最終回の第8回は、強豪そろう九州です。
大分から2年連続で2校の出場なんて、
驚いています。
強豪揃う九州ではありますが、8県で4校しか選抜されませんので、
本当に狭き門です。
≪選抜出場校の思い出8≫
九州代表 明 豊(大分) 4度目(2年連続)
夏6度出場 甲子園通算13勝9敗
昨年の選抜は、初戦で横浜のドラフト候補・及川を打ち込んで圧勝すると、2回戦では明治神宮大会優勝の札幌大谷を、準々決勝では近畿大会優勝の龍谷大平安を、いずれも投手戦で下して4強に進出。その存在感を見せつけてくれました。昨秋の九州大会では、昨選抜で好投を見せたエース若杉を中心に、大逆転の連続で接戦を制して優勝。選抜でもその力を出すことが出来れば、上位進出も夢ではないと言われている充実した戦力を有しています。過去の甲子園でも大きく勝ち越しており、毎回「余韻」を残して甲子園を去る好チームです。ここ2年連続で大分から2校揃っての選抜出場となり、県内のレベルアップは着実に図られているという印象ですが、その中心にはこの明豊がどっかりと座っています。当然優勝を狙って乗り込む選抜で、どのような戦いぶりを見せてくれるでしょうか。
昨年の記事 ⇒
ダイエー・城島の母校として知る人ぞ知る存在だった別府大付属が明豊と校名を変えて甲子園に初登場したのが01年夏。今は亡き大分の名将・大悟法監督が率いて最初の試合から20-0というまさにセンセーショナルなデビューを飾って、この年いきなり3勝を挙げての8強進出。これで一気に明豊という名前は、全国の高校野球ファンにとどろきわたりました。その後はインパクトを残せませんでしたが、再度明豊の名前を全国に知らしめたのはなんと言っても09年のチーム。エースは言わずと知れた今宮(ソフトバンク)。能力がずぬけていた今宮は、もちろんエースで主砲というチームの大黒柱。通算本塁打で度肝を抜き、そしてマウンドでもMax154キロという速球で度肝を抜くというスーパー球児ぶり。春も夏もあの菊池雄星の花巻東と当たって激戦の末に敗れるという【激闘数え歌】を残して甲子園を去りました。今考えても、今宮はすごかったですね。夏は初戦で、翌年に春夏連覇を達成するエース島袋の興南と当たってサヨナラ勝ちを収めると、2回戦では大会屈指のエース秋山(阪神)を擁する西条を完封。3回戦でもエース庄司(広島)の常葉橘と延長12回の激戦を繰り広げ、準々決勝で菊池の花巻東と対戦。まあ何とも、初戦から4試合連続でプロに進むエースと対戦するなんて、くじ運がこれ以上ないぐらい厳しいものでした。楽なくじを引けば優勝をも視野に入るぐらいの実力を持っていたので、8強敗退は残念な結果でしたね。それでも常葉橘戦、花巻東戦など本当に手に汗握る試合でしたので、『明豊強し』を強く印象付けてくれたこの年の甲子園でした。その後は新たな監督になってやや勢いをそがれていましたが、一昨年夏は久しぶりに甲子園で輝きましたね。初戦の坂井戦で追い詰められた8回に逆転2ランが飛び出して勝利をつかむと、3回戦の神村学園戦は球史に残るような激闘が繰り広げられました。3点をリードして9回を迎えるものの、2死から3点を失って同点にされると、延長12回表には満塁からスクイズで3点を一気に勝ち越されるという痛恨のプレーが出て敗色濃厚。しかしそこから驚異の粘りを見せて4点を取り返しての大逆転勝ち。勢いに乗った準々決勝も、完敗の展開から9回一気に6点を返して粘り腰を見せるなど、この大会の【激闘王】にふさわしい散り際で圧倒的なインパクトを聖地に残してくれました。今回はそれ以来の甲子園。今年のチームも過去3度インパクトを残したチームに負けない力を持っているので、楽しみです。
九州代表 大分商(大分) 6度目(13年ぶり)
夏15度出場 甲子園通算 16勝19敗敗
大分の名門、大分商が13年ぶりに選抜の舞台に帰ってきました。大分商といえば、最近ではワタシのイチオシのプロ野球選手である源田の母校でもありますが、大分の高校野球界では津久見と並んで名門中の名門です。ワタシがまず大分商と言って思い浮かぶのは、強烈な印象を残した74年の選抜大会。大分商の初戦の相手は、前年夏の優勝校である広島商。エース佃に主砲金光、おまけに達川(あの広商のチームにあって、達川は全く目立った存在ではありませんでした。のちにプロ野球で活躍しだしてから、達川があの広商であたかもスター選手だったように扱われていますが、その当時はチームの中でそんな存在ではなかったことは明らかで、ワタシは「あのチームに実は達川もいた」という捉え方です。)もいた超絶なチームでしたが、彼らが卒業したポスト年であるこのチームも、エースを中心に広商はなかなかのチームでした。