≪第98回全国高校野球選手権大会≫
- 予選展望5 近畿 -
【滋賀】(参加51校)
滋賀学園が攻守に万全。波乱起こすか、エース増居の彦根東。
◎ 滋賀学園
〇 彦根東
△ 近江 草津東
▲ 北大津 八幡商 安曇川 伊吹
センバツで引き分け再試合を戦った滋賀学園。センバツで好投した棚原に加え、本来のエースである神村が復活して夏を戦える態勢が整った。甲子園経験を積んだ控え陣の底上げもあり、投手陣は盤石。打線は振りの鋭さが目立ち、守備の精度の高さもあって弱点は見当たらない。一気に頂点まで駆け上がる可能性は高い。対抗馬には、春の県大会を制し、続く近畿大会で龍谷大平安を破りあの大阪桐蔭に対して9回までリードを奪う大健闘を見せた彦根東。2年生エース増居は、抜群のマウンド度胸で相手に的を絞らせない。滋賀学園と対戦することがあっても、ロースコアの接戦に持ち込めば、持ち味が出せる。この2強に対して、名門が逆転を狙い虎視眈々。近江は秋、春ともに優勝までは届いていないものの、相変わらず打線の鋭さは県内屈指。2枚そろう投手陣の踏ん張りで大きく浮上するか。北大津はチームの中興の祖ともいえる宮崎監督の転任で果たしてどういう戦いをするのか。個々の選手の能力は高く、優勝争いに加わってきても何らおかしくはない。その宮崎監督の転任先である安曇川は、県内ではずっと有力校の一つに上がる存在だった。戦いぶりに注目が集まる。八幡商は全員野球。投手陣に柱がほしいところ。春準優勝の草津東は、このところ上位に顔を出すようになってきた学校。強豪のサッカー部に続くことができるか。
【京都】(参加77校)
今年も龍谷大平安が本命も、絶対ではない。連覇狙う京都翔英は、監督の弔い戦。
◎ 龍谷大平安
〇 京都翔英
△ 福知山成美 東山 綾部 立命館宇治
▲ 京都外大西 京都国際 京都成章 京都共栄
ずっと京都の高校野球界に君臨し続ける龍谷大平安。今年も多くのファンに支えられるこの名門を中心に大会が進んでいくだろう。毎年チームの”強み”を変える変幻自在の好チームだが、今年は打撃を中心とした構成。松田・岡田の中軸は一発が期待でき、上位・下位ともに切れ目のない打線が自慢。あとは監督期待の2年生右腕・小寺が期待通りのピッチングを披露すれば万全の状況だ。対抗に上がる京都翔英は、昨夏の甲子園出場校ながら、浅井監督の急逝という悲劇に見舞われた。チームは立ち直るのに時間がかかったものの、「監督の弔い合戦」という特別なモチベーションで、今年の夏も連続出場を狙う。チームはこちらも昨年同様、打撃のチーム。打ち勝っての連続出場には、投手陣の整備を急ぎたい。両雄に肉薄するのは、伝統校の福知山成美。先行する2校を追っていくチームは投手陣が自慢。真っ向勝負を目論む。秋優勝の東山も名門復活を狙う。立命館宇治とともに、活発な打撃で勝負。そのほかでは、春準優勝の綾部が勝負の夏に挑む。上位とはやや戦力に差はあるものの、春の勢いをもって殴り込みをかけたい。京都外大西、京都成章らが投手中心に復活を狙えば、京都共栄は神前監督2年目の夏に大躍進を遂げることができるか。
【大阪】(参加176校)
選抜決勝の再現か、大阪桐蔭と履正社の両雄。勝った方が間違いなく、全国制覇へ向かう。
◎ 大阪桐蔭
〇 履正社
△ 大体大浪商 東海大仰星 上宮太子
▲ 関大北陽 大阪偕星学園 東大阪大柏原 上宮 興国
