きいろをめでる

黄瀬、静雄、正臣の黄色い子達を愛でる同人二次創作短編小説中心。本館はAmebaです。

日本語とメールと君 side:seirin (火黄)

2010-06-07 08:20:55 | 小説―黒子のバスケ
ポケットの中で、携帯が規則正しく震える。
取り出してみると、一人だけ個別に設定されたランプの色が、メールの送り主を示していた。

顔が、一瞬綻んでしまったらしい。

「あら、メール?なになに彼女~?」
「えぇ!?火神、彼女いんの!?」

隣に、カントクと小金井先輩がいた。


・・・全く気付かなかった。

ぼーっとしていたせいで、好奇心の対象になってしまったことが悔しくなる。
それと同時に、横に来た先輩二人に気付かないほど、自分はそんなに、メールに舞い上がっていたのかと、情けなくも感じた。


「っか、彼女なんていねーよ!ですよ!!」
また妙な敬語を使ってしまった。
日本語はどうにも難しい。

「ふぅん・・・彼女、は、いないのね」
カントクは、やたら含みのある言い方をする。
カントクにはメール相手がバレてんのかな、と思ったが、幸いにも小金井先輩は気付いてないらしい。キョトンとしていた。

「バカガミにもとうとう春がきたか・・・まあバスケバカ同士通じんのかしらね」
想像通り。
バレている。
やっぱり日本語は難しい。
上手くごまかすこともできないときた。


とにかく、長居するとまた冷やかされかねない。

「・・・んじゃ、俺はこれで」
「あっ!火神逃げんなよ!!」
別れを告げたら、何も気付けていない小金井先輩がいろいろ叫んでいたが、気にせずその場を離れた。

・・・メールの内容も気になるしな。




○●○●○●○●○●○●




いつものようにテンションが高めのメールを読んで、思いっ切り顔がゆるむ。
自分でもはっきりわかるほどに。

「しゃあねぇな、今度スポーツショップでも連れてってやるか・・・」

デートの催促への返事にしてはそっけない場所だが、そこが1番、お互い話が合うところだろう。

それにもし、モデルであるコイツのファンに、うっかりテーマパークで二人きりなんてところを見られたら、何が起こるかわからない。


日本語は難しいが、拙くとも気持ちが伝わるように。
返信を、打つ。
やはり、難しいけれど。


同時に、別のことも考えていた。

(アドレス伝えてくれた黒子に、感謝しなきゃな。
やっぱし黄瀬のこと、

好きだ。)