完全に「分が悪い」と思われていた大分商、しかしながら広商の走って走って走りまくる(多分この試合で盗塁のセンバツ記録を塗り替えたと思います。記録をひも解くと、何と1試合14盗塁!!)野球に翻弄されながら、最後の一撃だけは決して許さないという粘りの野球で、1点差で広商の夏春連覇の野望を打ち砕いたのです。粘って粘って粘りぬく、そんな野球というのが大分商のイメージとして、ワタシの中に強く残っていきました。次の登場は79年。巨人の内野手として長く活躍する岡崎がエースで4番のチームでした。そのチームも粘り強さを発揮して、初戦で対戦した関東大会優勝校の作新学院に対し、粘って粘って、同点の8回に大爆発という「粘りの大商」の面目躍如のような試合で勝ち進みました。その夏も終盤の逆転の連続で8強入りをして、甲子園を大いに沸かせてくれました。翌80年の戦いも、印象的でした。前年の79年の夏に岡崎に代わり2年生ながらマウンドに上がり好投していた松本が2年連続で甲子園のマウンドへ。初戦を左腕からの切れのいい投球で飾った後の2回戦、対戦相手は浜松商でした。この浜松商も「粘りの浜商」と言われる粘り強い全員野球のチーム。この対戦、予想通りの熱戦となったのですが、中盤以降、松本投手がヒジ(?)の痛みを発症して、スローボールしか投げられなくなってしまいました。それでもプレースメントで抑えていたのですが、終盤力尽きて敗れてしまうという悲劇に見舞われてしまいました。しかし・・・・ここからが甲子園。その時の浜松商の2年生エース浜崎、今度はその浜崎投手が準々決勝でヒジ痛(?)を発症。浜松商は、2回戦で自分たちが立った立場と真逆の立場で試合をせざるを得ず、あの浜商が何と相手に20点も取られて敗退してしまうという悲劇に見舞われてしまったのです。なんだかとても印象的に、この一連の出来事については覚えています。そんな大分商も、80年代~40年間では、わずかに97年の春夏連続出場が目立つぐらいで、40年間で3度しか甲子園に登場することはできず、すっかり”古豪”と呼ばれるようになってしまいました。甲子園では必ず粘り強い戦いぶりを見せる大分商、令和の時代に新たな神話を作ってほしいと思っています。
九州代表 創成館(長崎) 4度目(2年ぶり)
夏2度出場 甲子園通算3勝5敗
創成館といえば、やっぱり思い浮かぶのは2年前のチームですね。何しろ春夏連覇を達成したあの根尾、藤原、柿木らを擁した最強・大阪桐蔭にこの年公式戦で唯一黒星をつけたのがこの創成館でしたからね。あの明治神宮大会での戦いぶりは、印象深いものがありました。チームには5枚ぐらい投げられるピッチャーがいて、くるくると場面によって投手が変わる、プロ野球のような投手リレーに「面白いチームだなあ」と思ってみていたものでした。ハイライトはやはり、センバツ準々決勝の智辯和歌山戦でしょうかね。最終回に追いつかれての延長サヨナラ負け。あの選抜で神がかっていた智辯和歌山の打線に最後はやられてしまったものの、創成館はやはり強いという事が強く印象付けられた試合、大会でした。しかし全国制覇をも期待された夏は、甲子園にこそ出場したものの、初戦で怪腕・西の創志学園にいいように試合を支配されて0-7と完敗を喫して不完全燃焼のまま甲子園を去ることとなってしまいました。残念というよりも、信じられないという試合っぷりで、やはり秋から夏にかけて、ずっとアップトレンドで行くことは難しいのだなという事が実感させられた試合でした。それ以来の今年の選抜、はたして創成館はいかに戦うのでしょうか。前回よりは戦力的に1枚落ちるといわれる今回ですが、最近の長崎勢は粘り強さを感じられる戦いが多く、期待も大きいのではないでしょうか。
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近年ぐっと力を伸ばしてきた創成館。現在の稙田監督就任後、ずっと強豪として県内上位の常連となりました。創成館と聞いてまず思い浮かぶのは、九州大会で何度も選抜に手をかけながら、その都度逃してきたという悔しい歴史とリンクして・・・ですね。その創成館が歓喜の初めての甲子園の土を踏んだのは2013年の選抜。そして翌14年も連続出場して、確固たる足跡を残してきました。夏も15年に初出場し、ついには初勝利を挙げることができました。つまりは、3年間連続で各年代のチームが甲子園までたどり着いたということです。昨年は春夏とも県大会で敗れ、4年ぶりに悔しい年を過ごしましたが、その悔しさを持った現在のチームが秋季大会で県大会、九州大会を相次いで制し、勢いに乗って明治神宮大会ではあの大阪桐蔭をも倒すという大金星。ひょっとしたら、この大阪桐蔭のチームに土をつけた「唯一の存在」になる可能性もあります。(大阪桐蔭がこの後無敗ならば)