これはもう、2強の戦いとしか言いようがない。選抜決勝を争った大阪桐蔭と履正社だ。シード制のないの大阪大会だけに、一昨年のように2強が初戦で激突するという”悲劇”も確立としてはあったが、幸いにして抽選の結果、3回戦終了まで両雄の対戦は組まれなかった。関係者もほっと胸をなでおろしていることだろう。センバツを見てもわかるとおり、現在高校野球の「全国高校ランキング」をつけるのなら、間違いなく1位・2位を占める両校。できれば来年度のような「1府2代表」になってもらいたかったという気がするのだが、そうもいっていられない。どちらかは確実に、この地区大会で涙を流さなければならないのだ。さて、戦力を見ると、選抜からのいい流れを踏襲し、大阪桐蔭がやや優勢というのが現在の状況。センバツで熱投を披露したエース徳山がまだたなくなるほど投手陣の底上げが図られ、甲子園優勝までの13~14試合の『ローテーション』はバッチリという気がする。支える打線は例年の通り「大阪桐蔭の打線」の一言で全国のファンがすぐわかるほど強力。死角ははっきり言って、ない。履正社はその大阪桐蔭を倒さない限り、連続の夏はない。エース竹田は選抜の激闘がたたりやや春のシーズンは調子を落とした。しかし投手陣の底上げは確実に図られ、連戦の夏の大会には心強い布陣を整えつつある。打線は『ドラ1確実』の安田に若林など、爆発力は大阪桐蔭にも引けを取らない。両雄激突となれば、全国のファンの目をくぎ付けにするはず。果たしてどちらが、「大阪代表」として全国の舞台に乗り込むのか。2強を脅かす実力を備えたチームは数あるのだが、総合力や選手層で大きく水をあけられているのが現実。大体大浪商はエース宮本が素晴らしい球を投げ、2強を脅かす1番手に上がってきた。東海大仰星は春の近畿大会で選抜4強の報徳学園を破った金星で自信をつけた。上宮太子は秋の大阪大会を制した実力で、何とか2強に一泡吹かせたい。そのほかにも甲子園を経験する関大北陽、大阪偕星、東大阪大柏原、上宮に40年の時を経て名門復活を狙う興国などが代表を狙う。
【兵庫】(参加162校)
監督交代の影響はいかに?選抜4強の報徳学園。”新興名門校”になれるか、明石商。
◎ 報徳学園 明石商
〇 神戸国際大付 育英
△ 東洋大姫路 神港学園
▲ 社 西脇工
センバツでは「永田監督の花道を飾る」というモチベーションで4強まで勝ち上がった報徳学園。戦力的には期待されていなかったが、1戦ごとにどんどん力を上げ、優勝まであと一歩のところまでたどり着いた。その『夢の舞台』から現実にひき戻り、今年の夏いかに戦っていくかということに、注目が集まっている。四半世紀にわたりチームを率いた監督が去り、チームはどのような化学反応を起こすだろうか。エース西垣は選抜で付けた自信が大きく、崩れないエースとなったが、もともと故障上がりということで夏の連戦をどう戦うのか。集中力の高い打線の援護が不可欠となってくる。対抗馬には、昨選抜で甲子園の初舞台を踏んで8強まで駆け上がった明石商を推す。エース加田は昨年の吉高を見習い、マウンドさばきに他校エースにはない落ち着きを感じる。ここ2年連続で夏は決勝の舞台で惜敗。3度目の正直を狙って殴り込みをかける夏だ。センバツで優勝候補にも挙がりながら初戦敗退で評価を落としたのが神戸国際大付属。その後も足取りはややふらふらしていたが、『勝負をかけたチーム』の最後が甲子園の舞台というのは、誰しもが思うところ。巻き返しを狙っている。エース黒田を中心とした投手陣、スラッガー猪田を中心にした打線ともに県内では突出した実力を誇るだけに、いかにチームが勢いをもって一枚岩になり切れるか。秋春ともに4強入りの育英は久しぶりの復活を狙う。スラッガー宮田の強打に注目。東洋大姫路も復活を狙う。シード漏れしているため初戦から頂点に駆け上がるのはかなり難しいが、勢いを手に入れたい。春準優勝の社には、エース佐名川がいる。上位にとってはやりにくいチームの筆頭だ。
【奈良】(参加40校)
今年も智弁学園の力が抜ける。追う一番手は宿命のライバル・天理ではなく奈良大付か。
◎ 智弁学園
〇 奈良大付
△ 天理 高田商
▲ 橿原学院 御所実 法隆寺国際 高取国際 郡山
