西武の松坂大輔が昨日、
最後の登板と引退会見を行いました。
ワタシはその模様は手元の動画配信で観戦。
横浜高校時代、そして西武に所属していた時代、
松坂の大ファンでその投球に心躍らせていたファンとして、
昨日の最後の登板には感慨深いものがあるかと思っていましたが、
不思議と胸に迫るものは何もありませんでした。
思い出すのは遠い昔の思い出という感じで、
松坂大輔がまだ現役のユニフォームを着て投げているという事が、
何だか現実感を伴っていないというか、
そんな感じを持ちましたね。
長嶋さんや王さん、
イチロー、松井秀喜、
そして清原までも含めて、
スーパースターの引退の時には「やめないでほしい」と思ったものでしたが、
不思議と松坂には現実感がありませんでした。
なんだか「ずっと昔に辞めた人がリバイバルでマウンドに登っている感じ」を感じてしまって。。
ワタシ、中日の試合は見ないもので、
松坂が1年だけ復活した年の投球は、
ハイライト映像で何度か見たっきり。
そんなこともあってか、
ワタシの中に「現役バリバリで投げていた松坂大輔」は、
もう10年近く昔の話という感じでしたから、
現実感を喪失していたのかもしれませんね。
2年前に西武に再度入団すると決まった時も、
「引退興行のための入団」
だと思っていましたので期待などは何も持っていませんでしたし、
「せめて若手にいい影響を与えてくれたらいいなあ」
ぐらいにしか思っていませんでした。
彼には引き際の美学がなかったので、
興味を失っていたのかもしれませんね。
そういう意味では「惜しい引退」だと思っています。
「惜しまれる引退」ではないですよ。
引退を発表した時も書きましたが、
彼は完全に「早熟の天才」で、
20代で花を咲かせ、
そこが野球選手としてのピークでした。
あらゆる記録を塗り替えるのではないかと思われた西武時代、
本当に彼はすごいピッチャーでした。
そして存在そのものに華があり、
まさに「日本のエース」そのものでした。
それまでワタシが見てきた「日本のエース」は、
どこかに暗い影を背負い、
「孤高のエース」感が強い「勝負師」的な人が多かった気がします。
近鉄の鈴木、
阪急の山田、
巨人の江川、
阪神の江夏。
次の世代の、
巨人の斎藤、桑田、
近鉄・野茂やロッテの伊良部などもそんな感じでした。
なにも背負っているもの感がない”新人類のエース”(当時はそんな言われ方をしました)は、
西武の工藤、渡辺、日ハムの西崎ぐらいだったかなあ。
そんな時代にあって、
松坂大輔というのは、
本当にあっけらかんと明るくて、
にっこり笑ってズバッと斬るという、
なんだか「次元の違うエース」という感じがしていました。
しかし本気になった時はものすごいピッチングをする。。。。
そんな凄みを盛ったピッチャーでしたね。
その凄みを存分に見せたのが、
伝説となった98年の高校野球選手権大会でしたね。
今ではもう見ることができなくなった延長17回というPL学園との死闘は、
松坂のすごさが凝縮された試合でした。
横浜高校はこの試合先攻。
8回に同点になってから、
松坂は常に「サヨナラ負けの恐怖」と戦い続けながらの投球になるはず・・・・・でした。
しかし松坂は、
序盤に打ち込まれて5点も取られているとは思えないような、
ギアを上げた投球を見せて、
全く危なげなく投球を続けました。
9回、10回。
軽くPLを抑える投球の松坂を見て、
ワタシは心底「こいつはすげー奴だ」
と思ったものです。
11回に横浜が1点をもぎ取るとその裏、
今度はPLが松坂に襲い掛かり2死から同点に追いつきますが、
その後12、13,14,15回と4イニングをパーフェクトに抑えるピッチングを見せて、
見方の攻撃を待ちました。
この4イニングの松坂、
まさに神が乗り移ったかのような凄みのあるピッチング。
しかし16回に横浜が1点を勝ち越すと、
またまたその裏PLが反撃を見せて同点。
PLの追い詰められてからの気迫も、
その昔の「逆転のPL」が再現されたような迫力で、
この試合はホント、
「高校野球最高試合」の一つに数えられるのがわかる試合内容でした。
松坂の気迫、
そしてPLの気迫。
さらに両者の技術の高さ。
高校野球の頂点ともいえるような、
そんな試合でしたね。
延長17回に飛び出した常盤の勝ち越し2ラン。
その弾道をベンチ前でのキャッチボール中に見た松坂の、
思わず涙ぐんでしまった顔。
そして次の試合、
先発を回避していたものの、
終盤の大反撃を引き継ぎブルペンでバンテージを引きちぎってマウンドに勇躍向かったその姿。
そして決勝ではまさかのノーヒットノーランを達成し、
最後の打者を三振に取り笑顔で万歳をした姿。
そんな松坂は、
まさにこの夏「日本中のヒーロー」となり、
誰もが夢を託したものでした。
斎藤佑樹もすごかったが、
実力で圧倒したこの松坂大輔も、
本当にすごかった。
やっぱりワタシ、
松坂と聞いて思い出すのは「あの夏」の事ばかり。
それからプロ野球にも足跡を残し、
MLBでも活躍しましたが、
やっぱり松坂は「横浜高校の松坂」というのが、
いまだにしっくりきます。
プロでの松坂ではなく、
『甲子園のヒーロー列伝』の中の松坂として、
ワタシの心に深く刻んでおくことにします。
作新学院の江川卓、
早稲田実の荒木大輔、斎藤佑樹、
そして横浜高校の松坂大輔。
プロで活躍した選手たちではありますが、
ワタシの中では「永遠の高校球児」です。
もうあの夏から、
23年という月日が流れ、
「松坂世代」もほとんどが引退しました。
まあ、四十路ですから、
致し方がありません。
しかしこの世代を引っ張り続けた松坂、
彼の引退は、
この世代の人たちや、この世代の活躍に励まされてきた人たちには、
非常に感慨深いものがあるでしょうね。
今後どのような道で活躍していくのかわかりませんが、
とりあえずお疲れさまでした。
ゆっくりと疲れを取って、
またその姿を見せてほしいと思っています。
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