聞き慣れた着メロに、携帯へと目を移す。
表示は非通知、でもワンコールで通話ボタンに力を込める。何たって相手はわかってるんだ。恋で守勢に回ってどうするよ、オレ!!
「静雄さん!!!!」
「え!?なんで一言も話してない非通知を俺だってわかるんだよ!!??」
「何でってそりゃ・・・愛の力っすよ」
「愛って・・・・・・非通知で急に電話したら、驚くと思ったのに・・・」
がっくりといった声が聞こえた。
そう、愛の力。
全く予測してなかったけど、電話が静雄からだと、確信があった。
さすがオレ。いや、違うか。
「何ですか?オレに何か用事っすか?それとも、驚かすため?」
「いや、違ぇよ。その・・・あれだ、お前、今日、その・・・・・・たんっ・・・・・・とう」
「え?聞こえないです」
「だから、その・・・」
何を言いたいんだろう、と疑問に思っていたら。
「誕生日おめでとう」
とてもシンプルな言葉に、また予想もしていなかった言葉に、一瞬動けなくなった。
シンプルだったからこそ、であろう。
それから、急に胸が熱くなり、目頭が熱くなり―――言葉は、実体のない熱となって、心を溶かしていく。
気付いたときにはもう、頬に熱く濡れた筋が流れていた。
「静雄っ・・・さん・・・・・・・」
「なっ・・・どうした!!!???もっと情感こめて言うべきだったか!!??・・・・・・嬉しく、ないのか?」
突然の泣き声に驚く静雄。
「嬉すぎますっ・・・オレ、今日言われた中で一番嬉しいですっ・・・えぐ、ひっく・・・静雄さんのが、一番、嬉しい、ですズビッ」
「そ、そうか」
泣いてぐちゃぐちゃになりながら、感激をしどろもどろに口にする。
シンプルだからこそ、誰よりもリアルな量感のある言葉で、まっすぐで、決して口が上手い訳でもないのに直接伝えてくれて、・・・・・・とにかく、嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい。嬉しいって言葉では言い表せないくらい嬉しい。
好きな人に、まっすぐに想われて、誕生を祝ってもらえてるのだから。
「プレゼントとか何がいいのかわかんなくて何も買ってねぇんだけど・・・何がほしい?」
「いい・・・です、今の電話だけで幸せですっ」
「それじゃ俺の気がすまねぇんだよ。何でもいいから言ってみろ」
「なら、一個甘えてもいいですか・・・」
「おぅ。何でもいいぜ」
「今度、会ったとき、抱きしめてください」
「・・・・・・ッ」
しばしの沈黙。
静雄が黙っていたので、正臣も黙って涙を拭いていた。
・・・どうしたんだろう。怒らしちゃったのかな。つかオレ、泣き過ぎ・・・・・・
そんなことを考えていると。
「えッ・・・・・・」
背中にあたたかな感触があったかと思うと、後ろからしっかりと腕がまわって抱きしめられる。
ほのかに煙草の香り。
それから、少しの汗の匂い。
6月ですでに蒸し暑い夕暮れを、全力で走ってきたらしい。
息が詰まる。
苦しいわけではない。
純粋な喜び。
愛しいひとへの胸の高鳴り、ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ。
「あんなかわいいこと言うから、来ちまったじゃねぇかよ・・・」
小声だが、密着していて声がよく通る。
そんな耳元の囁きに、またもや鼓動が高く大きくなる。
「静雄さん」
「誕生日プレゼントなんだから、誕生日に渡さなきゃダメだろーがよ」
「静雄さんっ・・・!!!!!!」
くるりと方向転換し、自分からも静雄を抱きしめる。
また、涙にとどまりがなくなる。
「もう泣くなって・・・・・・」
大きくてあたたかな手が、背中をさする。
「さっきは電話だったからな・・・」
「?」
「誕生日、おめでとう、正臣」
額に軽くキスを落とす。
緊張と祝福と・・・いろいろな気持ちの入り混じった言葉に、正臣は涙に濡れた笑顔を返した。
オレって、幸せだなぁ―――――――――
表示は非通知、でもワンコールで通話ボタンに力を込める。何たって相手はわかってるんだ。恋で守勢に回ってどうするよ、オレ!!
