<あなたへの手紙…!>

加齢と比例し記憶は薄れ身体能力は欠ける日々
模索しながら、頑張って登る八十路坂その生活を備忘録を
ここに綴ります!

息子へ…⑧!

2006年12月28日 | 日記
息子へ…⑧!

「バイク便の営業もやっているんだ おもしろいよ」「へぇ」
 起き上がって引き出しから私に自分の名詞を見せた。


【いきざまを語るその眼が輝くは怪しきまでに新鮮なりき】


家には、まだ帰れないという、心を尊重し私は再び訪ねる約束をして
帰りました…!

その頃のお父さんは、銀行オンライン化のプロジェクトチームの
中心にいて、昼夜を問わず企業戦士そのもの、あなたの事は
私の報告を聞くのみでした。

それから・・・・・季節の変わり目に、二人で外食をする位で月日は
5・6年流れましたが、あなたが家に帰る事は、ありませんでした。

話があるという突然の連絡に、久しぶりあなたの部屋を訪れると、
本の列には 法律、経営学 営業の基本、等の本が
いっぱい増えていました。

あなたの話は「独立して仕事をする。」
保証人になって欲しい という話でしたが、
私は「計画案をお父さんに見せてお願いしなさい。」と言いました。
君は次の日曜日、10年ぶりに帰ってきました。


【帰り来る息子の蒲団広げたり空の高さよ空の青さよ】

「お父さん、ごめんなさい。心配かけました」 と
 始めにあなたは短い挨拶をしました。
お父さんは、「身体は大丈夫だったか?」と言っただけでした。


【赦すとか赦さないとか遠い過去身体労わる夫のまなざし】


その夜、風呂上りのあなたの足の爪を注意して……!
こんな歌を詠んだのですよ。何でもない歌なのですが、
私には大切な、忘れられない思い出の一首です。


【伸びた爪切りなさいとぞ子に言ふは何時よりの事まこと嬉しき】


其の年のお正月10数年ぶりに貴方は帰りお屠蘇を酌み交わし
揃って御節料理を食べました。其の後近くの神社へ初詣・・・!
私は、わざと留守番をして、お父さんとあなたを、見送りました。


【夫と息子は触れ合う程に肩並べ憎しみ消えて初詣ゆく】


             -完-

       息子への手紙…!へお付き合いいただきありがとうございました
                          日記@BlogRanking


諏訪峡 -絵画と短歌-

2006年12月25日 | 絵画
            
                   諏訪峡 (油絵作品 F6)

   【やわやわと秋日に抱かれし諏訪峡の
               もみじ葉風に遊ばれて落つ 】



   【もみぢ絵の筆を休めしひと時に配りしみかんが秋の陽に照る】


       【足元に谷川の水飛沫あげもみぢ葉一枚浮きては沈む】

スケッチ旅行へいきました。群馬県最北端の、道の駅水上町水紀行(国道291号 線)沿いの諏訪峡にまず立ち寄りました。登山のメッカ 谷川岳の麓の、利根川の源流の町にあり、周囲は緑あふれ大自然がいっぱいです。そばには こじんまり諏訪峡温泉 【温泉センター・諏訪の湯】があります。道の駅水上町水紀行館で、お昼に食べたお店お薦めメニュー リブラーメン ¥800がとっても美味した! 回りには、林檎を山盛り入れたバケツを 並べリンゴ売りのおばさんが美味しそうなもぎたて林檎を売っていました。
                
             日記@BlogRanking







深大寺 -絵画と短歌-

2006年12月12日 | 日記
          
                深大寺<元三大師堂>  -油絵作品 F6-

   わらぶき屋根の山門におじきだけしてすする蕎麦  昔をしのばす縁台に
明治の色の緋もうせん  そばに揺れとる木漏れ日を箸で口へと
たぐり込む  清水の匂いと笹の香が 静かに鼻えとぬけていく 
 雑木林にむさし野の名残りとどめる深大寺  このままであれと
   ただ願うさびしやわれも早や六十        サトウハチロ-

   このサトウハチローの詩に会ってから深大寺が大好きです。
 東京のはずれ調布市に深大寺はあります。
   武蔵野の森にかこまれ門前にはお蕎麦やさんが軒を連ねます。
       

 【シルバーカーを押しいく翁どっかりと緋もうせん光る蕎麦やに座しおり】


     【白き杖つける乙女の尋ねしは白鳳仏のおはす寺の道】

      この日は晴天に恵まれ私も早朝でかけたのですが、いいポジションへは先客あり
        端の方にイーゼルを立てました。

  日記@BlogRanking

息子へ…!⑦

2006年12月04日 | 日記
息子へ…!⑦

私にきずくと,君は驚きを隠せず・・・・
一瞬微笑みともつかないものを,口元に漂わせ、
その後ニコッと笑いました。
これが母と子の4年ぶりの対面でした!

