≪第98回全国高校野球選手権大会≫
- 予選展望4 中国地区 -
【岡山】(参加59校)
創志学園を中心に大会は回る。リベンジ誓う玉野光南と、復活にかける関西ら追う学校も多数。
◎ 創志学園
〇 玉野光南 関西
△ 倉敷商 興譲館 倉敷工
▲ おかやま山陽 金光学園 岡山理大付 学芸館
現在まで3季連続甲子園出場の創志学園の戦力が充実している。エースに君臨する難波は、昨年のエース高田に匹敵するほどの成長を遂げており、選抜時よりチーム全体の力は確実に上がっている。今年の夏も制することができれば、しばらくは県のトップランナーとして走り続けることができそうな気配だ。昨年の夏、一度は甲子園出場を”決め”ながら判定が覆り逆転負け。物議を醸した試合で悔し涙を流した玉野光南が、今年こそはのリベンジに燃えている。実力的にはむしろ昨年のチームを上回っており、ひたひたと先を走る創志学園の影を追うという現状だ。エース斎藤は創志の難波の強力なライバルで、球速ではむしろ難波をしのいでいる怪腕だ。打線も伝統の繋ぐ野球で得点力が高い。何としても今年は、ライバルを破り聖地に足を踏み入れる強い決意が感じられる。追うのは伝統校たち。秋に優勝した関西は、戦力は充実しているものの、どうも全国での活躍をするまでには至っていない。今年のチームは春に評価を落としたが、むしろ夏に向けていいリセットができたと考えられる。選手層の厚さは他校にはないもの。一気に優勝まで駆け上がれるか。倉敷商はエース引地がチームの中心。春はライバル・関西に完勝。理大付、玉野光南の強豪とも互角以上にわたり合い、夏に期待を持たせた。春4強の興譲館も優勝争いに加わるか。安定した戦いぶりを見せる好チームだが、優勝には何か一つ起爆剤がほしいところ。倉敷工、理大付属らの伝統校も優勝争いに加わろうと戦力アップに余念がない。その他金光学園やおかやま山陽などにもチャンスは転がる、例年通りの激戦大会になりそうだ。
【広島】(参加90校)
3連覇狙う広島新庄は県内無敗。全国レベルの好守を誇る広陵が追い、市呉も選抜で自信をつけた。
◎ 広島新庄 広陵
〇 市呉 如水館
△ 尾道商 崇徳 広島商 西条農
▲ 神辺旭 瀬戸内 広島国際学院
ここのところ全国の舞台で確実にその足跡を残している広島新庄。今年も昨年に続いて充実した戦力を誇っており、優勝候補の1番手に上がる。エース有村は昨年の堀(日ハム)、そして田口(巨人)らの『左腕エースの系譜』を継ぐ好投手に育ってきた。このチームのエース、春から夏にかけて成長し、コンディションを整えるのに長けており、今年も有村に大きな期待を寄せることができる。伝統的にエースを支える守備のチームだが、勝つときは打線が活発にそのエースを支えている。今年も打線は他校に比べてやや劣るという評価だが、本番で爆発することができるか。追ってくる一番手は広陵。3年ほど前までは、毎年好投手を輩出し、甲子園での覇権争いにも加わっていたが、このところややその力を落とし気味であった。しかし今年のチームはその『黄金時代』をほうふつとさせる力を持ち、関係者の期待は高まっている。エース平本は広陵久々の左腕本格派の好投手。失点をきっちりと抑えられれば、自慢の強打線がしっかりとサポートする展開に持ち込めるはずだ。打線は上位・下位とも切れ目なく、その鋭い振りは相手にとっては脅威だろう。センバツで1勝を挙げ、敗れた試合でも履正社と互角の勝負に持ち込んで評価をグーンと上げたのが市呉。エース池田が左腕から制球よく相手を抑える間に、好機をものにして逃げ切る野球は健在だ。上位常連の如水館は、今年も戦力充実。エース福島は145キロを計測する剛球が武器。打線も相変わらず強力で、スキのない野球も健在。そのほかでも力を持ったチームはたくさんあり、今年の大会もレベルの高いものになりそうだ。近年中国地区の中で、必ずしも広島県勢が毎年優勝をするわけではないものの、全国の舞台ではやはりこの広島代表は特別な力を持つ。低迷がささやかれる中国地区の中では、やはり突出した力と期待が、広島代表には集まっている。厳しい県大会を超えた先には、全国の舞台が待ち受ける。果たしてどのチームが1枚限りの切符を手にするのか。
【山口】(参加60校)
県内無敗の宇部鴻城の力が抜ける。岩国商らが追うが、力の差は大きく順当に決まる大会になるのか?!
