駅前に続く見事な銀杏並木は、日々見慣れている頃は格別な感慨も無かったが、随分と久しぶりに見ると、恐らく大まかなところでは何も変わっていないはずなのだろうが、40年前とは別物を見るように目に強烈なのは、自分の月日の経過というモノは思う以上にすごいモノだ。いや周りの景色が変わってしまったせいなのかなとしばし思ったりしたのだが、いやいやここへ来たのはそんな感慨に浸るためではなかったと思いだしたが、もうしばらく遅い時期なら、息をのむような黄葉が見られたのだが、とおもいながら会場に向かった。
そうそう、そもそも、ここに来たのはもちろん銀杏を眺めるためでは無く、こちらが単に東京に住んでいると言うだけで、地方から考えれば東京周辺の市なら、"東京なのだろう"と思う田舎者の知人にチョット行ってきてくれと頼まれた訳で、やはり東京でも郊外はそれなりに遠いのだ。挙げ句に、曜日に関わらず夕方はやはりそれなりに電車は混んでいて、チョットも、なかなかに面倒なのだ。が、何せ、年上の知人からの頼みは無碍には出来ない。
頼みというのは、ここの公民館で、ナンタラの講演があるはずなので聞いてきてくれと言うことで、とにかく、このコロナ渦の中、一応、面倒な用事なのだ。ま、とにかく、時間も迫っているので歩いて5分も掛からない会場に急いだ。
時間も迫っているので、手早く、受付で「これこれ主催のこれこれという講演会の場所はどこでしょうか」と聞いた。
が、「そういった名前の集まりは有りませんねし、そういった感じの集まりも見当たりませんねー」と言うことである。
では「それらしき催しらしきモノが何かキャンセルはされていませんか」と聞いたが、「それもこの前後の日には全然見当たりませんねー」と言うことである。
「主宰者の方のお電話がお解りならそちらに直接ご連絡なさったら如何ですか」と言うことで、スマホの掲載ページを見せると、住所から「あら、ここなら歩いた方が早いかも知れませんね」と笑う。確かに駅より近い。帰りがてら少し回り道をしてみるかと、公民館を出た。
が、ま、とにかく一応の頼まれは果たしたことだし、ま、良いかと思いながらも回り道をしながら隣市の実家にでも久しぶりに顔でも出すかと駅に向かった。