【一番に云いたきことは閉じ込めて眼でもて笑へり眼でもて笑へり】

5階建ての4階へエレベーターで昇るとオートロック式の
1Kの部屋は作りつけの中二階のベットにその下が小箪笥
キッチンは玄関の脇にミニキッチン、その流しの下に作りつけの冷蔵庫
お風呂はなくトイレと同一のシャワー室でした。
窓には寸足らずのカーテンが下がり・・・

その下に「広辞苑」 「現代用語辞典」が・・・えぇ…?
我が家の2階の書棚にあったものです。

小さいテレビの上の壁に皮ジャンバーが一着掛かかり
その横のカレンダーには、仕事の予定らしき書き込みが・・・・・

【東京で広辞苑開き生きている喧騒の中の子を愛おしむ】

あなたは何もないからと急いで下の販売機へ・・・
そして暖かい缶コーヒーと屋台の焼き鳥を買ってきました。

美味しいカレー屋が近くにあるとか、最寄のバス停はとか・・・
私達はお互いに事を荒立てないような会話ばかりしていたようです。

その夜は、狭いマンションヘあなたの進めで泊まりました。
あなたは下の僅かな空間に毛布にくるまり私には自分のベットを
進めてくれました。
あかりを消してしばらくすると。。。。。

「お母さん!バイク便って知ってる?」
(今でこそ耳にしますが、当時は聞き慣れない?)
「急ぎのものをバイクで運ぶんだよ!
  出版関係の原稿や写真フィルム等の輸送だよ!」
   「バイク?危ない」というセリフを私は呑みこみ
 「じゃ!バイクにいっぱい乗ったのね」
 
 「あの皮ジャン着て・・・?」壁に下がっている皮ジャンの事を言った
 「うん」 「格好いい…ライダーマンじゃないの」
  ふたりは笑った!
  
 「バイク便の営業もやっているんだ おもしろいよ」「へぇ」
 起き上がって引き出しから私に自分の名詞を見せた。

【いきざまを語るその声輝くは妖しきまでに新鮮なりき】
          -次回へ続く-
            
             日記@BlogRanking 

息子へ…!⑥

2006年12月01日 | 日記
息子へ…!⑥

あの時に、こういえばよかったのでは…?
あの時に、こうせればよかったのでは…? 

【子育てをいかに償い生きるべき吾が罪おもく 蛻てゆけり】

ひと月、半年 いや一年、二年と月日が過ぎていくと
不安の毎日にかわり、新聞の三面記事が気になり始めていました。
             
そして・・・・・出ていって三年経つか経たない頃に・・・
           こちらは○○警察です。
○○○の車はお宅の車ですね?
      駐車違反しています。すぐさま移動願います。
      都内の警察からでした。
 車の所有者は息子のあなたであると、
 言われているのに事ともせず、私は再三警告を無視しました。
 

【くりかえす駐車違反の息子にも慣れ警告無視す吾も奈落なり】

そして私のこころの葛藤が消えた頃ふたたび違反の電話。
           「こちらは○○警察です・・・」
私は段取りを考えていたかのように、すらすらと
「レッカー移動を、お願いします。現住所を聞いておいて下さい」と、
切にお願いしました。

池袋の込み入った路地を通り抜け、警察で聞いた貴方が住むという
1Kマンションへ。私は夕方から立ち尽くして、君の帰りを待ちました。

10月に入ったばかりで、夜風をひとときの慰めに感じていた
22時過ぎ、角を曲がってくるのは、紛れもない あなた・・・

私にきずくと,君は驚きを隠せず・・・・
一瞬、微笑みともつかないものを、口元に漂わせ、その後
ニコッと笑いました。
これが母と子の4年ぶりの対面でした!

【いちばんに云いたきことは閉じ込めて眼でもて笑へり眼でもて笑へり】

              -次回へつづく-
             日記@BlogRanking