「静雄さん!静雄さん!もー、起きてくださいよー」
「ん・・・・・・」
前から抱きつくような形で正臣の体にもたれ掛かり、眠る静雄。
「疲れてるんだから、ベッドで寝なくちゃ駄目ですよ!」
反応は、ない。
さすがに、自分よりもガタイのいい相手を、その細腕ではベッドまで運ぶことができなかったため、何とかして起こそうとしているのだが―――全く起きない。
「どんだけ疲れてんだよ・・・・・・」
はぁ、と困った表情をして、静雄の両肩を手でおさえながら、ゆっくりと寝顔を覗きこんだ。
普段は、サングラスや荒々しい表情で隠された、穏やかで端整な顔立ち。こうして眠っていると、一層それは引き立つ。
目が、離せなくなった。
まじまじと見つめていると、自分の鼓動が速くなる。
ふと、規則正しい寝息をたてる口許に目がいく。
―――やばい・・・・・・
いつもは自分に降ってくる甘い唇。それは無抵抗に、無防備に、ただそこに“存在”している。
ただでさえ高かった心拍数は、さらに速まり、正臣の頬に紅潮を浮かばせていた。
自制が、利かない。
少し、下から見上げるような体勢になって、先程とは逆に、起こさぬようそっと、
唇を、重ねた。
微かに苦味。恐らくは煙草であろう。
それから、えもいわれぬ愛おしさと、興奮と、泥のように意識を包み込んでゆく快感。
己から、という行為への意識は、それらをなお一層大きくした。
今起きたらすごい恥ずかしいなぁ、なんてことを思いながらも、交わした唇を離そうとはしなかった。
すると。
「ん・・・・・・?」
案の定、起きてしまった。
慌てて唇を離し、気づいていた場合の言い訳を考えようとした。
しかし何も思い付かない。
(あれだけ起こそうとしてたときは起きなかったのに・・・・・・どうしてキスで起きるんだよ・・・!!)
自分の運の悪さと、静雄の寝付きを少し恨んだ。
「・・・どうした?」
「え、いや、えと・・・」
寝起きの眼差しで自分の赤面を見られる状態から逃げたくて、目線を逸らした。
「さっきは、自分からしてくれて、俺嬉しかったんだけど」
「!?」
勢いよく振り返った。
先程よりも顔を真っ赤にして。
やっぱり、気づいてた。
「いつ・・・」
「ん?ああ、なんか口に当たってるなぁと思って、それで意識はっきりしてきたら、気づいた」
「~~~ッ」
恥ずかしい。とてつもなく恥ずかしい。
「なぁ、もう一回して」
「イ、イヤですよ」
「・・・なんで」
「静雄さんにしてほしいからです」
静雄が若干吹く。
「・・・誘ってんのか?」
「はい、誘ってます」
「・・・・・・後悔しても知らねぇぞ」
「後悔しないっすよ」
「・・・ハッ」
自分からのとは比べものにならないくらい、熱く激しく乱れるくちづけ。
きっとこのままじゃ終わらない。
でもそれくらいが、二人が求め合うのに調度いい。
そう、思った。
.
「ん・・・・・・」
前から抱きつくような形で正臣の体にもたれ掛かり、眠る静雄。
「疲れてるんだから、ベッドで寝なくちゃ駄目ですよ!」
反応は、ない。
さすがに、自分よりもガタイのいい相手を、その細腕ではベッドまで運ぶことができなかったため、何とかして起こそうとしているのだが―――全く起きない。
「どんだけ疲れてんだよ・・・・・・」
はぁ、と困った表情をして、静雄の両肩を手でおさえながら、ゆっくりと寝顔を覗きこんだ。
普段は、サングラスや荒々しい表情で隠された、穏やかで端整な顔立ち。こうして眠っていると、一層それは引き立つ。
目が、離せなくなった。
まじまじと見つめていると、自分の鼓動が速くなる。
ふと、規則正しい寝息をたてる口許に目がいく。
―――やばい・・・・・・
いつもは自分に降ってくる甘い唇。それは無抵抗に、無防備に、ただそこに“存在”している。
ただでさえ高かった心拍数は、さらに速まり、正臣の頬に紅潮を浮かばせていた。
自制が、利かない。
少し、下から見上げるような体勢になって、先程とは逆に、起こさぬようそっと、
唇を、重ねた。
微かに苦味。恐らくは煙草であろう。
それから、えもいわれぬ愛おしさと、興奮と、泥のように意識を包み込んでゆく快感。
己から、という行為への意識は、それらをなお一層大きくした。
今起きたらすごい恥ずかしいなぁ、なんてことを思いながらも、交わした唇を離そうとはしなかった。
すると。
「ん・・・・・・?」
案の定、起きてしまった。
慌てて唇を離し、気づいていた場合の言い訳を考えようとした。
しかし何も思い付かない。
(あれだけ起こそうとしてたときは起きなかったのに・・・・・・どうしてキスで起きるんだよ・・・!!)
自分の運の悪さと、静雄の寝付きを少し恨んだ。
「・・・どうした?」
「え、いや、えと・・・」
寝起きの眼差しで自分の赤面を見られる状態から逃げたくて、目線を逸らした。
「さっきは、自分からしてくれて、俺嬉しかったんだけど」
「!?」
勢いよく振り返った。
先程よりも顔を真っ赤にして。
やっぱり、気づいてた。
「いつ・・・」
「ん?ああ、なんか口に当たってるなぁと思って、それで意識はっきりしてきたら、気づいた」
「~~~ッ」
恥ずかしい。とてつもなく恥ずかしい。
「なぁ、もう一回して」
「イ、イヤですよ」
「・・・なんで」
「静雄さんにしてほしいからです」
静雄が若干吹く。
「・・・誘ってんのか?」
「はい、誘ってます」
「・・・・・・後悔しても知らねぇぞ」
「後悔しないっすよ」
「・・・ハッ」
自分からのとは比べものにならないくらい、熱く激しく乱れるくちづけ。
きっとこのままじゃ終わらない。
でもそれくらいが、二人が求め合うのに調度いい。
そう、思った。
.