ここ数十年ずっと変わらない夏の構図が、天理vs智弁学園の2強の宿命の対決で代表校が決まるというもの。しかしここ数年、その図式にも若干の変化がみられ、必ずしも2強対決が絶対ということではなくなってきた。しかし昨年、今年と全国の舞台で大躍進を遂げた智弁学園が、今年の夏も盤石の1強体制で夏に突入しそうだ。エース松本に加えて、控えにも伊原、岩井らの投手陣に信頼できる枚数がそろってきて、暑い夏の連戦も心配なくなった。センバツでは悔しい負け方をしたので、この借りは返すとナインの士気も高い。対抗馬には、天理ではなく奈良大付属を上げる。近年ぐっと力を伸ばしてきたチームで、この春は準決勝で天理を破り、決勝では智弁に大逆転を食らったものの8回まで6点をリードするなど、戦いぶりに貫禄が加わってきた。もう2強に対して名前負けすることはなく、精神的に五分で戦えるのは大きい。左腕のエース木下は切れの良い球で勝負。強豪にもひるまないマインドの持ち主だ。夏の覇権を2年連続で逃すことはあり得ないと力が入っているのが天理。打線は相変わらず強力だが、今年はこれまで信頼できるエースの確立ができなかった。夏に向けてその課題をどう克服するかが、甲子園への最大のカギだ。一方秋準優勝、選抜の舞台を踏んだ高田商は、打線が自信を持ったのが好材料。古川・赤井・杉田と3枚そろう投手陣はチームの自慢。打倒智弁へ、機は熟したと監督も自信満々だ。この4校の優勝争いが濃厚だが、ダークホースが上ってくるとすれば橿原学院、御所実、法隆寺国際らの名前があがる。いずれも好投手を擁し、一発逆転を狙うが夏の大会ということを考えると、層の薄さがどうしてもネックだ。
【和歌山】(参加39校)
復活を目指す智弁和歌山。和歌山商、市和歌山にエース中川の箕島も有力候補。
◎ 智弁和歌山
〇 和歌山商 市和歌山
△ 箕島 田辺
▲ 紀北工 日高 和歌山東 初芝橋本
2012年まで県大会8連覇と他校を全く寄せ付けなかった智辯和歌山だが、それ以降はややその力を落としてきた。以降の4年間で夏制覇はわずか1回。毎年「優勝候補筆頭」に挙げられてはいるものの、最後のところで勝ちきれない年が多くなってきて、他校はがぜん元気を出して「智弁何するものぞ」の気概で向かってくる。名前とユニフォームで勝負できなくなってきてから、夏の県大会は混迷の度を深めてきているが、今年は智辯和歌山がいい感じに仕上がっているようで候補の筆頭に上がっている。3枚も4枚もそろう投手陣は他校より一枚上。打線はかつて甲子園で一世を風靡した鋭い打球が復活。軟投派に苦戦することが多かった近年であるが、今年は「ひきつけて打つ」が徹底されており、復活の気配が濃厚。春の県大会で、準々決勝からの3試合をまさに完璧な勝ち方で制した智弁和歌山が復活する夏となりそうだ。春準優勝の和歌山商は、力は持つものの智辯和歌山への苦手意識を払しょくできるかどうか。一方近年智辯和歌山と互角以上の戦いを見せる市和歌山の方が、夏の大会ということを考えれば、智辯和歌山にとっては嫌な相手だろう。今年はまったく県大会で実績を残せていないが、「何かをやる」気配は漂っており、目が離せない。一方名門の箕島は、ドラフト候補でもあるエース中川次第。4年ぶりの夏には、黒潮打線の復活とともに、エースの八面六臂の活躍が”絶対”だ。春4強に入った田辺も久々の甲子園が射程圏。エースを支える堅い守りで、下克上を目論む。同じく春4強の紀北工は、2年生の楠が力をつけてきて怖い存在に。日高や秋優勝の和歌山東も圏内。39チーム参加の近畿で最も小規模な県予選だが、その分精鋭が揃い初戦から熱い戦いが展開されそうだ。
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