カタルーニャ生まれのチェロ奏者、パブロ・カザルスが奏でる「鳥の歌」。聴くたびに胸が締め付けられるのはなぜでしょう。
私が「鳥の歌」に出会ったのは、1992年のバルセロナオリンピックの時でした。式典で奏でられたその音色に、心が震えました。カザルスの、カタルーニャの人々の、平和への想いが込められたその音色は美しく、何故だかとても悲しくて、心の奥に焼付いて今でもふと蘇ってきます。
「私の生まれ故郷カタロニアの鳥は、ピース、ピース(平和)と鳴くのです」
カザルスが最後の演奏となる1971年ニューヨーク国連本部でこう語ったというのは有名な話ですね。右手を空に掲げて、「ピース、ピース、ピース!」と…。
スペイン内戦の勃発後フランスに亡命したカザルスは、終生反フランコ、反ファシズムの立場を貫いたといいます。
美しいチェロの音色に込められた平和への祈りが、こんなにも胸を打つのでしょうか。