今までの3回出場のチーム、残念ながらほとんどその戦いぶりがワタシの脳裏に浮かんでくることはありません。良くも悪くも、アクのないチームのような気がします。言葉を換えれば、印象の薄いチームです。しかし今年のチーム、昨秋の段階では「これがあの創成館なのか」と驚くようなしっかりとした野球をやっていました。投手陣もそろっているし、打線の破壊力は抜群。これまでの創成館の歴史をガラッと変える、強力なチームだと思います。関係者の期待は、いかばかりでしょうか。楽しみな春となります。
九州代表 鹿児島城西(鹿児島) 初出場
夏出場なし
鹿児島県といえば、野球では鹿児島実と樟南が長く2強としてライバル対決を繰り広げ、ほぼ甲子園を独占してきた歴史があり、21世紀になってそこに神村学園が参入してきて、3強という図式が出来上がりました。しかしながら、鹿児島実・久保監督、樟南・枦山監督という2人の「稀代の名監督」がいずれも引退し、県内の様相も徐々に変わりつつあるというのが昨今の状況だと思います。そんな中、サッカーで名をはせた鹿児島城西が野球でも甲子園初出場を決めました。そしてその指揮を執るのが、ダイエー・西武で好打の左バッターとして活躍した佐々木監督。「おお、あの佐々木監督が指揮を執っているのか?!」という事で、ワタシの興味も一気に膨れ上がりました。鹿児島県の、春夏通じての初顔校、結構甲子園では印象深い戦いぶりをするんですよね。近年では選抜の尚志館とか鹿屋中央、そして4強まで上り詰めた鹿児島工なども印象深いですね。神村学園なんかは、一番最初に出た05年選抜でいきなり準優勝ですもんね。昔選抜では、『四国の新顔には要注意』なんてことが言われていて、準優勝まで行った池田、中村、優勝まで駆け上がった伊野商や大活躍の川之江なんかが印象に残っています。また『関東のワイルドカードにも要注意』ってなことも言われていて、秋季大会初戦負けとか最後の代表になった関東のチームが活躍することもよくありました。(まあ、これは関東大会では戦績を残せなかったけど、そんな中で一番力がある学校・・・・・というチームが選ばれていましたから、当たり前といえば当たり前なんですが。) そして、「鹿児島の新顔には気をつけろ!」というのも、今回鹿児島城西が勝ち進めば、言われるかもしれませんね。指揮を執る佐々木監督といえば、やっぱり思い浮かぶのは「世紀のトレード」と言われた、西武とダイエーのトレードですね。西武からは秋山を中心に3人、ダイエーからは佐々木を中心とした3人、3-3のトレードだったと記憶しています。西武ファンからしてみたら、「まったく割に合わないトレード」という印象しかないのですが、このトレードでやってきた3人、3割打者の佐々木は5年間西武に在籍したものの、印象には本当に残っていないですね。エースとして期待された村田は全くといって良いほど期待を裏切ってファンの不評を買っていましたが、「残り物」のような扱いで西武に入団した左腕の橋本がその後大化け。3人の中で圧倒的に西武で足跡を残したというのは、いい思い出です。「選手って、環境によってどこでどうなるか、本当に分からないよなあ・・・・・」という事を実感した出来事でした。余談ですが、中日の1,2番で活躍した田尾、平野が後にそれぞれトレードで西武に移ってきたのですが、田尾は全くといって良いほど振るわず彼のプロ野球生活での黒歴史になっているのと反対に、平野はその後西武のリーグ5連覇などで重要な役割を果たし、まさに水を得た魚のように活躍しました。やっぱり選手って、環境だなあ。。。。。おっと、すっかり違う話にすっ飛んでしまいました。 という事で、佐々木監督に率いられた「鹿児島の新顔」鹿児島城西が、サッカーのように全国の舞台で活躍するのか否か、注目しています。
さて、やっと終わった~!
選抜出場校に対する、ワタシの思い出をつらつらと書き綴ってきました。
はっきり言って、初出場校については、よほど関東近郊の学校でいつも予選の試合を見ているなんていう学校以外は、
特に思い出があろうはずもありませんので、薄くなってしまっていることはご容赦ください。
選抜は3月下旬に始まりますが、
心配なのは新型コロナウィルス渦ですね。
東京マラソンも実質「中止」に近いことになってしまいましたし、
下手をするとオリンピック・パラリンピックにも影響を及ぼしかねません。
関西圏にその影響が及んだら、
選抜は一体どうなるのでしょうか。
なんだかまんじりともしない感じではありますが、
心静かにその時を待とうと思っています。
選抜の戦力分析など、3月に入ったらやろうと思っていますので、どうぞよろしく。