知床の水芭蕉 F10号
( 60数年の歳月で一番哀しんだ日・・・!①)
私が、勤めて数年後、丁度今日のような蒸し暑い梅雨の時期だった・・・
B所長は、食欲が段々なくなり、昼食も奥様の手作り弁当に変わったものの、
それでも食が進まない・・・・・
私は見かねて、お弁当のごはんを“おかゆ”にして進めた!
そんな日が続き・・・・・
私が数鉢のアロエを育て、健胃にアロエの葉のジェリー状をジューサー
にかけ「はちみつ」と一緒に混ぜて飲み、健康維持に活用している事を
聞いていた所長は・・・・・!
「アロエが欲しいという!」寄り縋る様な声で言う?今まで人様に依存したり
する人ではないと思っていただけに驚いた!本当に驚いた!
次の日、私は一番勢いのあるアロエの鉢を渡した・・・・・!
【弱き身を助けんと欲す亡き君のそのアロエ葉が今も茂るなり】
皆の前では見せない、B所長の形相を、私は、その頃もう気づいていた。
「背中が痛い」と顔を歪めることも日に日に多くなり、
早く病院に行く事を進めた。
ある日課長が「明日、所長はお休みです。忙しいから貴方は休まないで、
下さいね」と念を押された。
その日の退社時、裏の駐車場から車で出てくると、そこにB所長が
小雨に濡れて立っていた。
ただ普通に「気をつけてね、お疲れ様」と手を振る。こんな事は今までで始めてだ。
バックミラーを見ると、小雨の中見えなくなるまで立っていた。
その日以来・・・B所長が会社へ出てくる事は一度もなかった <つづく>