「静雄さん!!!!」
「え!?なんで一言も話してない非通知を俺だってわかるんだよ!!??」
「何でってそりゃ・・・愛の力っすよ」
「愛って・・・・・・非通知で急に電話したら、驚くと思ったのに・・・」
がっくりといった声が聞こえた。
そう、愛の力。
全く予測してなかったけど、電話が静雄からだと、確信があった。
さすがオレ。いや、違うか。
「何ですか?オレに何か用事っすか?それとも、驚かすため?」
「いや、違ぇよ。その・・・あれだ、お前、今日、その・・・・・・たんっ・・・・・・とう」
「え?聞こえないです」
「だから、その・・・」
何を言いたいんだろう、と疑問に思っていたら。
「誕生日おめでとう」
とてもシンプルな言葉に、また予想もしていなかった言葉に、一瞬動けなくなった。
シンプルだったからこそ、であろう。
それから、急に胸が熱くなり、目頭が熱くなり―――言葉は、実体のない熱となって、心を溶かしていく。
気付いたときにはもう、頬に熱く濡れた筋が流れていた。
「静雄っ・・・さん・・・・・・・」
「なっ・・・どうした!!!???もっと情感こめて言うべきだったか!!??・・・・・・嬉しく、ないのか?」
突然の泣き声に驚く静雄。
「嬉すぎますっ・・・オレ、今日言われた中で一番嬉しいですっ・・・えぐ、ひっく・・・静雄さんのが、一番、嬉しい、ですズビッ」
「そ、そうか」
泣いてぐちゃぐちゃになりながら、感激をしどろもどろに口にする。
シンプルだからこそ、誰よりもリアルな量感のある言葉で、まっすぐで、決して口が上手い訳でもないのに直接伝えてくれて、・・・・・・とにかく、嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい。嬉しいって言葉では言い表せないくらい嬉しい。
好きな人に、まっすぐに想われて、誕生を祝ってもらえてるのだから。
「プレゼントとか何がいいのかわかんなくて何も買ってねぇんだけど・・・何がほしい?」
「いい・・・です、今の電話だけで幸せですっ」
「それじゃ俺の気がすまねぇんだよ。何でもいいから言ってみろ」
「なら、一個甘えてもいいですか・・・」
「おぅ。何でもいいぜ」
「今度、会ったとき、抱きしめてください」
「・・・・・・ッ」
しばしの沈黙。
静雄が黙っていたので、正臣も黙って涙を拭いていた。
・・・どうしたんだろう。怒らしちゃったのかな。つかオレ、泣き過ぎ・・・・・・
そんなことを考えていると。
「えッ・・・・・・」
背中にあたたかな感触があったかと思うと、後ろからしっかりと腕がまわって抱きしめられる。
ほのかに煙草の香り。
それから、少しの汗の匂い。
6月ですでに蒸し暑い夕暮れを、全力で走ってきたらしい。
息が詰まる。
苦しいわけではない。
純粋な喜び。
愛しいひとへの胸の高鳴り、ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ。
「あんなかわいいこと言うから、来ちまったじゃねぇかよ・・・」
小声だが、密着していて声がよく通る。
そんな耳元の囁きに、またもや鼓動が高く大きくなる。
「静雄さん」
「誕生日プレゼントなんだから、誕生日に渡さなきゃダメだろーがよ」
「静雄さんっ・・・!!!!!!」
くるりと方向転換し、自分からも静雄を抱きしめる。
また、涙にとどまりがなくなる。
「もう泣くなって・・・・・・」
大きくてあたたかな手が、背中をさする。
「さっきは電話だったからな・・・」
「?」
「誕生日、おめでとう、正臣」
額に軽くキスを落とす。
緊張と祝福と・・・いろいろな気持ちの入り混じった言葉に、正臣は涙に濡れた笑顔を返した。
オレって、幸せだなぁ―――――――――