話がなった。
C課長から、「今朝所長が亡くなりました。今夜が自宅でお通やです」と、知らせが来た。

私が見舞いに行ってまだ一月とたっていない。自分のお迎えがそう遠くではないと
分かっていて、私を呼んだのだろうか?

 あぁ!涙が止まらない!    が 夫の手前我慢していると、
それを察してか!夫は心ゆくまで泣けという。

そして送っていくから・・・・・最後のお別れをしておいで、と進める。
雨降りしきる中 課長と待ち合わせの駅まで送ってもらった。
そして所長と最後のお別れをした。
アロエが庭先にあり葉をもいだ後があった。

数日後、本社から社長が来た。あたりに人がいなくなると・・・・・
「所長にお見舞の葉書を送ってくれて、彼には何よりのお見舞いだったようです。
ありがとう!私も感謝しています。」と礼を言われた。
葉書は届いていたのだ

所長は私の葉書を、枕の下から大事そうに出して、社長に見せたと言う・・・!
二度見舞いに行ったが、二度とも枕の下から出して、みんなの様子が
良く分かると見せたと言う。

そんな事をする人ではなかったのに、気弱になっていたせいもあろうが
嬉しかったせいでもあろう。よかった私は嬉しかった。   (完)

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