◎ 宇部鴻城
〇 岩国商 南陽工 早鞆
△ 徳山商工 高川学園 華陵
▲ 柳井学園 熊毛南 宇部商
今年県内負けなしの宇部鴻城が優勝候補筆頭。秋の中国大会を制しての選抜は優勝した大阪桐蔭に全く歯が立たず完敗。そこからどのようにチームを成長させてきたかが注目される。投打ともにスケールの大きさは感じさせないチームだけに、全国クラスの大型チームに対してはどうしても分が悪くなりがちだが、県内にはこの宇部鴻城を力で打ち破る大型チームは見当たらない。そのため、この夏もしっかりとした野球で宇部鴻城が優勝をつかみ取るとみるのが妥当な線か。追う一番手は春決勝を戦った伝統の岩国商。接戦で勝機を見出すタイプのチームに見えるが、直接対決でどういう試合を見せるのか。南陽工は夏仕上げてくる伝統の力が発揮されれば面白い。早鞆は昨年よりは若干チーム力を落としたものの、スケールの大きさでは県内屈指。徳山商工は春宇部鴻城に対していい戦いを行い、自信を得た。昨夏代表の高川学園は、新チームから2度の監督交代があり、そのあたりのゴタゴタが響かなければ力はある。いつもまとまったチームを作ってくる華陵も期待は大きく、宇部商らとともに大会をかき回す存在になれるか。
【鳥取】(参加25校)
全国最小の25校参加の大会。圧倒的な実力の鳥取城北の独壇場か。
◎ 鳥取城北
〇 米子東 境 倉吉東
△ 鳥取西 八頭 鳥取商
▲ 米子北 米子西
毎年のことながら、わずか25校の中から代表を決める全国最小の大会。しかしながら、毎年必ず「予想通りに事は運ばない」という波乱が満載の大会でもある。だが今年に限って言えば、秋も春も圧倒的な力の差を見せつけている鳥取城北の優位は、揺るがないだろう。鳥取城北は春は中国大会を制した。創志学園、広島新庄という県外の強豪を堂々と寄り切った戦いぶりは、盤石のものを感じさせた。もともと関西出身者を中心として素質の高い選手がそろっているため、そのポテンシャルの高さは県内のチームとは思えないほど高い。今年は3枚そろう投手陣が自慢だが、相変わらず質の高い打撃力にも目を奪われる。目標は甲子園での8強以上。その力は十分に持っているチームという気がする。追っていくのは伝統を誇る公立勢。まず対抗馬に上がるのが米子東。四半世紀以上甲子園はごぶさたの”古豪”だが、あの鮮やかな緑のユニフォームが甲子園で暴れまわる姿を期待しているオールドファンは多い。戦力が小粒なのは仕方がないが、『公立伝統校の意地』が炸裂するか。昨年久々に甲子園の土を踏んだ古豪・境も連続出場に虎視眈々。好素質の選手も育ってきており、面白い戦いになりそうだ。倉吉東も一丸となった戦いぶりには定評がある。鳥取西、八頭を含めた公立進学校の活躍が県内の高校野球を引っ張ってきたという自負があるだけに、束になって「打倒鳥取城北」を狙っている。
【島根】(参加39校)
”私学3強”に風穴は開くのか?昨年の『出雲の奇跡』に続くチームが出るか?
◎ 石見智翠館
〇 立正大淞南 開星
△ 大社 益田東
▲ 出雲 出雲西 浜田
過去10年以上にわたり、私学3強の石見智翠館・開星・立正大淞南に甲子園をほぼ独占されていた島根の高校野球界。しかし昨夏、進学校の出雲がその厚い壁を破って初の甲子園出場を勝ち取り、少し流れが変わったかに見える今年の県大会。果たして、どのような結末になるのか。例年のようにやはり”3強”が戦力的に上回るものの、その差はわずかで逆転も十分あり得るように見える。春の県大会を制し本命の座に座る石見智翠館は、中国大会では広島新庄に歯が立たず敗退。県内の各チームは、逆転へ力を得た格好だ。その石見智翠館、スケールの大きな野球を目指すが、やや大味な野球は改善されておらず、試合展開によっては思わぬ苦戦も。立正大淞南はエース井奥の出来がカギ。開星は全く今年県内の覇権争いに顔を出していないが、かえってそれが各校に警戒感を呼び起こしている。実際県外強豪との練習試合を重ねて、例年のように夏に向けての準備は万端、逆転を狙っている。追うチームでは、益田東が春の中国大会で鳥取城北と接戦を行い自信をつけた。サイドスローのエース前田は夏向きの好投手だ。逆に大社は春の中国大会で創志学園に完膚なきまでにやられ、立て直しが急務。連覇を狙う出雲は、ずらりと顔をそろえる甲子園組を中心に巻き返しを狙う。浜田、出雲西なども加え、覇権争いは波乱含みということが言えよう。