<世界各国でアメリカ政府職員を襲った耳鳴り、不眠などの症状はかねてから、エネルギー兵器か音響兵器による攻撃が原因ではないかと言われてきたが>
いわゆる「ハバナ症候群」について、新たな調査報告が発表された。その背後に、エネルギー兵器を使用するロシア情報機関の工作員が存在していた可能性があるという内容だ。ハバナ症候群とは、キューバに駐在していたアメリカ政府職員を襲った、身体の衰弱を伴う謎の健康被害を指す。
「『ハバナ症候群』の呼称で知られる原因不明の健康被害は、ロシアの対外軍事情報機関であるロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)によって用いられた「指向性のエネルギー兵器の使用が発端となっていた可能性がある」と、ロシア語の独立系メディア「ザ・インサイダー」と、米CBSのドキュメンタリー番組「60ミニッツ」、ドイツの「デア・シュピーゲル」誌の合同調査報告は伝えた。
今回の報告は、攻撃主体として「29155部隊」と呼ばれるロシア軍秘密機関も名指ししている。
特異な症状が最初に確認されたのは2016年、ハバナの大使館に駐在するアメリカ政府職員の訴えからだ。「ハバナ症候群」に罹患すると、記憶の喪失、耳鳴り、不眠、脳損傷のような兆候など、幅広い症状が表れた。アメリカの国内外で生活する1000人以上の人が、この「ハバナ症候群」にかかったとされている。なお、アメリカの情報機関では、この症候群を公式には「特異な健康事案」と呼んでいる。
報告書によると、この「攻撃」の最初の事例は、2014年にドイツのフランクフルトで記録されていた可能性があるという。
■異変の現場にいた部隊 報告書は次のように言う。
報告書は次のように言う。調査を行った3つの報道機関は、「29155部隊が兵器化された技術で実験を行っていたことを裏付ける証拠書類を発見した。この技術は、謎の症状の原因である可能性が高いと専門家が示唆しているものだ」
29155部隊の幹部は、「非致死性の音響兵器」に関する作戦遂行によって評価され、褒賞を受けた、とザ・インサイダーは記している。29155部隊に属する工作員たちが、「報告されている特異な健康事案の発生直前、あるいは発生時に、世界各地の拠点に駐在していたことが位置情報で確認されている」。
キューバをはじめ各国に駐在していたアメリカ政府職員が訴えたさまざまな症状については、かねてから、何らかのエネルギー兵器か音響兵器が原因ではないかとの臆測があり、注目を集めてきた。
スタンフォード大学医学部のデビッド・レルマン教授は2022年2月の時点でCBSニュースに対し、これらの症状に関する研究から、「脳の聴覚系および前庭系に損傷が起きていることを示す明確な証拠」が浮かび上がったと証言していた。
ハバナ症候群については、米国立衛生研究所(NIH)も2024年3月に研究結果を公表したが、健康被害の原因について新たな知見は見つからなかった。 2023年3月には、アメリカの情報機関による調査報告書が、外国の敵対勢力がこれらの症状の原因である「可能性は非常に低い」と結論づけていた。
(翻訳:ガリレオ)
エリー・クック(本誌安全保障担当)
実行部隊はロシア軍秘密機関「29155部隊」だった?
と言うところが新しいところ。
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